犬にとって不幸な暮らし方とは？犬を飼う前に準備しておくこと！

犬にとって不幸な環境

Yuttana Jaowattana/shutterstock.com

ここまでで、全ての犬が必要としている5つの点「水と食事」「適切な飼育環境」「身体的ケア」「犬の本能を満たす」「精神的ケア」について知ることができました。

これらは、基本中の基本、できていて当然と感じられると思いますが、本当に自分ができているかどうか、もしくはできるだろうかと具体的に、また冷静に考えていくと、意外とできていないことに気付かれるかもしれません。

しかし、この必要を満たせないということは、犬にとって不幸な環境になっているということになりますので、飼い主としての責任を果たせていないということにもなります。

そんな状況にならないために、犬にとって不幸な環境だが、よく見られる例を一つずつあげて、原因や対策も一緒に考えていきましょう。

ペット飼育NG住居での生活

単身者でも、”癒しになる””寂しさを紛らわせることができる”などの理由で、アパートなどで犬を飼育している人が増えていますね。

しかし、単身者用の賃貸アパートなどは、多くの場合ペットの飼育を認めていません。一人暮らしだと留守が多いことや、隣同士が壁一枚でつながっているアパートでは、物音や匂いなども左右上下の人にまで影響を及ぼすことが多いからでしょう。

さらに日本では、夫婦や子供さんのいるご家庭でも、電車通勤の方が多く利便性から、駅前などに多いマンションや団地などの集合住宅に住まれている方も多いですよね。

分譲であったとしても、共有部分が多く密集して生活している集合住宅では、建物全体の決まりというものがあり、動物を飼育することについても、動物の種類や大きさ、頭数など細かい決まりが設けられていることが多いです。

犬を飼育する前に、自分の住んでいるところは犬の飼育に関してどんな決まりがあるか、そもそも飼育OKかを調べることは、犬を不幸な環境に置かないためにとても大切です。

なぜなら、こっそり飼うと犬達は、物音を立てないように必要以上に静かにするように求められ、、自宅でありながらのびのびとすることができずストレスが溜まります。

さらに、犬を飼育していることはすぐに近所の人の気づくところとなって、退去するか犬を手放すかの選択を迫られたり、そこまでいかなくても、近隣トラブルになることが多いからです。

そんな将来のない場所で犬を飼い始める人は、飼い主としてふさわしいとは言い難いです。住む家を失えば、そもそも犬を飼うことができなくなるのです。

ペットの飼育NGなのに、犬を飼い始めるのは、”とにかく犬が欲しい”という自分の感情が先行してしまい、冷静に物事を考えられなかったり、”まあなんとかなるでしょ”といういい加減な考え方が原因と言えます。

そのような利己的な考え方は犬を不幸にすることと、どんなに小さくても、吠えたり散歩に連れ出す必要のある犬を内緒で飼育し続けることは絶対にできないことを思いに刻んで、ペット禁止住居に住んでいながら犬を迎えることのないようにしましょう。

ペット可であっても、狭い賃貸住宅などでは、犬の飼育は騒音問題に繋がりかねないので、犬の体格や犬種をよく選ぶようにしてください。

スペースがない

前項にも通じる点ですが、日本の住宅事情は決して犬に恵まれているとは言えない、狭スペースの物件が多いです。

クレーとは体が収まるサイズであれば良いのですが、普段過ごす場所はある程度自由に動き回れるスペースが絶対に必要です。

しかし残念ながら、犬がストレスを感じないようなサイズのゲージを設置している飼い主さんはあまり多くありません。

”散歩の時に思いっきり走らせているから””毎日一回は連れ出している”などど、自分なりに納得していませんか？雨が続けば外に行けない日も続きますし、忙しくて外に出せない日も思っている以上に多いはずです。

ぜひ自分の家で、確実に確保できる犬用のスペースにあったサイズの犬種だけを家に向かえるようにしてください。

刺激が少ない

犬が人間の近くで生活するようになったのは、狩猟を共に行ったり、家畜を守ったり導いたり、害虫駆除をするなど、素晴らしい働きで人間のサポートができるからです。

犬の身体能力は非常に高いですし、人間とチームとして働くことに生きがいを見出します。 しかし現代では、ペットとしてかわいがられるだけの存在になっていることが多く、しかも留守がちなご主人をひたすら待つことを強いられているかわいそうな犬が多いです。

刺激の少ない室内で、有り余るエネルギーや高いポテンシャルを無駄にしながら、ぼーっと一日過ごすなんてどれほど退屈なことでしょう。

働くことが大好きなのに仕事がなく、人と一緒にいたいのに一人ぼっち、いろんな匂いを嗅いだり新しいものを発見したいのに、いつもと同じ狭い家の中でほとんどの時間を過ごさないといけないなんて不幸すぎますよね。

刺激の少ない環境が、犬の老化を早めたり、認知症を誘発したり、無駄吠えなどの問題行動を引き起こしていることが報告されてきています。

これらは、犬本来の姿や能力をすっかり忘れてしまい、人間のペットとしか考えなくなってしまったことが原因でしょう。

賢くてエネルギーと好奇心に満ちている犬のためにも、留守番中にも飽きずに遊べるような知育玩具を用意したり、室内でも嗅覚を使えるような遊びをしたり、散歩の時にはトレーニングをするなど工夫してあげましょう。

しつけられていない

飼い主さんが、しつけをすることを”かわいそう”と勘違いしたり、教え込むのが”面倒”と諦めてしまうと、犬たちは社会性を身につけることができず、どう行動したら良いか分からずに混乱します。

ルールが分からない中で、自分で試行錯誤しなくてはなりませんし、当然問題行動を起こすので叱られたり、嫌われたりするようになりストレスを感じます。

もっとひどくなると、犬自身や飼い主、周囲の人に危害を加えることにもなり、手に負えない危険な犬として、手放すしか選択肢がなくなるかもしれません。そのような犬の運命は、皆さんもご存知でしょう。

ですから、しつけのされていない犬は本当に不幸です。飼い主がぬいぐるみのように扱って、ただ可愛がるだけで何も教えないなら、飼い主さん自身も”こんなはずではなかった”と思いかねない結果になるのです。

犬のしつけは本当に根気が必要で、思っていた通りに行くことはまずなく、時間をかけて繰り返し教え込む必要があります。

途中で面倒になって投げ出したくなることもあるでしょうし、愛犬はできるようにはならないと諦めたくなることもなんどもあると思います。

しかし、人間社会の中でどう行動するべきか、家の中で許されていることとそうでないことなど、しっかりとしたルールを教え込むことは、その子の人生がかかったことなのです。

しかも、しつけを通して、愛犬との信頼関係を強めたり、お互いの愛情を育むことができるので、必ず報いがあることを信じてコツコツと教えていきましょう。

しつけの時間を、愛犬とのコミュニケーションをとる時間と考えて、ダメなことを叱ることよりも、できたことを褒めるようにするなど、お互いが楽しめるように思考を整えることは助けになるでしょう。

散歩に連れて行ってもらえない

散歩に連れて行ってもらえないことは、犬にとって最悪な環境と言えるでしょう。”小型犬は散歩がいらないから楽ですよ”などというアドバイスを鵜呑みにしてはいけません。

どんなに小さな犬で、運動量が少なくてすむ犬種でも、自分のテリトリーを回って異常がないかを確認したり、街や公園にある様々なものの匂いを嗅いだり、太陽の光を浴びたりすることは絶対に必要なことなのです。

このように散歩は、必要な運動量を満たしすだけではなく、犬の本能を満たすために必要な様々なことが含まれているので、体と心両方の健康のために欠かせません。

忙しい暮らしをしていると、朝の出勤前に散歩をすることも、帰宅後に疲れた体で犬の相手をすることも大変と感じることは十分理解できます。

ですから、犬を飼う前に「毎日犬を散歩させる体力があるか」「自分のプライベートな時間を犬のために削る愛情があるか」「毎日の散歩を10年間以上続ける覚悟はあるか」などを真剣に考えましょう。

まとめ

犬を飼うということは、その犬の一生に責任を持って、その子が必要とすることを満たし、決して不幸な環境にはしないという約束をすることです。

自己本位の考え方を捨てて、犬のために快適な飼育環境を整え、健康的な食事をさせ、きちんとしつけ、愛情をいっぱい注ぐなら、犬はきっとあなたの元にこれてよかったと感じてくれることでしょう。