犬にニラを与えてはダメ!食べてしまった際に起こる中毒症状と対処法を解説!

犬にニラを与えてはダメ!食べてしまった際に起こる中毒症状と対処法を解説!

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ワンちゃんには命の危険があるので決して食べさせてはいけない食材がいくつかあります。そのうちの一つが、この記事でとりあげる「ニラ」です。この記事では、なぜニラをワンちゃんに食べさせてはいけないのか、食べてしまうとどんな中毒症状が起きるのか、さらには食べてしまった場合の対処法についてまとめてみました!

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犬の溶血性貧血とは

ぐったりするワンちゃん

didesign021/shutterstock.com

多くの人は「貧血」と聞くと、名前から連想されるイメージから、血液が少なくなってしまう状態と考えている人が少なくありません。

しかし、実際に血液量が低下してしまうことは、事故や大きな怪我により大量出血した時にしか生じません。多くの場合、ワンちゃんが貧血を起こす時には、「溶血性貧血」と呼ばれる状態になります。

血液自体が不足しているのではなく、血液中に含まれる赤血球の数や、血液の濃度が低下してしまっている状態です。血液を構成する主要要素が不足している状態とも理解することができます。

溶血とは、赤血球の細胞膜が何らかの要因によって損傷を受け、細胞内にある原形質が外部に露出してしまう現象です。もっと簡単に言うと、赤血球が壊されてしまう状態のことを言います。

本来赤血球には、肺から取り入れた酸素を体のすみずみに届けるという大切な役割があります。しかし溶血性貧血に陥ると、酸素を運搬する赤血球の能力が低下してしまうので、体内に酸欠状態が引き起こされます。

このように、赤血球が本来の機能を果たせなくなり、全身に酸素が行き渡らなくなってしまう状態のことを「溶血性貧血」と言います。

溶血性貧血が生じる原因は

ワンちゃんが溶血性貧血を犬が発症してしまう理由には、いくつかの原因があります。4つの原因についてご紹介します。

■1.ハインツ小体性溶血性貧血 少し難しい名前ですが、「ハインツ小体性溶血性貧血」というものがあります。別名「たまねぎ中毒」とも呼ばれ、ワンちゃんが「ニラ」を食べた時に発症してしまう溶血性貧血は、この「ハインツ小体性溶血性貧血」に分類されます。

具体的なメカニズムを説明すると、ワンちゃんが体内に酸素を含んだ「酸化物質」を取り入れると、赤血球中にあるヘモグロビンというタンパク質が変化して「ハインツ小体」という構造を結成します。

この「ハインツ小体」を結成した赤血球は破壊されやすくなってしまうことから、「ハインツ小体性溶血性貧血」と呼ばれています。

ワンちゃんが誤って体内に取り入れてしまいがちな「酸化物質」には、ネギ類に含まれる「硫化アリル」だけでなく、解熱剤や鎮痛剤に含まれている「アセトアミノフェン」や、防虫剤に入っている「ナフタリン」などがあります。

また、不凍液やフードの保湿剤などに配合されていることの多い「プロピレングリコール」なども、ワンちゃんがうっかり食べてしまいがちな「酸化物質」です。

しかし、その中でも「たまねぎ」に含まれている「アリルプロピルジスルファイド」には、とりわけ犬にとって高い毒性があります。

動物が「ハインツ小体性溶血性貧血」を引き起こす確率が最も高いケースが、たまねぎを食べてしまった時であることから、「たまねぎ中毒」とも呼ばれるようになりました。

■2.自己免疫性溶血性貧血 ワンちゃんが溶血性貧血になってしまう別の原因としては、本来体内に侵入してきた異物を除去する働きのある「免疫細胞」が誤って赤血球を破壊してしまう、「自己免疫性溶血性貧血」という病気があります。

■3.遺伝的な要因 溶血性貧血には、遺伝的な要因も関係します。「アメリカンコッカースパニエル」や「イングリッシュコッカースパニエル」、「プードル」や「コリー」など、特定の犬種に自己免疫性の溶血貧血が発症しやすいということが解明されています。

遺伝的に発症するケースでは、成犬時に症状があらわれることが多いようです。遺伝的にこの病気にかかりやすい後発種が特定されているので、該当する犬種を育てている場合は定期的に検査を受けると良いかもしれません。

■4.新生児溶血 まれに、生まれたばかりの子犬が溶血性貧血を発症することがあります。このケースの溶血性貧血は「新生児溶血」と呼ばれます。

メカニズムとしては、母親の母乳に含まれる抗体(特殊なタンパク質)が、子犬の赤血球の表面にある抗原と呼ばれる物質を、異物とみなして攻撃してしまうことによって発症します。

溶血性貧血の主な治療法について

溶血性貧血をワンちゃんが発症した場合の治療法には主に四つの対処法があり、状況によって選択しながら治療が行われます。

まず、溶血を引き起こしている原因が何かはっきりしている場合には、原因物質を取り除くことが必要となります。「たまねぎ中毒」によって溶血性貧血を引き起こしている場合には、当然ですがネギ類の食材が原因物質となります。

症状を見極めるために、一般的には「内科的治療」が優先して行われます。いわゆる経過観察と呼ばれるものです。溶血性貧血を発症してから症状が改善するまで、基本的には1週間以上の経過観察が必要であるとされています。

酸素不足によって引き起こされる不整脈や、腎臓の尿細管の機能不全などの症状の変化を観察する必要があります。さらに、肺や肝臓における感染症などが進行していないかどうかが、特に注意深くモニターされます。

貧血症状が重度の場合には、輸血処置が施されるケースもあります。しかし、犬の輸血はまだまだ一般的ではなく、人間の場合とは異なり輸血用の血液が入手しづらいため、必要と判断されても実施することが困難となるケースも多いようです。

内科的な治療を行っていても、症状に改善が見られない場合には、外科手術によって治療する必要がある場合もあります。

外科治療として一般的に行われるのは、脾臓を摘出する手術です。赤血球の破壊は、主に脾臓や肝臓で行われているので、赤血球の損傷を抑制するために臓器を摘出します。

血色素尿症とは

おしっこの病気になるワンちゃん

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「血色素尿症」とは、簡単に言うと尿に血色素、つまり「ヘモグロビン」が混じって出てきてしまう病気です。

赤血球が破壊されて溶血が血管内で生じると、血液の中に「ヘモグロビン」が遊離してしまいます。その「ヘモグロビン」が、腎臓にある糸球体を通過してしまい、尿と一緒に排出されます。

良くある勘違いとして、血色素尿症を血尿と混同する人がいます。しかし、厳密に言うと血尿と血色素尿は異なります。血尿とは、尿に赤血球が混じっている状態であり、真っ赤な色をした尿が排出されます。

しかし、血色素尿では、「ヘモグロビン」だけが混合して排尿されるので、尿の色は茶色か黒褐色をしていることが多いようです。

血色素尿症の治療法について

血色素尿症を発症する根本的な原因は、溶血などによる赤血球の破壊です。そのため、血色素尿症の治療としては、根本原因である赤血球の破壊を防ぐことが重要になります。

それで、溶血性貧血の治療が優先的に行われます。「ハインツ小体性溶血性貧血」などの症状が改善されれば、結果的に血色素尿症の症状も快方に向かいます。

ワンちゃんが「ニラ」を食べてしまったら

病院で診察を受けるワンちゃん

Pressmaster/shutterstock.com

ワンちゃんが誤って「ニラ」を食べてしまった場合、どのような対処をする必要があるのでしょうか。

もし、ワンちゃんが食べている途中で発見した場合には、その場ですぐに吐かせるように しましょう。食べ終わった直後であっても、多少は体外に排出することが可能な場合もあります。

しかし、ワンちゃんが「ニラ」を口にしてからかなり時間が経っている場合には、まずどのくらいの量を食べてしまったのか調べるようにしましょう。

食べてしまった「ニラ」の量が少量の場合、しばらく様子を観察して異変がないようであれば、そのまま経過観察するだけで快方に向かう場合が多いようです。

しかし、大量に食べてしまったことがわかった場合には、直ちに動物病院を受診するようにしましょう。

早期で治療を開始することができるかどうかが、その後の症状に大きく影響します。それで、これぐらいなら大丈夫だろうと素人が勝手に判断するのではなく、獣医に指示を仰ぐことをお勧めします。

ワンちゃんを「たまねぎ中毒」から守るために

待てができるワンちゃん

eva_blanco/shutterstock.com

「たまねぎ中毒」によってワンちゃんに辛い思いをさせないためには、ワンちゃんの食事をいつも見守って、ネギ中毒になってしまう危険性がある食材を食べさせないことが重要です。

飼い主が知っておくべき知識として、どんな食材か危険なのかだけでなく、どんな料理に「たまねぎ中毒」を発症しやすい食材が使用されているのかも知っておく必要があります。そうした点を理解していれば、ワンちゃんのネギ中毒はきちんと予防することができます。

基本的には、ワンちゃんにはドックフードなどの犬用のご飯だけをあげるようにしましょう。人間のご飯を与えないことが、間違ってネギ科の食材を食べてしまうのを防ぐことにつながる、という点も考える必要があります。

また、拾い食いの習慣があるワンちゃんの場合、飼い主の気づかないところで、調理中に床に落ちた「ニラ」や「たまねぎ」などを食べてしまう危険があります。

人間の指示なく勝手にものを食べないようしつけることにより、人間の目の届かない所で危険な食材を口にしてしまうことを防ぐことができます。

まとめ

いかがでしたか。「ニラ」はワンちゃんにとってはとても危険な食材です。間違って愛犬が食べてしまわないよう、しっかり注意しましょう。

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