【獣医師監修】犬にマスカットを食べさせてはダメ!ぶどう中毒の症状やリスクについて解説【2023年版】

【獣医師監修】犬にマスカットを食べさせてはダメ!ぶどう中毒の症状やリスクについて解説【2023年版】

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頼定 大和

獣医師

頼定 大和

日本獣医生命科学大学卒。大学卒業後、沖縄の病院にて臨床経験を積み、関東、北陸で動物病院の院長として病院経営を行う。 現在は企業病院およびペット関連事業のコンサルティングに携わる。 また、猫の感染症や遺伝病の分野において大学と共同研究に取り組んでいる。講師歴:広島アニマルケア専門学校、日本獣医生命科学大学 動物病院経営学etc. https://okinawa-ahg.com/

マスカットのパリッとした食感やジューシーな果実はぶどうの中でも大人気な品種です。栄養も豊富ですし、なおかつ美味しさも堪能できます。しかし、犬にはマスカットの含めてぶどう全般を与えてはいけないことが近年の研究で分かっています。「ぶどう中毒」が引き起こすリスクについて詳しく解説していきます!

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ワインやジュース、ドライレーズンなら大丈夫?

ワイン

Africa Studio/shutterstock.com

マスカットそのものはだめでも、ワインやジュース、ドライレーズンなど、加工品なら食べさせても大丈夫ではないか?と考えるかもしれませんが、そうした加工品もあげないように注意したいと思います。

実は、果肉よりも皮の方が中毒を引き起こしやすいと考えられているのです。それで、ぶどうの皮や皮を加工したドライレーズンもやはりあげないようにする必要があります。

とりわけドライレーズンの危険性は高いと言われています。なぜなら、ドライレーズンの場合、ぶどうの皮を乾燥させているので、成分が凝縮されてしまい、何も加工していない皮に比べて中毒になる危険性が高まるからです。

レーズンは気を付けていないと、時にパンだったりお菓子に入っていたりすることもあります。気づかずに愛犬にこの種のものをあげてしまうと危険です。食べさせないように気を付けましょう。犬の手が届かないような場所に保管しておきましょう。

レーズンを食べて中毒を起こす目安の量については11gから30gと言われてます。もちろん個体差はあります。

ぶどうジュースにも気を付行けましょう。やはりぶどうジュースもレーズンと同じで、ぶどうの成分が濃縮されています。ミックスジュースも含めて、ぶどうが含まれている飲み物は飲ませないようにしてあげましょう。

とりわけあげてはいけない飲み物はワインです。ワインはぶどう成分が皮も含めて凝縮されています。さらに、アルコールによる中毒症状が生じる可能性もあります。

犬はそもそも人間と異なりアルコールを分解する酵素を持っていません。ですから、アルコールを摂取するとすぐにアルコールが体内に回ってしまい、危険な状態となります。

犬のアルコールの致死傷は1㎏あたり5.6mlと言われています。吐いたり、意識がもうろうとしたりするかもしれず、場合によっては昏睡状態になったり、嘔吐物が原因で窒息したり、心肺機能が鈍り心不全になったり、命にかかわる場合もあります。

ぶどうの果肉や果汁の入ったヨーグルトも与えないようにしてあげましょう。

ブルーベリーは大丈夫?

ぶどうに形や色が似ているブルーベリーについてはどうなのでしょうか。

ブルーベリーはツツジ科の植物で、ぶどうとは異なる果実ですから、アレルギーなどがなければ犬が食べても特に問題はありません。ブルーベリーにはビタミンCだけでなくビタミンEも豊富に含まれています。

さらに、ブルーベリーにはアントシアニンも含まれているので抗酸化作用があり、目に良いとされています。しかし消化はあまり良くないので、食べさせる時にはすり潰すなど工夫をしてあげると良いでしょう。

ぶどうを食べてしまったらどうするの?

病院に行こう

didesign021/shutterstock.com

愛犬が誤ってぶどうやマスカットを食べたり飲んだりしてしまった場合、どうしたら良いのでしょうか。そのような場合、家で自己流で対処しようとしても難しいことでしょう。

それで、食べてしまった場合はすぐに病院に連れて行きましょう。家で無理やり吐かせようとすると、誤嚥をしてしまい、命に係わる可能性もあります。気を付けましょう。そしてできれば、事前に動物病院に電話をしておくようにしましょう。

例えば、小型犬の場合、ワインを少しなめるだけで死んでしまう場合もあり得ます。大事に至らないよう、症状があるかないかに関わらず、すぐに病院に連れて行ってあげましょう。夜間や休日の場合には、救急動物病院に電話で相談するという方法もあります。たとえ症状が出ていなくて元気そうに見えたとしても、数時間から数日後に症状が出る可能性もあるのです。

もし、普段からある程度時間をかけて遠くの動物病院に通っているなら、かかりつけの動物病院以外にも、家から通えてかつ24時間救急対応の動物病院も把握しておいたほうが安心です。

病院に着いたら、獣医さんに皮ごと食べたのかなどの状況や、いつ、どんなぶどうをどれくらいの量を摂取したのかといった詳しい状況を伝えるようにしましょう。もしその時点で何らかの症状が出ているなら、症状も詳しく伝えましょう。

人間が病院で診察を受ける時もそうですが、犬の場合も、情報を詳しく伝えることは適切な治療を受けるうえで役立つことでしょう。

病院ではどんな治療が行われるの?

病院では、例えばどのような治療が行われるのでしょうか。胃の内容物を吐かせ、胃の洗浄が行われることがあります。さらに、活性炭や下剤の投与などが行われてゆきます。原因物質を身体の外に出すためです。

動物病院で食べたものを吐き出させる催吐処置をした場合、目安ですが15,000円から20,000円程度の治療費がかかるようです。保険の内容によってはペット保険を使用できる場合もあります。

犬の状態によっては、入院をしなければならない場合もあります。症状や病院によっても治療に変動があります。

あまり考えたくないことですが、もし急性腎不全を引き起こしているなら、早めの処置が必要になるでしょう。症状を緩和させる治療を優先して行います。入院をし、栄養補給、点滴治療、といった処置をする場合があります。

急性腎不全での入院や検査、その他の処置をした場合には、目安で80,000円から100,000円程度の治療費がかかるようです

犬がぶどうを食べてしまう原因とは?

ぶどうを食べたそうに見つめる犬

Mostovyi Sergii Igorevich/shutterstock.com

犬がぶどうなどを食べてしまう原因はどこにあるのでしょうか。全ての原因を挙げることはできませが、知識がなく知らずに食べさせてしまったとか、知っていたのだけれど、たまたま置いてあったぶどうを勝手に食べてしまったというような状況が原因になることがあります。

犬の届く場所に置いてしまう不注意が原因となったり、犬の散歩コースでぶどうを栽培している所があり、犬が食べてしまうこともあり得ます。

人間がぶどうを食べている時に誤って床に落とし、そのまま気がづかずに放置しているといった状況もあるかもしれません。こうした原因に着目し、そうした状況を避ける工夫をして、犬がぶどうなどを食べてしまうことがないように気を付けましょう。

ぶどうは甘いですし香りも良いので、犬にとっても美味しそうに見えるかもしれません。お腹を空かせた犬がぶどうに興味を持ち、食べてしまう可能性は大いにあります。

まとめ

ペットフードが今ほど普及していなかった時代には、犬も含むペットたちの食べ物は、人間の食べ残しを与えている家庭が多かったと言われています。その時代を考えますと、人間が食べられるものであれば犬が食べても問題はないと思う方もいることでしょう。

しかし、以前は今ほどペットたちへの健康意識は高くありませんでした。最近の研究により、与えてはいけない食べ物の認識も広まるようになってきたのです。

ぶどうによる中毒は昔から報告があったわけではありません。最近になって問題視されるようになってきた食品です。犬と人間一緒に生活するという状況が増えたため、人間の食べるものを欲しがる犬も多いかもしれませんが、欲しがったとしても、リスクがあるものは食べさせないのが無難であると言えるでしょう。

カビ、重金属、農薬などに影響されている可能性は低いとの報告もあるようですので、たとえオーガニックのぶどうやレーズンであっても中毒になる可能性はあります。

こうした情報を飼い主さんだけでなく、家族全員で共有すると良いでしょう。愛犬の健康を守ってあげるために、害について学ぶことはとても大切です。愛犬の食べる物を把握してしっかり管理してあげましょう。

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