【獣医師監修】犬の鼻の色が変わるのは何かの病気のサイン?鼻が退色または変色する理由を解説【2023年版】

【獣医師監修】犬の鼻の色が変わるのは何かの病気のサイン?鼻が退色または変色する理由を解説【2023年版】

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頼定 大和

獣医師

頼定 大和

日本獣医生命科学大学卒。大学卒業後、沖縄の病院にて臨床経験を積み、関東、北陸で動物病院の院長として病院経営を行う。 現在は企業病院およびペット関連事業のコンサルティングに携わる。 また、猫の感染症や遺伝病の分野において大学と共同研究に取り組んでいる。講師歴:広島アニマルケア専門学校、日本獣医生命科学大学 動物病院経営学etc. https://okinawa-ahg.com/

いつも黒かった愛犬の鼻が薄くなったり、部分的に色素が抜けてきたりすると心配になることでしょう。 なぜ犬の鼻は退色したり変色したりするのでしょうか?何か病気にかかっているのでしょうか?この記事では、犬の鼻が退色や変色する理由について詳しく解説していきます。

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犬の鼻の構造と機能

犬の鼻

WilleeCole Photography/shutterstock.com

犬は人間よりもはるかに優れた嗅覚を持っています。犬と人間の嗅覚を比較すると、犬は人間の1,000倍から1億倍も優れていると言われています。ですから人間は感じることができない微かなニオイでも犬は余裕に嗅ぎとれると言えるでしょう。

しかし、犬の鼻は犬種や個体によって長さや形、色などの見た目が異なっています。そもそも犬の鼻とは、鼻先から目元にかけての口吻部(こうふんぶ)つまりマズルの部分を鼻と呼んでいます。口吻部は犬種によって長さや大きさなどが違うため、口吻部の長さで「長頭種」「短頭種」と分類しています。

口吻部が長い長頭種には、コリー、グレイハウンド、ボルゾイ、ポインター、ドーベルマンピンシャー、ジャーマン・シェパードドッグなどが挙げられます。一方、口吻部が短い短頭種には、パグ、ブルドッグ、フレンチブルドッグ、ボストンテリア、ペキニーズ、ボクサー、シーズーなどが代表犬として挙げられます。

このように犬種によって鼻の形は違うため、ニオイを嗅ぐ能力も若干違いが見られるようです。特に口吻部が長くて大きい犬のほうが、ニオイを感じ取る嗅細胞が鼻腔の奥にあるため、口吻部短種よりも優れています。

しかし上記でもみたように、鼻の色は黒や茶色、ピンク色など犬種や個体によって違いがありますが、鼻色による嗅覚の違いはありません。あくまでも鼻の形で若干嗅覚に違いがあります。

犬の鼻の機能について

犬の鼻は、ニオイを嗅ぐ以外にもさまざまな役割を担っています。

・体温調整 犬の鼻は、汗を出して体温を下げる汗腺の働きもすることで体温を調整しています。犬も人間のように体全体に汗腺がありますがその数は少ないため、主に鼻と肉球を使って体内の水分を蒸発させています。

・フェロモンの感知 犬の鼻にはフェロモンを感知する”鋤鼻器(じょびき)”と呼ばれる器官が備わっています。この器官は、発情期の雌犬から発生する性フェロモンや母犬が授乳する際のフェロモンなどを感知することができます。

こんな症状が見られたら病気のサインかも!?

犬の鼻の退色や変色のほかに、次のような症状が見られたら病気の疑いがあります。よく愛犬の鼻を観察し、症状が続くようであれば動物病院を受診しましょう。

・鼻水 犬の鼻から鼻水が出ているのであれば鼻炎、副鼻腔炎、感染症、アレルギー、腫瘍、歯周病の悪化などの疑いがあります。感染症にはさまざまな種類がありますが、鼻水が症状として発症する感染症には犬ジステンパー、パラインフルエンザ、伝染性咽頭気管支炎などが挙げられます。

異物の混入や気温の変化など生理的な現象であれば特に心配する必要がありませんが、透明な鼻水がずっと出ていたり、白・黄色・緑色の粘液性の鼻水、茶色・ピンクの鼻水、血が混じっている鼻水などが出ていたりする場合は、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。

・鼻血 犬が鼻血を出している場合は、異物の混入、外傷、鼻炎、副鼻腔炎、腫瘍、血小板の減少を引き起こす免疫介在性の病気、歯周病の悪化、農薬の中毒(クマリン中毒)などの病気が考えられます。

愛犬の鼻から血が出ていることに気づいたら、飼い主さんが対処するのではなく、必ず獣医師さんに診てもらうようにしましょう。

なぜなら素人では原因が判断しにくく、鼻血の治療法は原因によって異なってくるからです。たとえば外傷や腫瘍が原因の場合は手術が必要になるケースもありますし、感染症などが原因であれば薬剤の投与が必要となります。

飼い主さんは愛犬の鼻血予防として、歯磨きなど歯のケアを定期的にされることをおすすめします。

・鼻の乾燥 犬の鼻が乾燥していても濡れていても、健康状態には直接影響していません。犬の中には寝起きは鼻が乾燥している子もいますし、老化現象として皮膚の保湿力や弾力性の低下することで鼻が乾燥している犬もいます。

しかし、日中活動をしているときに鼻が乾燥しているなら病気の疑いがあります。鼻の乾燥やひび割れで考えられる病気には発熱、脱水、アレルギー、天疱瘡、角化症などが挙げられます。

生理的な現象で鼻が乾燥しているなら特に心配いりませんが、乾燥予防として乾燥時期は部屋の湿度維持を意識することや、鼻にワセリンを塗るなどして保湿を心がけることができるでしょう。

・いびきのように鼻を鳴らす 息をしているときに鼻の奥からグーグーと音をさせたり、眠っているときにいびきのような音をさせたりするなど異常な音がする場合は、鼻が短い短頭種、鼻炎、異物の誤飲、鼻腔狭窄、鼻や喉の腫瘍、軟口蓋過長症、心臓病などの病気が考えられます。

また肥満によって気道が狭くなり、息をするときに音がでることもあります。いびきの原因によって治療法は異なってきますが、最悪の場合は手術が必要になるケースもありますので、たかがいびきと見過ごさないようにしましょう。

まとめ

ビーグル犬

Annette Shaff/shutterstock.com

犬の鼻が退色や変色する理由についてみてきましたが、いかがでしたか?

季節や遺伝、加齢などの生理的な原因の場合は特に心配する必要はありませんが、病的な原因の場合は症状が悪化する前に動物病院を受診する必要があります。

そのためには、飼い主さんが犬の鼻の色の変化の原因を適確に判断しなければいけません。もし不安な場合はすぐに獣医師さんへ相談しましょう。

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