犬に柿を食べさせても大丈夫?柿の栄養素や与える時の注意点を解説していきます!

犬に柿を食べさせても大丈夫?柿の栄養素や与える時の注意点を解説していきます!

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柿は日本を代表する果物です。地味なイメージがありますが、ビタミンや果糖を多く含む冬の貴重なエネルギー源です。旬の柿は非常に甘く、干し柿など違った楽しみ方も風物詩となっています。そんな柿を犬が食べても安全なのでしょうか?柿に含まれる栄養素や与える時の注意点についてまとめました。

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βカロテン

βカロテンはビタミンの前駆体であるプロビタミンの一種であり、がんに効果があるとされる栄養素です。もっとも、がんやその他の疾患への効果は効果がないとする研究結果もありますが、一般的には健康効果があるという結論が大勢を占めています。

βカロテンも、抗酸化作用により老化や臓器の劣化に抵抗するエネルギーとなります。βカロテンの抗酸化作用はとりわけ強く、その点での健康効果ではビタミンC以上のものが期待できるようです。

活性酸素の除去が健康を促進するのは、犬の場合でも人間の場合でも同じであるとされています。そのため、βカロテンによる健康維持はおおむね推奨される流れとなっており、抗酸化作用による毒素の無害化を期待できます。

活性酸素は、コレステロールを酸化させてLDLコレステロールへと変化させ、それが血管壁に付着することで動脈硬化や心不全などを引き起こす可能性が指摘されています。活性酸素や抗酸化物質による悪影響や改善効果はいまだ議論されているのも事実です。

しかし、抗酸化物質による毒素や害はなく、あくまで効果性が疑われるというのが反対論となっています。そのため、βカロテンが真に老化や臓器の疾患への対策として有効かどうかは置いておいたとしても、摂り入れて損はない物質です。

ペクチン

ペクチンは植物の細胞壁や中葉に含まれる多糖類の仲間であり、食品添加物として甘味を加えるために広く使用される物質でもあります。果物で言うならばリンゴやレモン、オレンジなどの皮にも含まれています。

ペクチンは細胞壁に介在し、細胞をつなぎ合わせる役割があります。ヒトの消化管内では消化できないため、食物繊維として機能するのが特徴ですが、犬にも胃腸に優しい食物繊維として機能します。野菜に含まれる食物繊維と比べると、水溶性で胃腸に負担をかけない物質です。

ペクチンは犬の腸内で細菌のえさとなり、消化活動を活発化させる機能があります。子犬の場合は特に、胃腸がまだ十分に発達しきっていないため、下痢や消化不良を起こしがちです。そこで、すりおろした柿やリンゴを与えることでペクチンを摂取させ、腸内細菌の活動を活発化させることが可能になります。

犬の下痢や水様便が続く場合は、やはり動物病院で診断を受けてから、柿やリンゴ、にんじんのすりおろしでペクチンを摂取させた方が有効な場合もあります。ペクチンは、他の食物繊維と混ざり合うことで発酵をコントロールする作用があり、犬の腸にとって優しいと言われています。

タンニン

柿の渋さの原因物質となるタンニンは、植物界に広く存在する水溶性化合物です。スイカやメロン、キュウリ、さらにはザクロやお茶などにも含まれるタンニンも、やはり抗酸化作用が強くアンチエイジングに効果的とされています。ポリフェノールの一つでもあり、渋柿にはとりわけ多く含まれています。

タンニンは、口に含まれた途端に舌や口腔粘膜のタンパク質と結合して変質させる収れん作用があり、味というよりは痛みなどと同じ刺激を引き起こすというのが広く受け入れられている説です。

渋柿でも干すと甘味を増すのは、タンニンが濃くなることで溶けにくくなるためです。粘膜の分泌を抑える効果があり、下痢や整腸作用が期待できます。

しかし一般に知られているように、渋柿はかなりの苦みを示し、実際にタンニンが他の果物と比べて圧倒的に多く含まれています。苦さや渋みで代表的な、お茶やワインと並ぶタンニンの含有量を誇ります。

タンニンそのものがどの程度犬にとって健康効果を発揮するのか、これもはっきりしたことが解明されていないのは事実です。

一部のケースにおいて、タンニンが多く含まれる食品を口にしたことで腸壁に付着して剥がれ落ち、下痢や血便になった犬の症例が報告されています。

犬も年齢と共に栄養素や物質の処理能力が弱るため、中にはタンニンが原因で消化不良を起こす犬もいるようです。犬が高齢の場合、柿の与え過ぎに注意するのが最善です。

柿は食べられるが、与え過ぎは悪影響になる

犬と柿

KPG_Payless/shutterstock.com

以上のような理由から、犬は柿を食べても問題ないと言えます。しかし当然ですが、柿から犬が必須栄養素すべてを摂取することはできません。健康に良い栄養素を多く含んでいるものの、本当に必要な栄養素はあまり含んでいないというのが事実です。

犬は基本的に、「タンパク質」「脂質」「炭水化物」を必要としており、柿には炭水化物が多く含まれているにすぎません。タンパク質と脂質、さらには食物繊維やミネラルも含んでいるものの、犬の健康を促進するほどの量を取るには果糖やエネルギーの過剰摂取が懸念されます。

時折、旬の美味しい柿を少量与えるにとどめる方が良いでしょう。特に、果糖の過剰摂取は糖尿病や肥満などの生活習慣病を引き起こしかねないため、適量にとどめたいものです。犬は猫と違って甘味を感じる動物です。猫は興味を示さない食材でも、犬は甘い香りや味に引き付けられて過食してしまうこともあります。

旬の柿を美味しそうに食べる様子を見ていると、思わず次から次へと与えたくなるものですが、過剰摂取を避けるために少量を、あくまでおやつやご褒美として与えるようにしてください。

タンニンや種など、幾つかの理由で食べない方が良いとも言われることがあります。しかし、愛犬が明らかにアレルギー反応を示すとか、嫌がって食べない場合を除けば、過剰摂取を避ければ適量を与えるには問題ないというのが一般に受け入れられた見方となっています。

犬と柿の関係について徹底的に調べた研究や報告がないためですが、どんな食材でも適量を守れば著しく健康を損なうことはないでしょう。犬にとって必要不可欠なタンパク質や脂質、さらには水でさえ過剰摂取は死に至る原因になります。

愛犬の様子や数日間の便の状態、水を飲む回数や尿なども見ながら、与え過ぎに注意して与えるようにしましょう。また、与える時には食べやすい大きさにしてあげるのも大切なことです。

まとめ

食事はバランスよく

Yuriy Golub/shutterstock.com

時折、オーガニックであれば犬は健康になる、という強い意見も見られます。確かに、人工的な添加物や加工食品が入っていない方が健康的に“見える”のは事実ですが、犬の体は私たちが想像するよりも頑丈に出来ています。

もちろん、人間よりも寿命が短く耐性も弱い犬をいたわるのは当然です。しかし、偏った知識やイメージだけで犬の健康を保つことはできず、手作りフードやオーガニック食材がかえって犬の寿命を縮めることも十分にあり得ます。

手作りフードと聞くと、本格的で市販のフードよりもはるかに健康的なイメージを思い浮かべがちです。ところが、残念ながら多くのメディア媒体やSNSで紹介されている手作りフードの大半は、「エネルギー不足」「カルシウム・リンの過剰摂取」「ミネラル不足」が指摘されます。

つまり、人間の健康的なレシピを応用するとか、見栄えを優先したフードの内容では犬の健康を保つことが出来ず、逆に市販のフードにもはるかに劣る食生活になりかねません。手作りフードで養っていく場合、犬の個体差や年齢、運動量や体調なども考慮してメニューを考えなければなりません。

犬の栄養学に自信がない場合は、まずは市販のフードに少量の食材をトッピングするところから始めても損はないでしょう。一定以上の品質を保ったフードであれば、それ自体がすでに十分に必須栄養素を含んでいます。

そこに鶏ささみ肉やゆで卵など、タンパク質を効果的に吸収できる食材を追加したり、犬に健康的なリンゴや柿などの果物を食後に与えたりすることもできるでしょう。

無理なく犬の食生活を少しずつ改善していけば、手作りフードという称号に頼らなくてもしっかりと愛犬を養うことができ、体調不良も改善できるかもしれません。

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