犬に牛乳や乳製品は安全?危険?乳製品の影響を徹底調査!

犬に牛乳や乳製品は安全?危険?乳製品の影響を徹底調査!

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乳製品は私たちにとって身近な食べ物ですが、「犬に乳製品を与えるのは良くない」という意見を聞いたことがある人もいると思います。犬に乳製品を与えても大丈夫なのでしょうか?今回は牛乳やヨーグルト、チーズなどの代表的な乳製品が犬に与える影響についてまとめました。

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犬に乳製品は必要?

ヨーグルトを食べている犬

praditkhorn somboonsa/shutterstock.com

しかしそもそも、そこまでして犬に乳製品を食べさせるメリットはあるのでしょうか?結論から言うならば、「与える絶対的な必要はないが、摂ると健康効果が期待できる」といった程度です。乳製品によって必要な栄養素をいくらか摂ることもできますが、効率の面から考えるとそれほど理想的な食品ではありません。ですから乳製品をおやつ候補にする必要はないでしょう。

では犬にはどのような栄養素が必要でしょうか。必須の栄養素をいくつか挙げてみたいと思います。

タンパク質

タンパク質は、毛や皮膚、筋肉、人体や軟骨など体を作るアミノ酸を補給するのに必要です。免疫システムの恒常性を維持したり、ホルモンを生成して体のバランスを整えるのにも必要です。

タンパク質には動物性と植物性とがあり、犬は動物性のタンパク質の方が効率的にアミノ酸を補給できます。植物性のアミノ酸には、リジンやロイシンなど一部のアミノ酸が少なく、植物性タンパク質だけでは体を養うのに十分ではないようです。

犬は、人間と同じように雑食ですがどちらかというと肉よりであるため、動物性タンパク質が多い方が健康に良いです。アミノ酸そのものは全部で22種類ですが、そのうち犬は12種類を体内で合成し、その他の10種類を摂取しなければなりません。

タンパク質は、非必須アミノ酸を体内で生成するために必要な、窒素の供給源ともなります。つまり、体を作る材料であるアミノ酸全般の供給や生成に関わっており、不足すると身体機能を維持できなくなる非常に重要な栄養素です。

タンパク質が継続的に不足した場合、体の成長が止まってしまいます。生育不足や発育が遅れるだけでなく、身体機能の低下や体重が減って体力を維持できなくなります。逆に過剰摂取すると、脂肪やエネルギーが体内で余ってしまいます。

タンパク質は、分解されたときにアンモニアを生成します。毒性のあるアンモニアを処理するために、体は腎臓で尿素や窒素廃棄物に変換し、尿として排出しようとします。しかし、タンパク質が多すぎると腎臓で処理できなくなり、腎不全や腎臓がんなどの疾患を引き起こします。

炭水化物

炭水化物は、犬の体にとって即席のエネルギーとなります。タンパク質も体の機能を維持するエネルギー源ですが、タンパク質はすぐに燃やせるガソリンのようなエネルギーです。「犬にとって炭水化物は必須の栄養素ではない」とよく言われますが、炭水化物抜きで必要なエネルギーを維持するのは不可能と言っても過言ではありません。

タンパク質だけで必要なエネルギーを摂取しようとすると、かなりの量のタンパク質を食べなければなりません。そのため、炭水化物の摂取は半ば必須と言えます。

加えて、炭水化物は安価です。安く簡単に満腹感を得ることが可能なので飼い主にとってもいでしょう。ドッグフードは基本的に炭水化物を使用しています。

しかし、ご存知のように炭水化物は肥満の原因にもなり易いのが欠点です。デンプンやセルロースなどの多糖類は消化が悪く、繊維質なのが特徴です。満腹感は得られますが、消化できず栄養にはならないため食べ過ぎに注意です。

グルコースを多く含んだ炭水化物は、消化せずにそのまま吸収できる炭水化物です。手作りで炭水化物を含める場合、その内容や消化効率まで考える必要があります。デンプン、セルロース、ショ糖、乳糖は消化吸収が遅くなります。

脂質

犬も脂質を必要としています。タンパク質、炭水化物と比べると熱量が多く、熱源としては非常に効率的です。脂肪を摂取するとエネルギー補給と免疫機能の維持になり、体温を保つ効果もあります。

食べ物の味わいや風味を高めることもでき、脂質を適度に含んだ食事は大切です。脂質には脂肪酸が含まれており、新陳代謝や細胞膜の材料になるなど貴重な働きをする脂肪酸の摂取源になっています。

脂肪酸を含むのは植物系の脂質であり、トウモロコシ油やベニバナ油などから吸収できます。脂質が不足すると、毛のツヤや皮膚の健康が失われます。さらに、繁殖機能が弱まる、皮膚炎のリスクが高まる、流産や新生児の異常などの影響があります。

市販のドッグフードは、新鮮で十分な脂質を含んでいないことがあり、長期保存は脂質を酸化させます。こうなると十分な脂質を吸収できなくなり、必須脂肪酸不足が起こります。

しかし、脂質の摂り過ぎは膵臓や肝臓に負担がかかります。高脂肪フードなどを不必要に与えたり、人間が食べる食事をそのまま与えたりするケースでは、膵臓の炎症や肥満、動脈硬化や心疾患などを発症しやすくなります。

ビタミン

ビタミンも、犬にとって必須の栄養素です。ビタミンはエネルギー源にはなりませんが、体の様々な機能や免疫を保つのに必要で、身体の恒常性や皮膚の健康にも欠かせません。ビタミンには水溶性と脂溶性があり、水溶性ビタミンは尿によって排出されやすく、脂溶性ビタミンは体内に蓄積されやすいという特徴があります。

どちらも摂り過ぎは健康に良くありません。現代のドッグフードはビタミンを十分に含有しており、新たにサプリメントや特別なウェットフードなどで追加すると過剰摂取の原因になります。

不足に悩まされるよりは、ビタミンの過剰摂取の方が問題になりがちです。食欲不振や体重の減少、慢性疲労や歯の異常などが表れます。獣医師にビタミン不足と診断されない限り、特別に追加してやる必要のない栄養素でしょう。

ミネラル

ミネラルとは、カルシウムやマグネシウム、リン、鉄、カリウムなどを指しています。ミネラルの必要量は非常に少ないですが、ミネラルは体液のバランスや細胞の機能、神経の正常な作用や筋肉の運動に必要です。

貧血は血中の鉄不足から来ますが、鉄を十分に吸収していればヘモグロビン値が安定し赤血球がきちんと機能するようになります。

犬は11~12種類のミネラルを必要としており、バランスよく摂取することが重要です。特に、カルシウムとリンは骨や歯の健康に不可欠で、カルシウムが多いとリンの吸収が悪く、リンを多く摂取するとカルシウムの吸収が妨げられます。

これらのミネラルは、多くても少なくても体に不調をきたし、骨の異常が顕著に表れます。カルシウムやリン不足で骨粗鬆症や強度不足になると治療に時間がかかるため、避けたい症状です。

カルシウムとリンの両方を摂取しすぎると、今度はマグネシウムの摂取が妨げられて発育不足になったり、筋力が十分に出なかったりなどの症状が見られます。

犬にはバランスの良い食事を

エサを食べている犬

Dmytro Zinkevych/shutterstock.com

必須栄養素をいくつかあげてきましたが、これらの栄養素は乳製品で幾らかを摂取することも可能です。しかし、乳糖の消化という点で考えるとリスクがあり、おやつやご褒美以外に栄養素として与えるには役不足です。

また比較的安全なチーズは、発酵によって乳糖が少なく下痢などを引き起こすリスクは少ないものの、人間用のチーズは脂質や塩分が多いためやはり健康的ではありません。

ですからそれよりも、新鮮で十分な栄養素を配合したドッグフードに、時折ゆで卵を崩したものや旬の野菜を追加する方が、よほど健康的で犬の食欲も刺激できます。

また新鮮な水をいつも飲めるようにするのも大事です。ごく基本的なことですが、健康を保つうえで水の重要性を話さないわけにはいきません。体液の平衡や新陳代謝、消化活動や呼吸器系にも重要な成分です。水分が不足すると、身体の様々な機能が十分に機能しなくなり、10~15パーセントの水分が失われると死に至ります。

ちなみにミネラルの過剰摂取にならないためにミネラルウォーターを与えるのはやめましょう。人間が飲める水道水で十分です。

夏場は脱水症状に気を付けるとともに、水の飲み過ぎによって起きる水中毒にも警戒しなければなりません。水中毒は、犬の命を奪う隠れた刺客です。特に、春先の暖かく運動しやすい季節や、夏場水分補給を意識し過ぎた場合に起こりがちな中毒症状です。

水を摂取しすぎることで、体内の電解質のバランスや代謝をコントロールできなくなり、低ナトリウム血症などを起こします。これにより、呼吸困難や酸素供給不足、けいれん、嘔吐などの症状が見られます。遊びが楽しくてつい水もゴクゴクと飲んでしまうかもしれませんが、熱中症や脱水症状を避けたいがあまり水の飲ませ過ぎにも注意しましょう。

まとめ

今回は乳製品について説明してきました。愛犬の体格や体重、酵素の有無など犬の乳製品摂取に関する注意点はいろいろとあります。ですから乳製品を与える際は少しずつ様子を見ながらにしてください。しかし牛乳をそのまま飲ませるのはやめた方が無難です。

お腹を壊さない犬もいるとはいえ、牛乳は酵素不足により下痢などを引き起こすリスクが高過ぎます。腹痛や下痢などで普段の食事も楽しめなくなるため、犬の健康やストレスを考えても乳製品の不要な摂取は避けるのが賢明です。

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