【獣医師監修】犬にキノコを与えても大丈夫?キノコ類に含まれる栄養素と与える際の注意点を解説!【2023年版】
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獣医師
日本獣医生命科学大学卒。大学卒業後、沖縄の病院にて臨床経験を積み、関東、北陸で動物病院の院長として病院経営を行う。 現在は企業病院およびペット関連事業のコンサルティングに携わる。 また、猫の感染症や遺伝病の分野において大学と共同研究に取り組んでいる。講師歴:広島アニマルケア専門学校、日本獣医生命科学大学 動物病院経営学etc. https://okinawa-ahg.com/
キノコ類は「山の恵み」といわれるほど栄養豊かで、食物繊維も豊富に含まれている食材です。種類もたくさんあり、手軽に買うことができるのも魅力の一つです。でも犬が食べても大丈夫な食材なのでしょうか?今回は愛犬にキノコ類を与える際のメリットや注意点について取り上げていきます。
それぞれのキノコにみられる特徴
Rebecca Fondren Photo/shutterstock.com
これから、キノコがそれぞれどんな特徴があるのか、その点にスポットを当てて見てみましょう。
しめじ
まずしめじです。家庭によって違いますが、1番食卓にのぼる頻度が高いキノコといわれているのが、しめじです。料理に使いやすいサイズ感ということもあるので、なじみ深いと感じる人も多いでしょう
しめじには、βグルカン、ビタミンB群などの栄養素がしっかり含まれています。食物繊維の量は、だいたいさつまいもと同じくらいの量です。
エルゴステロールという、紫外線を浴びるとビタミンDに変化する成分も含まれています。他にも、肝機能アップに効果的といわれているオルニチンが、しじみの5倍以上含まれています。また、ビタミンDと同じくカルシウム吸収を助ける必須アミノ酸の1種であるリジン、きのこのうまみ成分で、血液をサラサラにしてくれるグアニル酸なども含まれています。
まいたけ
次にまいたけです。まいたけの特徴はなんといってもβグルカンです。ほかのキノコ類よりも量が多くて、その働きもとても強力です。まいたけに含まれているβグルカンは、「MDフラクション」と呼ばれており、特に抗癌作用にその効果が発揮されています。免疫機能を高めてガン細胞が増えるのを抑えます。抗ガン剤の治療効果を高めます。さらに抗がん剤の副作用を抑えます。まさに至れりつくせりですね。
このような効果があるということが研究でわかっていて、実際にがん治療にも使われているようです。
さらに糖尿病や高血圧の予防にも有効と言われていますし、脂肪の分解をサポートしてくれる「キノコキトサン」や、亜鉛やカリウムも含まれています。また、まいたけには三大栄養素の代謝を促してくれます。細胞の新陳代謝を活発にして皮膚や粘膜を保護してくれるナイアシンも豊富に含んでいます(キノコ類の中でもトップクラス)。
しいたけ
つぎにしいたけです。「日本の食卓に最も馴染みのあるきのこと言えばしいたけ」と言われる方も多いのではないでしょうか。間違いなく、人気も知名度もともにナンバー1といえるでしょう。しいたけ特有の成分である「レンチナン」はβグルカンと共に免疫機能を高めてくれますので、がんに抵抗する力を強力にサポートしてくれます。
また、がん予防、血圧低下、血中コレステロールを減らす効果が期待できるエリタデニンは、キノコ類の中でも、しいたけとマッシュルームにしか含まれない貴重な成分なのです。でも、マッシュルームにはほんの少ししか含まれていないので、実際はしいたけの独自成分と言っても大袈裟じゃないといえます。
ご存知の通り、しいたけは「乾燥」した乾燥シイタケも売っています。じつは生よりも乾燥シイタケ(干ししいたけ)のほうがビタミンD、ビタミンBが豊富に含まれていて、栄養価が高いのです。グアニル酸(生は少なめです)やグルタミン酸も豊富に含まれていて、旨味がたっぷりなのもしいたけの特徴といえます。
えのきだけ
えのきだけはどうでしょうか。ほかのきのことはちょっと見た目がちがっていて、細いもやしのような頼りなさを醸しだしています。しかしその外見とは裏腹に、キノコ特有のビタミンB群、ナイアシンに加えて、ストレスを緩和するといわれるアミノ酸である「GABA」や、内臓脂肪を減らす作用を持っている「キノコキトサン」、葉酸やカリウムなども含んでいたりと栄養豊富なのです。
それに何と言ってもえのきだけは、キノコ類の中でももっとも抗酸化作用が高いのが特徴です。さらに、えのきだけの特有成分「EA6」という糖タンパクの力がすごいのです。えのきだけをたくさん食べている人は、ほとんど食べることのない人に比べて「がんが少ない」という研究結果が出ており、これは免疫力を高めてがん細胞を抑制するこの成分によるものと考えられているのです。
なめこ
なめこはどうでしょうか。なめこというと、主にお味噌汁に入っているというイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。幼少期には、特に好き嫌いがはっきりと分かれてしまうようですが、なめこが好きな子どもは何とも言えないぬるっとした感じを好んでいるみたいですね。
なめこの特徴といえば、やはり「ぬるぬる」です。この点はほかのきのこ類と明らかにちがうポイントです。 たんぱく質の吸収を助けたり、ドライアイの予防に効果的だったり、抗ウィルス作用もあったりと嬉しい働きが期待できます。ちなみになめこの食物繊維は「不溶性2:水溶性1」という先ほどの理想的な割合でバランスが取れているのも特徴といえます。
エリンギ
つぎにエリンギです。エリンギはほかのきのこと比べると、ひとかたまりで大きなイメージがあります。エリンギはしっかりした歯ごたえが特徴ですが、風味はイメージとは全く違うので「なんちゃって松茸ごはん」にもよく利用されているほどです。
また、ナイアシンも多く含まれているので、皮膚や粘膜の炎症を抑えたり代謝を良くしてくれたりします。さらにキノコの中でも食物繊維が多く含まれています。また、しめじほどとはいきませんが、エリンギにも肝臓の解毒作用をサポートしてくれる「オルニチン」が多く含まれていて、しじみの約2倍ほど含まれています。
まだまだこのほかにもキノコには種類がたくさんありますが、このようにいくつかのキノコについて見ていくだけでも、キノコに含まれている栄養素はたくさんあることが分かるのではないでしょうか。まとめると以下のようになります。
・どのキノコにもビタミンB群やビタミンD、食物繊維が多い ・多くのキノコにカリウム、ナイアシン、パントテン酸が豊富に含まれている ・免疫力を高めるβグルカンの効果はがん予防に良い ・アレルギー予防や、血糖値やコレステロール値を下げる効果がある ・ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるので、犬には最適の食材
このような感じでたくさんの栄養素が含まれているキノコ類ですが、特に注目されているものを3つ挙げるとすれば、やはり「がん予防になる」という点ではないでしょうか。日本人の死亡原因として常にトップクラスにいるがんですが、キノコパワーを見るともっと定期的に食べたくなりますよね。
キノコ類は手に入りやすい食材なので、ぜひ愛犬のごはんにプラスしてみてくださいね。
犬にキノコを与える際に注意すべきこと
Panat Molsom/shutterstock.com
キノコは犬に与えても大丈夫な食材ですが、いくつかの注意点もありますので、様子を見つつあたえるようにして見てくだいね。以下のような注意点を意識してください。
与えすぎ
まず与えすぎには注意しなければいけません。キノコは食物繊維が多い食材ですので、適量であるなら犬にとっても有益な栄養素になりますが、与えすぎてしまうと消化不良を起こしてしまい、嘔吐、軟便、下痢などの症状を引き起こしてしまいます。最初に与える時には少量から試してみて、その犬それぞれの適量というものを見極めあげることが大切です。
調理方法
また、キノコをあげる時には細かく刻んであげたり、加熱してあげることは必須です。犬は繊維質の消化が苦手ですので、大きな塊のままあげてしまうと、うまく消化することができずにうんちとしてそのまま出てきてしまいます。キノコの細胞壁を壊して消化を良くするためにも、細かくそして必ず加熱することが必要です。
アレルギー
稀に、犬の中にもキノコアレルギーを持っているという場合もあるようです。ですから初めて食べさせるときには、やはり少量で体に変化が起きていないかどうかをよく見てあげてからにしましょう。
まとめ
今回は犬とキノコとの相性にフォーカスをあててみました。キノコの種類の多さだけではなく、含まれている栄養素についても細かく見てきましたが、こうしてみると改めてキノコの力はすごいと感じますよね。
人間のからだだけではなく、キノコは犬にも良い健康パワーをもたらしてくれるはずです。紹介した注意点に気をつけながら、犬の食生活に活用してみてください。
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我が家のトイプードルは、暇さえあれば肉球を舐めています。やめさせる方法はないでしょうか?