ファシリティードッグはどんな仕事をする犬？1日の仕事に密着しよう！

ファシリティードッグの1日

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では、ベイリーがファシリティードッグとして勤務した例から、1日の流れをみてみましょう。

すでに引退しているベイリーですが、ベイリーはハンドラーの森田さんと一緒に暮らしていました。朝起きるとまず森田さんと一緒に散歩に出かけ、ごはんをもらい、ブラッシングや歯磨きなどのお手入れをしてもらいます。その後、病院へ出勤します。

10時頃から業務を開始し、活動1時間ごとに1時間の休憩をします。16時頃まで働いて退勤し、その後森田さんと一緒に散歩に出かけ、ごはんをもらって1日の活動が終了となります。

勤務中のベイリーのスケジュールはハンドラーである森田さんが管理し、手術室への同行や注射の付き添いなど先に分かっている予定を中心に、ターミナル期（終末期）の子どもたちの病棟を重点的に回っていました。

もちろん犬を苦手とする子もいますが、時間と共に慣れ、犬が苦手な保護者もベイリーなら大丈夫という方が多かったようです。ベイリーは病院幹部の部屋はもちろん、看護師の部屋、検査室、治験管理室なども自由に歩き回れたため、病院のスタッフたちもベイリーに触ることで癒されていました。

ファシリティードッグの医学的な成果とは？

検査の中でも強い痛みが伴う骨髄穿刺（こつずいせんし）の際、ファシリティードッグが処置室に一緒に入った時と入らなかった時では、唾液アミラーゼの示すストレス値が違うことが、静岡県立こども病院で看護師が行った研究から分かっています。

ファシリティードッグが処置室に入っていないときは、ストレス値がピークになるようですが、ファシリティードッグが側にいるとストレス値が上がらないという結果が報告されています。

検査をする30分前くらいからファシリティードッグが子どもたちに付き添うことで、子どもたちが安心して検査に臨めるのなら、ファシリティードッグがもっと多くの病院に必要と言えるのではないでしょうか？

全国で3例目のファシリティードッグ「アイビー」

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令和元年8月1日より、都内初・東京都立小児総合医療センターでファシリティードッグが導入されました。ラブラドール・レトリーバーの「アイビー」です。

2017年1月22日生まれのアイビーは、アメリカ合衆国カリフォルニア州シアトル郊外育ちで、ハワイ州にで研修を終了しています。日本では初のラブラドルレトリバーのファシリティードッグです。

アイビーのハンドラーとして、看護士として16年も臨床経験を持つ大橋真友子（おおはしまゆこ）さんが活躍しています。

アイビーはベイリー同様、子どもたちと触れ合うことはもちろん、検査や手術室への同行、採血や処置の現場、リハビリなどの治療計画などで活動しています。アイビーもほかのファシリティードッグ同様、周囲の人の気持ちを汲み取って接することがとても上手です。

そもそも犬の脳の聴覚野には、人間の喜怒哀楽や体調を読み取ることができる特別な能力が備わっていますが、アイビーはいつも病棟で子どもたちと接しているため、その能力にさらに磨きがかかっていると思われます。

実際子どもたちと遊ぶときは楽しそうに指示を待っていますが、検査前で不安な気持ちになっている子の前では静かに目を閉じて寄り添ってくれます。また子どもが不安そうな声を出すと、さらに身体を近づけ、まるで”ここにいるから大丈夫だよ。安心して！”と言っているかのようです。

もちろんアイビーは子どもたちの痛みを取り除くことはできません。でも不安な気持ちを軽減させ、安心感を与えることはできます。アイビーが病棟にいることが潤滑剤となり、患者さんだけでなく、医療スタッフや家族とのチームワークにも貢献してくれます。

これからもファシリティードッグ・アイビーの活躍が期待されています。