シャルプラニナッツについてもっと知ろう!その特徴や性格を詳しく紹介!

シャルプラニナッツについてもっと知ろう!その特徴や性格を詳しく紹介!

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シャルプラニナッツは稀少な犬種のひとつです。外交で用いられるほど名犬ですが、日本ではあまり知られていません。ではシャルプラニナッツとはどのような犬種なのでしょうか?今回はシャルプラニナッツの特徴や性格についてご紹介したいと思います。

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はじめに

昔から外交で犬を贈り物にすることが行われてきました。かつては門外不出とされてきたチベタンスパニエルも、チベットからヨーロッパの各国に贈り物として差し出され、世界に知れ渡るようになりました。日本では秋田犬が贈り物として差し出されることがあります。

ロシアのプーチン大統領は2012年に、東日本大震災の復興支援のお礼として秋田犬の「ゆめ」を贈られています。犬好きとしても知られているプーチン大統領ですが、2019年1月のセルビア訪問の際にシャルプラニナッツの「パシャ」を贈られました。

シャルプラニナッツってあまり聞いたことのない犬種ですよね?外交で用いられるくらいですから名犬であることは確かです。このシャルプラニナッツとはどのような犬種なのでしょうか?今回はシャルプラニナッツの特徴や性格についてご紹介したいと思います。

シャルプラニナッツについて

体の大きいシャルプラニナッツ

GPPets/shutterstock.com

相当の犬好きでない限り知らないのではないかと言うくらい稀少な犬であるシャルプラニナッツですが、いったいどんな犬なのでしょうか?ここではシャルプラニナッツの歴史について紐解いてみましょう。

シャルプラニナッツってどんな犬?

シャルプラニナッツは旧ユーゴスラビア原産の大型犬です。かつては「イリリアンシェパードドッグ」として国際畜犬連盟(FCI)に登録されていましたが、その後現在の「シャルプラニナッツ」として登録されるようになりました。「サルプラニナッツ」と表記されることもあります。

旧ユーゴスラビアは現在のクロアチア、セルビア、スロベニア、ボスニア、モンテネグロ、マケドニアの6か国のことです。マケドニア、アルバニア、コソボにまたがるシャル山地で護畜犬として飼育されてきたことからマケドニア原産と表記されることがあります。

シャルプラニナッツの歴史

シャルプラニナッツの詳しい起源については知られていませんが、少なくとも紀元元年には犬種として存在していたと考えられています。アジアからヨーロッパ経由でバルカン半島にやってきた大型犬がシャルプラニナッツの祖先だとされており、古代犬種の一つです。シャル山地にて、優秀な護畜犬として大切に飼育されてきました。

シャルプラニナッツの主な仕事は羊の番でした。子犬の頃から羊と一緒に育てられ、雨や雪が降る厳しい季節でも屋外で生活し、大切な羊を泥棒やオオカミなどの猛獣から守るのが仕事でした。力強い大型犬で、命を懸けてでも羊を守る献身性があったので、羊飼いから重宝される犬種だったようです。

2つの世界大戦により多くの犬種が絶滅の危機に陥るようになりました。特に食事量の多い大型犬は食糧難の影響などにより絶滅寸前になることがありましたが、シャルプラニナッツは優秀な護畜犬として大切に育てられていたため、戦時中も頭数を激減させることなく生き残ることができました。

しかし、その後に起こった旧ユーゴスラビアの紛争の影響は免れることができませんでした。激しい紛争の中、シャルプラニナッツも頭数が激減し、絶滅の危機に陥ることになりました。原産地ではシャルプラニナッツが見られなくなってしまったとも言われています。しかし、飼い主と一緒に疎開することができた個体は、疎開先で繁殖が進められ、わずかながら頭数を保つことができました。

旧ユーゴスラビアの紛争がおさまると、やがてシャルプラニナッツが原産地に帰還するようになります。こうして頭数を増やしていくことができたシャルプラニナッツは、1939年に「イリリアンシェパードドッグ」として国際畜犬連盟(FCI)に公認されます。そして1957年にはユーゴスラビアの犬種協会が「シャルプラニナッツ」に名称を変更するように要請しました。

ユーゴスラビアでは1970年までシャルプラニナッツを国外に持ち出すことを禁止していましたが、近年では優秀な護畜犬としてアメリカやカナダに渡るようになっています。ペットやショードッグとして飼育されることはそれほど多くなく、主な用途は作業犬として広く使われています。

日本においてはほとんど知られていない稀少犬で、ジャパンケネルクラブ(JKC)にも登録されていません。魅力的な犬種ではありますが、大型犬であるため日本で飼育できる人も限られていると言えるでしょう。

シャルプラニナッツの特徴

雪の中を歩いているシャルプラニナッツ

TPGryf/shutterstock.com

日本では稀少犬としてあまり知られていないシャルプラニナッツですが、どのような特徴を持つ犬種なのでしょうか?ここではシャルプラニナッツの特徴について解説します。

成長すると65㎏~100㎏にまでなる大型犬

シャルプラニナッツは成長すると体高が70cm~85cm、体重が65㎏~100㎏にまでなる大型犬または超大型犬です。日本の秋田犬をひと回り大きくしたくらいだとも言われています。太くてがっしりした骨格を持っていて、被毛が豊富なためさらに大きく見えることでしょう。大型で力も強いため、散歩をするには相当の引く力が求められます。

極寒にも耐えられる厚い被毛

シャルプラニナッツはダブルコートの厚い被毛に覆われています。オーバーコートは10cm以上あり、アンダーコートとともに密生して生えています。フワフワとした厚い被毛は大型のシャルプラニナッツをさらに大きく見せています。

シャルプラニナッツは優秀な護畜犬として屋外で飼育されてきました。シャル山地では雨の日や雪の日など厳しい季節を迎えることもありますが、極寒にも耐えることのできる厚い被毛がシャルプラニナッツの体を守ってきました。

オオカミやヒグマから家畜を守る強者

シャルプラニナッツは護畜犬として羊を守ってきましたが、敵として立ち向かわなければならなかったのは泥棒だけでなくオオカミやヒグマなどの猛獣でした。子供たちを含む家族全員を守ることも必要でしたが、シャルプラニナッツは勇敢にも命を懸けて大切な飼い主とその家族、羊を保護することで重宝されてきました。

命がけで羊を守るシャルプラニナッツは、たとえ自分が大ケガを負ったとしても、執念深く最後まで任務を全うすることで知られています。また、自分の命を失うようなことがあっても、必ずオオカミの群れの一匹は道ずれにしたとも言われています。

シャルプラニナッツの性格

熊の近くにいるシャルプラニナッツ

Melanie Sommer/shutterstock.com

ペットやショードッグとしてよりも、護畜犬として能力を最大限に発揮してきたシャルプラニナッツですが、どのような性格をしているのでしょうか?ここではシャルプラニナッツの性格について解説します。

物静かで飼い主に忠実

シャルプラニナッツは他の大型犬と同じく、基本的に物静かであると言われています。落ち着きがあっておとなしい性格の個体が多いということです。優秀な護畜犬として飼育されてきた歴史からわかるように、飼い主に忠実な性格をしているのも特徴です。飼い主のことが大好きで、命がけで守るほどの忠実さを持っています。

もちろん子犬の頃からしっかりと愛情を注いでしつける必要があります。力の強い大型犬なので言うことを聞かなくなると大変なことになってしまいます。大切な家族の一員として育ったシャルプラニナッツは、子供たちとも仲良くすることができます。

警戒心が強い

飼い主や家族にはよく慣れて愛情深さを見せることがあるシャルプラニナッツですが、見知らぬ人に対しては警戒心が強いと言われています。防衛本能を強く示すことがあるので、来客の場合は飼い主と仲がいいこと、危険人物ではないことを示さなければなりません。屋外飼育ができるので番犬としても優れた能力を発揮することでしょう。

勇敢で執念深い

一度敵対心を抱くとオオカミやヒグマのような猛獣を相手にしても怯まない勇敢さと、大ケガや命を失うことがあったとしても最後まで戦う執念深さを持っています。

番犬として飼育する際はこの性格が裏目に出ないようにしっかりとコントロールする必要があるでしょう。勘違いで誰かを敵だと認識してしまうと執念深く戦ってしまうので、「マテ」や「オスワリ」などのコマンドによって落ち着かせる必要があります。

シャルプラニナッツの飼育について

飼い主と散歩しているシャルプラニナッツ

Maximilian100/shutterstock.com

魅力的なシャルプラニナッツですが、もしも飼育する機会が訪れたならどうすればいいでしょうか?ここではシャルプラニナッツの飼育について解説します。

屋外飼育に向いているタフな犬

極寒の地でも屋外で飼育されてきた歴史があるので、日本の厳しい冬でも耐えることができるタフな犬だと考えることができます。番犬としても優れているので防犯にピッタリの犬種だと言えるでしょう。室内飼育をしたい場合は、大型犬のシャルプラニナッツが自由に動き回れるほどの広いスペースが必要です。

厚い被毛に覆われているシャルプラニナッツは暑さには弱いと考えることができます。日本の夏は暑いので、熱中症にならないように注意する必要があります。暑い季節は冷房の効いた室内で過ごすといいでしょう。

散歩時間はたっぷりと

運動量が多い犬種でもあるので散歩時間はたっぷりと取る必要があります。1日1回は散歩するようにしましょう。大型で力強い犬種なので、女性や子どもが一人で散歩に連れて行く事はすすめられません。力のある人がリードを持つようにしましょう。

時にはドッグランで思いっきり走らせてあげましょう。警戒心が強いので、他の犬との接触は慎重に行う必要があります。しつけや社会化がしっかりできている必要があります。運動量が多いですが、子犬の時期は股関節形成不全のリスクを避けるために激しい運動はさせないようにしましょう。

稀少犬なので情報が少ない

日本では見ることのない稀少犬ですから、シャルプラニナッツについての情報が少ないことも忘れないでください。動物病院の獣医さんでもシャルプラニナッツを扱ったことがないというのがほとんどです。シャルプラニナッツの飼育についての情報収集に努めて、正しい知識に基づいて飼育するようにしましょう。

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