
猫もダウン症になる?!ダウン症の特徴を持つ猫とはいったい?
人間のように猫もダウン症を発症するのでしょうか?現段階では猫にもダウン症が発症するかどうかは解明されていません。ただ、ダウン症の方が持つ身体的精神的特徴に良く似た外見をしている猫が確認され、ダウン症の猫として過去に話題になったことがありました。この記事では猫とダウン症の関係を詳しく解説します。

猫にもダウン症は発症する?

Alena Ozerova/shutterstock.com
みなさんは”ダウン症”という病気をご存知でしょうか。名前は見聞きしたことがあっても、どのような疾患なのか、何が原因で発症するのかなど詳しいことは知らない・・という方が多いかもしれません。
人間同様、猫にもダウン症は発症するのでしょうか?現段階では残念ながら、猫にもダウン症が発症するかどうかは解明されていません。しかしダウン症は基本的に人間特有の先天性疾患なので、猫には発症しないと考えられています。
ただ、ダウン症の方が持つ身体的精神的特徴に良く似た外見をしている猫が確認されているため、ダウン症の猫として過去に話題になったことがありました。
それらの猫はダウン症であると診断されたわけではありませんが、その見た目がダウン症の特徴と類似していたため、”猫にもダウン症が発症するのでは?”と思われる方もいるようです。
この記事では猫とダウン症の関係について詳しく解説していきます。
人にダウン症が生じるメカニズムとは
ダウン症候群は約700人に1人の確率で発症すると言われています。特に日本では高齢出産が増えているため、ダウン症についてはたびたびニュースなどでも話題になっています。
そもそもダウン症とはどのようなメカニズムで発症する病気なのでしょうか?ダウン症候群とは、染色体の異常によって発症する先天性疾患のひとつです。
本来正常であれば23組46本で構成される染色体ですが、21番目の染色体が1本多い3本になってしまう「標準型21トリソミー」が、ダウン症全体の90~95%を占めます。
標準型21トリソミーの他には、全体の5%を占めるどちらかの親の21番染色体の1本がほかの染色体とくっついてしまう「転座型」、全体の数パーセントととても珍しい、正常な21番染色体を持つ細胞と21トリソミーの細胞の両方が混合している「モザイク型」と呼ばれる症例があります。
ダウン症の原因は現在のところ定かではありませんが、卵子・精子の分裂異常によって引き起こされるのではないかと考えられています。
では、ダウン症にはどのような症状がみられるのでしょうか?ダウン症は外見や身体的発達の遅れ、軽度の知的障害がみられる病気として知られています。
特にダウン症の子どもは頭がやや小さめで後頭部が絶壁、平たんで鼻が低い、両目が離れやや吊り上がっている、大きめの舌をしており前に出ている、顎が小さいなど特徴的な顔立ちをしています。
ダウン症にはあまり関係ありませんがそれぞれ個性があり、陽気で明るい社交的な子もいれば引っ込み思案な子もいますし、おっとりした性格の子もいます。
ダウン症の障害のひとつに軽度の知的障害が挙げられますが、自分で日常生活を送れる方もいれば、車を運転出来る方、大学を卒業している方などもいるので知的障害の幅は広く、ダウン症の症状として定義することは難しくなっています。
またダウン症といえば、生涯治らない重篤な先天性疾患というイメージを持っている方も少なくありません。それはおそらくダウン症が合併症を引き起こしやすいことが関係しているからでしょう。
確かに現段階の医療では、ダウン症そのものに対する根本的な治療法は残念ながら存在していません。ダウン症は循環器、消化器、耳鼻咽喉科、整形外科、血液内科などさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。
また、ダウン症は血液のガンでもある白血病も発症しやすく、非ダウン症と比較すると10~20倍の発症確率があるとされています。そのため平均寿命が短く、ダウン症は小児だけの病気と考えられていました。
しかし近年になって医療も進歩し、これらの合併症に対しての検査法や治療法が発達しています。その結果ダウン症を患っている方の寿命は大幅に伸び、平均寿命は約60歳と言われています。
ダウン症の特徴を持った猫とは

Eric Isselee/shutterstock.com
人のダウン症候群のメカニズムやその特徴をよく理解したところで、ダウン症の特徴によく類似したと話題になった猫の”モンティー”をご紹介しましょう。
デンマークに暮らしているミカエル・ビョーンとミカラ・クラインというカップルは、すでに数匹の猫を飼っていました。ある日、モンティーという名のオス猫を引き取ることになります。しかしこの時は、モンティーが普通の猫と少し毛色が異なっていることについて二人は気づいていませんでした。
そもそもモンティーは何年もの間、動物保護施設で暮らしていました。産まれつき鼻の骨がなく、外見が少し変わっていたため、なかなか引き取り相手が見つからなかったのです。
でもミカエルとミカラはモンティーに一目ぼれし、出会ったその日に家族として迎えることを決めます。その後、家にモンティーを迎えると、他の猫とは全く異なる行動をすることに二人は気づくようになります。
たとえばそのひとつに、モンティーは家のあらゆる場所で粗相をするという行動がありました。当初二人は縄張り行動の一環だと思い、特に気に留めていませんでした。
しかしある程度の時間が経過してもあらゆる場所でトイレを済ませるため、自分たちの家に馴染めてないのではないか?と心配になってきます。そこでミカエルとミカラは、モンティーが安心して住めるよう新たな家族、つまり里親探しを始めることにしました。
でも一度保護施設から引き取った猫を他の人に渡すのは無責任な行動ではないか?と思い始め、まずはかかりつけの獣医師さんの相談してみることにします。
すると獣医師さんから思わぬことを言われます。モンティーを診断した結果、ただ鼻骨が欠損しているのではなく、染色体異常を患っているのではないか?と獣医師さんが判断したのです。
つまりモンティーは、人間で見られるダウン症候群に似た症状を持っている、猫にとっては非常に珍しい病気を抱えていると言われたのです。
モンティーが今までしてきた他の猫とは異なる不思議な行動は、家に馴染めていないのではなく病気が関係しているという原因が分かり、二人は安心したそうです。
その後ミカエルとミカラは、モンティーの写真をFacebookやInstagramなどで公開します。するとモンティーの写真が話題となり、世界中から多くのファンを持つネット界のスターになります。
その人気に応えるため、ミカエルとミカラはモンティーのブランドを作り、その利益はモンティーが以前暮らしていた保護施設に今でも寄付されているそうです。このように非常に珍しいことですが、猫でもモンティーのように染色体異常をもって誕生する子もいるようです。
もちろん人間で言うダウン症候群はヒトの染色体に異常が起こることで引き起こされる疾患なので、モンティーの場合はダウン症候群ではありませんが、それに似た症状があらわれているのではないかと考えられています。
猫にダウン症候群は存在しません。しかしダウン症候群によく似た症状を持つ動物は、猫以外にも存在していると言われています。モンティーがどのような猫かを知りたい方は、FacebookやInstagramなどの投稿写真をチェックしてみてください。
Monty Happiness(@monty_happiness) • Instagramダウン症候群に似た症状が発症する動物とは

nodff/shutterstock.com
上記でご紹介したデンマークのモンティーのように、非常に珍しいケースですが猫でもダウン症候群に似たような症状を引き起こされることがあることが分かりました。
でも、ダウン症候群に似たような症状を引き起こすのは猫だけではありません。実はチンパンジーもダウン症候群に似たような症状を発症することが分かっています。チンパンジーの22番染色体異常が、ヒトの標準型21番トリソミーに相当するケースが確認されているのです。
また他にも、ダウン症候群とは定義されていませんが、トラにも猫のモンティーのようなダウン症候群に似た症状があらわれる症状が確認されています。そのトラとは、世界的にも有名になったテルペンチンクリーク野生動物保護区(Turpentine Creek Wildlife Refuge)で保護されている、ホワイトタイガーのケニーです。
ケニーの外見を見るとダウン症候群に似た特徴が当てはまるため、ダウン症のトラと呼ばれているようですが、これに反対する意見もあるようです。
その理由として、ホワイトタイガーがそもそもトラの品種ではなくベンガルトラに色素異常が発生した個体であるのに、ホワイトタイガーの人気を維持するために近親交配を無理やりしたことが染色体異常につながっているのではないかと言われています。
ダウン症候群はヒトの染色体に異常が引き起こされた病気なので、ヒト特有の病気と言えます。ダウン症候群に似た症状をもっている動物がいたとしても、それは全く同じ病気とは断言することはできません。
まとめ

Africa Studio/shutterstock.com
猫とダウン症候群の関係についてみてきましたがいかがでしたか?
医療や研究が発達しているとしても、まだまだ猫に関して解明されていない謎がたくさんあります。そのためダウン症候群についても、現段階では正しく立証されていません。
しかし猫にも染色体異常やダウン症候群に似た症状があらわれることが、デンマークのモンティーの事例から知ることができました。非常に珍しいことですが、モンティーのような症例があることを念頭に入れておくことができるかもしれません。
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