犬がスルメを食べても大丈夫?塩分の過剰摂取による健康のリスクを解説!
スルメは香りもよく、歯ごたえが健康に良い日本の食材です。塩気を感じながら、噛めば噛むほど旨みを増すスルメは、これからも日本の定番の食材、また肴であり続けるでしょう。そんなスルメですが、犬に与えても健康的な意味で問題ないのでしょうか?スルメにまつわる情報を幾つかまとめてみました。
高塩分と関連があると考えられる疾患
WilleeCole Photography/shutterstock.com
繰り返しになりますが、犬が高血圧や心臓病で死んだ原因が塩分過多の食生活、という症例や研究結果はありません。しかし、塩分が腎臓に負担をかけるというのは変えようのない事実です。
実際のところ、犬の高血圧は無症候性で、そのため全身性疾患の中で最も過小診断されている、と考える獣医師も少なくありません。動物の場合、高血圧はほとんどが続発性高血圧(他の疾患が原因で生じる高血圧)となっており、腎疾患や肝疾患などの疾患が原因として挙げられます。
研究結果やデータがないとはいえ、見過ごされている可能性もかなり高いのが現状です。ここで、犬の高血圧について考えてみましょう。愛犬が似たような症状を見せている場合、もしかすると血圧が高いことが原因なのかもしれません。
犬の高血圧
犬の高血圧自体は、現代でもよく見られる症状です。現状では、高血圧が直接の因子となって死亡したという事例は無いようです。しかし、高血圧が原因で発生する疾患はいくつも知られています。 犬の高血圧は「150/95mmhg以上」で、この範囲内であれば正常ということになります。
犬が慢性的に高血圧になっている場合、症状としては、
・網膜色素上皮の虚血性壊死を引き起こす網膜症 ・眼に網膜浮腫や血管の蛇行、出血による脈絡膜細動脈の収縮 ・脈絡膜症
などを発症します。心臓に関して言えば、
・血圧上昇 ・不整脈 ・心音を聞くと雑音やギャロップ音が確認される
などの症状が発生します。
他にも、脳への血流が過度に強くなることで運動失調や意識障害が発生したり、気分への影響が出ると攻撃的になったりうつ状態で元気がなくなる、などの様子が見られることもあります。
意識が正常に働いていないため、場所や人を忘れがちになったり、匂いや音に過敏になったりするかもしれません。脳にまで高血圧のダメージが響いている場合、回復しても以前と同じレベルにまで機能しないことがあり、後遺症が残るのが一般的です。
高血圧が収まれば悪化することはありませんが、腎臓などでは進行性です。
犬の血圧を測る
犬の血圧を測ることは可能ですが、専用の器具を必要とします。毛の量や状態によっては上手く計れないこともあり、常に複数回の測定が必要になります。
ドップラー血流検出、オシロメトリー、プォトプレチスモグラフィなどの非観察法を用いるのが一般的で、高血圧であった場合は原因究明と治療が始まります。症状緩和のための対症療法が用いられることもあれば、腎疾患やその他の病気の治療が必要と判断されることもあります。
しかし、多くの飼い主や犬がそこまで動物病院を受診することはまだ少ないようです。実際、高血圧や心臓病、腎臓病で亡くなる犬は統計より多いと考えられています。
高血圧は心疾患を高める
前述のように、高塩分で血液中のナトリウム値が上がると、体は水分を取り入れて濃度を調節しようとします。当然、水分量が増えることで血液量も多くなるため、心臓に過度の負担がかかります。
血圧が高いと心臓が血液によって大きくなり、血管壁や心臓の壁を刺激します。慢性的な刺激は壁を厚くさせ、柔軟性を失うことで動脈硬化の原因となります。これでは血液を十分に送り出すことが出来なくなるため、心臓は通常以上の負荷をかけて全身に血液を送ろうとします。
体調としては、いつもと同じ運動量なのに疲れやすくなったり、息切れや動悸を感じたりする程度です。
しかし、やがては心臓も疲弊して無理できなくなります。それでも血圧は引き続き高いため、今度は肺の中に血液中の水分が逃げるようになります。これが肺水腫です。
肺に水が溜まり始めると、肺の本来の機能である酸素交換が十分にできなくなるため、さらなる息切れや疲れの原因となります。心臓はやがて機能しなくなり、心不全の状態に陥ります。
心不全は人間の死因においても常に上位に来る危険な症状であり、長年の高血圧がたたって発症する身近な疾患でもあります。
犬の場合でも心疾患は第2位の死因となっており、報告されないものや動物病院を受診しないケースを含めると、さらなる数の犬が心疾患で亡くなっていると推察されます。
高血圧に気づく
愛犬が高血圧を患っている場合、一刻も早く気づいてやることが重要です。
以前より少ない運動量で、あるいはほとんど運動していないのに息切れしていたり、以前ほど運動しなくなったりしているようであれば、心臓に負荷がかかっているのかもしれません。
年齢を重ねると衰えていくものですが、1日中寝ていたりやたらと座り込みたがるのも症状の一つです。水を多く飲もうとしたり、咳が多くなったりするかもしれません。
さらには、酸素供給が上手くいかないために舌や唇が紫色になったり(チアノーゼ)、息切れを通り越して呼吸困難になったりすることもあります。
こうした症状が日ごろ認められる場合、単純に老いのせいにせずに出来るだけ早く診察を受けるべきです。水分を必要以上に摂ろうとする場合、今度は腎臓に負担がかかり腎不全のリスクも高まります。まさに悪循環であるため、早期発見によるリスク回避が重要です。
塩分が少ないのも危険
thitiwat_t1980/shutterstock.com
ここまでは(スルメに限らず塩分過多が関係していると思われる)高血圧に関してご紹介してきましたが、逆に塩分が少ない症状についても考えておきましょう。
意識して塩分を控える飼い主の方もおられるかもしれませんが、塩分が少ないとそれはそれで健康リスクに繋がります。塩分の過剰摂取は何のメリットももたらしませんが、塩分が必要な栄養素であることに変わりはありません。
ナトリウムの必要性や機能を理解したうえで必要とする塩分を補給させなければ、今度はナトリウム欠乏症や低ナトリウム血症などを発症しかねません。
ナトリウムが不足すると?
犬は、自分から塩を多めにかけたりスポーツドリンクを飲んだりして、塩分供給を適宜行うことができません。そのため、体から出て行こうとする塩分を守るために、肉球を舐めることが多くなります。
あるいは、土中に含まれているナトリウムで補うために、土を食べたり舐めたりすることもあります。飼い主の手を舐めることでナトリウムを補給できるため、いつもより手や顔を舐めようとする犬もいます。
方法は様々ですが、もし飼っておられる愛犬がこのような行動を以前よりも見せるようになった場合、ナトリウムが少ない食生活を送っている可能性があります。
舐めてくれるのは飼い主にとって嬉しいことかもしれませんが、それが愛情表現というよりはナトリウムの補給であった場合、与えているフードや食事内容を再考することで、きちんと栄養補給できているかどうかを調べなければなりません。
猫もナトリウムが必要
猫も飼っておられる場合、彼らもナトリウム補給が出来ているかどうか見てやる必要があります。猫は、犬と比べると必要とする栄養素がどうしても偏ってしまうことがあるからです。
猫は犬と違って肉食傾向が強いため、動物性タンパク質が不足すると栄養失調に陥ります。日本の伝統とも言える「ねこまんま(白米、味噌汁、かつお節)」は、猫にとって必要最低限の栄養しか補給できず、生きてはいけるものの健康ではいられません。特に、動物性タンパク質と脂質、ビタミンの不足が顕著です。
ところが、肉や魚を与えるだけでは不十分です。野生のイエネコやネコ科の動物であれば、獲物の内臓や血液、骨を食べることで各種栄養素を一度に摂取できますが、家庭で愛玩動物として飼う猫の場合、筋肉しか食べないのが普通です。
植物性の栄養素もきちんと含んだキャットフードは、多くの場合手作りフードよりも健康的です。猫は、犬の半分程度の塩分を必要としています。これが不足すると、成長不足や抜け毛、毛のツヤが失われる、皮膚が乾燥したり肌荒れを起こしたりなどの症状が見られます。
ナトリウム量が少なくなると、今度は水分摂取量も減るという現象が起こります。水分を摂取すると、血中のナトリウム濃度が必要以上に低下するため、体は水を飲もうとしなくなります。それでは結石が出来るリスクが高まり、手術や投薬で除去しなければなりません。
実際、尿石症が多いのは犬ではなく猫です。本来尿に溶けて出ていくはずのミネラルが過剰になるため、やがて析出して結石となります。結石を回避する方法の一つが水分補給であり、普段食べているキャットフードに塩をほんの少し追加するだけで、飲水量が飛躍的に増えるという研究結果もあります。
猫の水分補給には犬以上に気を使ってやる必要があり、それは塩分不足が大きく関係しているためと言えます。
まとめ
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話をスルメに戻すと、犬がスルメを食べても大丈夫です。アレルギーを持っている犬や過食でない限り、スルメが原因で体調を壊すことはないでしょう。生のイカや過剰摂取に気を付ければ、塩分を摂れる動物性タンパク質という、ある意味理想的な食材と言えなくもありません。
しかし、塩分過多や水分補給に気を付けましょう。犬は人間が与えるものしか食べることができません。気に入っているようだから、好んで食べるからといった理由で偏食させてしまうと、飼い主自ら愛犬の健康を奪い寿命を縮めてしまっていることになります。
犬は、あらゆる動物の中で圧倒的に人間への信頼を示す生き物です。彼らの貴重な命を預かる飼い主として、愛犬の栄養バランスは真剣に考えたい問題です。
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