
猫もおならするの?猫のおならが臭い理由や考えられる病気を解説
意外に思われるかもしれませんが、猫ちゃんもおならをします。しかも凄く臭いおならをします。なぜ、猫のおならはそんなに強烈な臭いがするのでしょうか?今回の記事では、猫のおならが臭い理由や、異常なおならから懸念される猫ちゃんの病気などについてもご紹介したいと思います。

猫ちゃんの「おなら」から分かること

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人間に比べると、珍しいことではありますが、猫ちゃんも普通におならをします。それで、飼っている猫ちゃんがおならをしても、過度に心配する必要はありません。
しかし、あまりに頻繁におならをしたり、いつもと違う異常な臭いのするおならをする場合には、健康状態に問題を抱えていることもあります。おしっこやうんちは正常に出ているか、お腹が張っていないかなど、猫ちゃんの様子を観察しましょう。
異常なおならをする場合、どんな病気が疑われるのでしょうか。おならが症状としてあらわれる可能性がある病気を、幾つかご紹介します。
食物アレルギー
食物アレルギーとは、食物の中に含まれている特定の物質が「アレルゲン」となり引き起こされる、過剰な免疫反応のことです。
正常に働いている免疫機能は、「ウイルス」などの有害物質が体内に侵入してきた時に、攻撃して排除します。しかし、免疫機能が過剰に反応してしまうと、食べ物を摂取した時に吸収される栄養素など、まったく身体にとって無害な物質が、有害なものであると認識されてしまいます。
結果として、アレルギー反応によってさまざまな影響が身体にあらわれます。例えば、下痢や嘔吐などがあらわれます。また、腹部の痛みや腫れ、発熱などの症状が起きる場合もあります。
腹部の腫れなどに伴って、おならが出ることも多いので、異常なおならが続く場合には、食物アレルギーを引き起こしている可能性があります。
さらに、全身にかゆみが生じることも多くあります。猫ちゃんがかいたり、舐めてしまうために、毛が抜け落ちてしまい、周囲の皮膚がただれてしまうこともあります。
猫にとって「アレルゲン」になりやすい食材には様々なものがあります。例えば、牛肉や魚、鶏肉などの「動物性たんぱく質」によって、食物アレルギーを発症する可能性が高いようです。
また、小麦やトウモロコシなどの「穀類」に反応して、アレルギー症状が生じる場合もあります。
同じ食材を食べ続けることによって、食物アレルギーを発症することもあります。それで、今まで食べていた食材が、ある日を境に「アレルゲン」になる可能性があります。日頃から食後の猫ちゃんの様子を観察して、異変がないかどうか確認するようにしましょう。
膵外分泌不全症
猫ちゃん脾臓には、主に内分泌と外分泌の二つの分泌機能があります。基本的に、内分泌機能は「ホルモン」などの生成と関係しています。一方、外分泌機能は「消化酵素」の生成と関係しています。
膵外分泌不全症とは、この脾臓の外分泌が機能不全に陥ってしまう病気です。外分泌機能が働かないので、消化酵素である膵液が生成されなくなります。
具体的に言うと、外分泌部では、「リパーゼ(脂肪分を分解)」や「アミラーゼ(デンプン質を分解)」、「ヌクレアーゼ(核酸を分解)」や「トリプシン(タンパク質を分解)」などが生成されています。
猫ちゃんが「膵外分泌不全症」を発症する原因としては、慢性膵炎などの他の病気が影響している可能性があります。また、犬と比べると猫の発症リスクは低いですが、膵臓が委縮してしまうために、外分泌腺も委縮して機能不全に陥ることもあります。
「膵外分泌不全症」を発症すると、摂取した食べ物の栄養素を分解することが難しくなるので、消化不良に陥ります。たくさん食べるようになりますが、栄養素をしっかり吸収できないのであまり太りません。
また、食事量が増えるので、うんちがいっぱい出るようになります。さらにお腹が鳴ったり、おならが出ることも多くなります。
腸閉塞症
腸閉塞症とは、名前の通り何らかの理由によって腸の中が閉塞(詰まる)してしまう病気です。「イレウス」と呼ばれることもあります。
猫が「腸閉塞症」を引き起こす理由には、多くの原因があります。例えば、猫は自分で舐めて毛繕いを行いますが、その時に多くの毛を飲み込んでしまいます。そうした飲み込んでしまった毛が固まってしまい、毛玉となって詰まってしまうことがあります。
また、誤って消化できない物質を食べてしまったために「腸閉塞症」になることもあります。腸内に腫瘍ができていたり、炎症によって腸管周囲の臓器が肥大した結果、閉塞が生じる場合もあります。
加えて、外科的手術によって切開を行っていると癒着が生じやすくなります。胃腸に関係した手術を行っている猫の場合、「腸閉塞症」を発症するリスクが高くなります。
「腸閉塞症」になると、閉塞が生じている部分で消化物がせき止められてしまいます。そのため、閉塞部より手前に消化物が蓄積していきます。結果として、腹部が腫脹して激しい痛みを引き起こします。
「腸閉塞症」を発症した猫は、腹部の痛みゆえに、背中を丸めてお腹をかばったような姿勢になります。また、食欲が低下して、元気がなくなります。さらに嘔吐などの症状があらわれることもあります。
閉塞が起きているので、うんちが出にくくなります。しかし、腸内に溜まったガスだけが排出されて、臭いおならが出ることがあります。
小腸性下痢症
小腸性下痢症は、小腸の働きに異常が生じることによって「うんち」が緩くなり、下痢が引き起こされる病気です。
小腸には、腸管内を通る消化物の水分量を保つ働きがあります。それで、小腸が正常に機能していれば、下痢になることはありません。
しかし、小腸の働きが鈍ると、消化物の水分量を調整できなくなるので、水分を過剰に含んだうんちが小腸を通過して、下痢として排出されます。
「小腸性下痢症」を発症する原因としては、「慢性腸炎」や「胃潰瘍」、「膵外分泌不全症」や「尿毒症」など、他の基礎疾患が原因となるケースが多いようです。
また、「サルモネラ菌」や「ヒストプラズマ」などの真菌が影響して、「小腸性下痢症」を発症する場合もあります。「ジアルジア」や「糞線虫」といった寄生虫の感染によって生じることもあります。
「小腸性下痢症」を発症すると、下痢になるだけでなく、うんちの回数が増えます。また、一回で排出されるうんちの量が増えます。
さらに、お腹が腫れてきたり、お腹が鳴ることが多くなります。そして、おならをすることが多くなります。
まとめ
いかがでしたか。意外に思われた人も多いと思いますが、猫ちゃんもおならをします。しかも凄く臭いおならをします。「ぷ~」という音を立てておならをすることは珍しく、多くの場合「すかしっ屁」をします。
おならをすることは自然なことなので、過度に心配する必要はありません。しかし、あまりに臭い場合には、キャットフードなどが体質に合っていない可能性があるので、猫ちゃんの食生活を見直しましょう。
また、猫ちゃんが異常におならをする場合には、「小腸性下痢症」や「腸閉塞症」など、消化器官に関係した病気を抱えている恐れがあります。お腹が張っていないか、下痢気味ではないかなど、健康状態を確認しましょう。
命に関係する深刻な病気の兆候である可能性もあるので、異変を感じた場合には、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。