「駄犬」ってダメ犬という意味ではないの？駄犬の本当の意味や由来を紹介！

「駄犬」は誤ったニュアンスで使われることが多い

pixabay.com

犬を飼っている方の中には、「駄犬」という言葉を聞いたり、または実際に使ったことがあるという人も少なくないでしょう。実はこの言葉を使用するには注意が必要です。駄犬という言葉を間違って使用している人が少なくないからです。

多くの人は駄犬を「ダメ犬」という意味で使用しています。飼い主のいうことを聞かなかったり、番犬としての役目を果たさなかったりする犬をそのように表現するのです。

これは侮蔑的な表現なので、よその犬のことを駄犬と呼ぶ人はほとんどいません。しかし、自分の飼い犬を紹介する際に「うちの子は駄犬で……」といってしまうことはあります。

もちろん心から自分の犬をこき下ろすつもりでこの表現を使っているわけではないはずです。むしろ愛情の裏返しのようなニュアンスで使っているのでしょう。「飼い主である自分を困らせてばかりですが、どこか憎めない。そういったところも可愛い」といった意味合いです。

いずれにしても「ダメなところがある犬」という意味で「駄犬」を使用する人は少なくありません。

「駄犬」の本来の意味とは

「駄犬」の本来の意味は「血統が分からない雑種犬」です。「駄目な犬」ではなく、単に「雑種犬」のことを指すのです。

ですから「うちの犬は本当に駄犬で、迷惑かけてばかりなんです」というような使い方は間違っていることになります。一方、相手に犬種を聞かれたときには、「うちの子は駄犬なんですよ」と答えるのが正しいということです。

「駄犬」の由来とは

pixabay.com

ではどうして「駄犬」は「駄目な犬」ではなく、「雑種犬」という意味なのでしょうか。様々な説がありますが、漢字の成り立ちを考えるとその由来を理解しやすいでしょう。

「駄」の意味

そもそも「駄」という漢字の由来は「荷物を運ぶ馬」にあります。駄という漢字に「馬」の文字が含まれていることから、その点は理解しやすいでしょう。

荷物を運ぶ馬というのは、基本的に乗馬には適さない馬とされていました。血統的にも能力的にも「特別優秀ではない馬」が荷物運びに利用されていたのです。

そのため、この「駄」という言葉には「価値が高くなく一般的」という意味や「価値の低いもの」という意味が付されることになりました。

「駄」という感じがつく言葉には一般的にこうしたニュアンスが付されます。

「駄」な犬

犬の場合は、どちらかというと、「価値が高くなく一般的」な意味で取られているようです。どちらかというと、犬の性質というよりも血統上の違いに焦点があてられた形になります。

雑種の動物は血統上優れているわけではありません。交配を気にせず部リーディングすることが可能なので一般的な種とも言えます。実際、野良犬たちのほとんどは雑種です。

そこまで価値が高くなく、どこにでもいる種という意味で「駄犬」と呼ばれているわけです。

「駄目」とは？

駄犬と似た言葉に「駄目犬」があります。この言葉にはどのような由来があるのでしょうか。

「駄目」とはもともと囲碁用語でした。囲碁の終局時にどちらの陣地でもない領域が生まれ、そこに打ったとしても1目の価値をも有さないことから来ています。

そのため「価値の低い」という意味で「駄」が使われるようになりました。「打つ価値のない目」「打ってはダメな場所」という意味で「駄な目」つまり「駄目」というわけです。

これにより駄目は「無価値」「価値が低い」という意味のみが強調された言葉として広く使用されることとなりました。

駄目犬と呼ぶ場合は、「駄犬」のように「価値が高くない」「一般的」という意味というより、「価値の低い犬」という侮蔑的な言葉になります。駄犬と駄目犬は似て非なる言葉なのです。

本当の意味を知っていても使い方には注意しよう！

pixabay.com

駄犬の本当の意味を知っていたとしても、その使用には注意が必要です。なぜなら、相手が同じように本当の意味を知っているとは限らないからです。

「雑種なんですね」という意味で相手の犬を「駄犬なんですね」と言ってしまうと「価値のない犬ですね」と誤って伝わる恐れがあります。

自分の犬を雑種として駄犬と呼んだとしても、周囲の人からは「厳しい飼い主さん」「心無い飼い主さん」と認識されてしまうでしょう。

そもそも駄犬という言葉は本来の意味でもプラス表現になることはありません。できるだけ会話では使用しないほうがよいでしょう。