人間用のソーセージやハムを犬が食べても問題ない?栄養素や危険性の観点から解説!

人間用のソーセージやハムを犬が食べても問題ない?栄養素や危険性の観点から解説!

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犬は何でも食べますが、特に肉や肉の味が付いたものを好みます。人間用の加工肉の代表であるソーセージやハムにも興味を示す犬もいることでしょう。人間用のソーセージやハムを犬に与えても問題ないのでしょうか、栄養素や危険性の観点から考えてみましょう。

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高血圧の危険性について

具合が悪くなる犬

didesign021/shutterstock.com

犬にも塩分がある程度必要なのは先ほど述べたとおりですが、それによって引き起こされかねない高血圧は、実際のところどれほど危険なものなのでしょうか?

高血圧と一口に言っても、影響が出る症状は幾つもあります。人間にも共通する高血圧のメカニズムを少しご紹介しましょう。

高血圧から発生する疾患

塩分過多やストレス、肥満など高血圧の原因となる理由は幾つもありますが、いずれにしても血圧が高く血液の流量が多くなっている状態を指します。当然、血液を送り出す心臓にはかなりの負荷がかかっており、血圧によって心臓が肥大することもあります。

その圧力は血管を刺激するため、心臓に血液を送る冠動脈の壁が厚くなります。これは動脈硬化につながり、血管が柔軟性を失って血液を輸送できなくなります。

血液を十分に送りだせないと全身に致命的な影響が及ぶため、心臓は通常以上に働いて何とか血液を送り出そうとします。この時点では、高血圧や心不全の兆候は見られず、犬でも人間でも普段通りの生活をしているように見えてしまいます。

実際は疲れやすさや息切れなどの症状に現れているるものの、日々それなりに動いているとただの疲れと勘違いしてしまうでしょう。

しかし、普段より高負荷で働いている心臓にはやがてしわ寄せが来てしまいます。心臓のスタミナも切れてくるため、次第に力が弱まって十分に血液を送り出すことができなくなります。

送り出せない血液は心臓に溜まっていくため、これが心肥大の原因となります。いくら心臓が広がって圧力に耐えたとしても、溢れる血液はやがて肺に流れて行こうとします。毛細血管に高圧力の血液が流れていきますが、それもやがては限界を超えてしまい、肺そのものの中に血液中の水分を逃がし始めます。

こうして肺に水が溜まった状態を「肺水腫」と呼びます。肺の中に水が溜まると酸素交換がうまくできなくなるため、運動時のさらなる息苦しさや呼吸機能の低下を見せるようになります。これが腹部で発生すると腹水ということになりますが、いずれにしても血液の循環がうまくいかず、不要な水分の排出さえできていない状態です。

このように、心臓がうまく機能せずに通知を送り出せていない状態を「心不全」と呼び、人間でも死亡原因の上位に来る非常に危険な症状となっています。

特に犬の場合は、気付くのが遅かったり適切な治療が施されなかったりして、やはり死亡原因の第2位とまで言われる症状となっています。このように、高血圧によるダメージは心臓へ向かうのがほとんどで、残念ながらその症状に気づいてやれないで最悪の事態に至ることが多いのも事実です。

高血圧によって心臓や血管がダメージを負っている場合

高血圧によって動脈硬化や血液の逆流などが起こっている場合、犬は非常に疲れやすくなります。具体的な症状としては、

・眠る時間が長くなる、1日中休んでいる ・今まで問題なかった散歩時間でも、途中でやたらと休んだりへたりこんだりする ・そもそも散歩に行くのを嫌がり、おもちゃを投げても反応しなくなる ・食欲がなく、大好きなおやつにも興味を示さなくなる。あるいは持っていくと食べるのに、取りに来なくなる ・家の中の階段や部屋の中を移動するだけでも、息を切らしたり水を飲もうとしたりする ・咳が多くなり、運動時には特に咳の回数が増える

心不全などの症状が悪化すると、突然倒れたりじっとしていても咳が出たりするようになります。酸素濃度が低下することで、唇や舌が紫色になるチアノーゼを発症したり呼吸困難になったりするようであれば、致命的な程度にまで症状が進行しているかもしれません。

付け加えると、血液量が減ることで体内の老廃物を排出する尿を十分に作れなくなります。すると、応急処置として水分を多めにとることで体が血液を増やそうとするため、水を多く飲むという生理現象が発生します。

しかし、水をたくさん飲んでも心臓が弱っていることを補えないため、今度は水分を排出できず毒素が溜まっていく腎不全を起こすこともあります。これも致命的な疾患であり、心不全と同じく放置すると死に至る症状です。

心臓や体力の容量が小さい小型犬に多く、高齢になればなるほど循環器系の疾患が急増するようです。

適切なドッグフードで健康を管理する

いっぱいのドッグフード

Javier Brosch/shutterstock.com

そのような心臓やその他重要な内臓器官の健康を守るためには、やはり適切な食事で常日頃の健康管理を行うのが最善です。適切なドッグフードを与えていれば 、特別な治療や健康管理を行わなくても、かなりの程度犬の健康を保つことが可能です。

優れたフードとは?

優れたフードとは、やはり必須の栄養素をきちんと含んだフードです。

犬は、タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル・炭水化物を必要としています。これらを十分かつバランスよく含んだドッグフードが、犬の健康を維持するうえで理想的なフードということになります。

炭水化物を敵視する向きもあるものの、犬には炭水化物が必要です。確かに、犬は人間ほど十分な消化酵素を持ち合わせていないものの、炭水化物があれば必要なエネルギーをしっかりと確保できます。

もちろん炭水化物だけでは生きていくことはできません。タンパク質は血肉を作り、脂肪は免疫や体力を維持するのに必要です。ドッグフードの場合、価格と品質が比例しているところがあり、価格の高いフードほどバランスや質に優れている傾向にあります。

安いフードはすべて有害という訳ではないのですが、往々にしてタンパク質やビタミンが不足していたり、逆に過剰摂取の原因になったりすることがあります。こうしたフードを避けつつ、栄養バランスに優れ余計な脂質や炭水化物の少ないフードを探さなければなりません。

手作りフードの方が優れているか

では、手作りフードの方が安全で優れているのでしょうか?栄養学的にきちんと計算され、犬が必要とする栄養素を含んでおり、かつ個体に合わせて調整されているならばそうでしょう。

しかし、人間が食べる食材だけで安全かつ必要なフードを与えるのは難しいものです。多くの場合、手作りフードはエネルギー不足が指摘されます。

タンパク質や野菜にこだわるあまり、犬の身体が自然と要求とするエネルギーを満たせず、痩せ気味になったり免疫が低下するケースが少なくありません。

その点では市販のフードの方が優れていることもあります。脂質や炭水化物が多いことにより、食べ過ぎや長期的な摂取で何らかの影響が出ることも考えられますが、少なくとも栄養素に欠けることはあまりありません。

品質の劣化に注意

手作りフードでも市販のフードでも注意しなければならないのは、保存期間や劣化の程度です。犬は人間よりも雑食ですが、屋内で飼うような清潔な犬であれば、酸化したフードを食べて消化不良等を患う危険性があります。

特に、一度開封したウェットタイプのフードを使用したり、手作りフードを作り置きしたりする場合は注意が必要です。手作りフードは保存料を含んでいません。そのため、傷むスピードも市販のフードより断然早くなります。

毎日愛犬のためにフードを手作りしているという家庭もあるかもしれませんが、多くの家庭では作り置きしたものから少しづつ与えておられることでしょう。

作り置きしたものは冷蔵庫で保存し、臭いや色に異変があれば必ず処分するのが鉄則です。犬は個体差もありますが、与えられれば大抵は食べてしまい、自分で傷み具合や賞味期限を確認することはないからです。

それを鑑みると、いくら無添加や栄養満点を気にしていても、肝心の新鮮さや安全性が失われることのないように十分注意しなければならないでしょう。

まとめ

太り過ぎ?

Dora Zett/shutterstock.com

ソーセージやハムに話を戻すと、塩分の過剰摂取はいつか必ずしわ寄せが来ます。今はまだ高塩分の食事と疾患の関連性が分かっていないものの、犬の心臓病や高血圧そのものは存在します。

それらは愛犬の体を蝕み、本来はあと数年生きられた寿命を縮めてしまっているのかもしれません。犬よりもはるかに体力や寿命の点で勝っている人間でさえ、高塩分の食事やジャンクフードで簡単に生活習慣病になってしまうのです。

犬には、より健康的で安全な食事を与えたいものです。おやつや人間が食べる食事を与えなくても、犬はフードだけの食事で幸せを感じていると言われています。万が一フードが合わなくても、メーカーや種類を変えるだけで十分です。

時折犬に安全な食材を少量トッピングしてあげて、食欲を刺激したり変化を与えたりするのは良いことでしょう。しかし、わざわざ加工肉などの塩分が多い食材や、たっぷりの油や調味料で味付けした食事を与える意味はありません。

食物繊維やタンパク質でさえ、多すぎると健康を維持できなくなります。“過ぎたるは猶及ばざるが如し”で、過剰摂取はいつでも健康リスクを生み出すのです。

ほんの少量や時折のごほうび、あるいは苦手な薬を食べさせるための工夫などであれば構いませんが、日常的に食べさせるとかメインの食材として与えるといったことは、塩分過多の安全性や影響がすべて解明されてからでも遅くはありません。愛犬には健康的な食事を楽しんでもらい、出来るだけ長生きして共に時間を過ごしたいものです。

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