社会で活躍する身体障碍者補助犬のデビューから仕事内容を紹介。訓練士になるには?

社会で活躍する身体障碍者補助犬のデビューから仕事内容を紹介。訓練士になるには?

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社会で活躍する3つの身体障碍者補助犬、盲導犬、聴導犬、介助犬のそれぞれの仕事内容や、犬種の向き不向きなどについてまとめました。各身体障碍者補助犬がデビューするまで~引退までの過ごし方についてもまとめました。

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盲導犬になるにはどんな訓練を受けるの?

Sitting basenji dog wearing a huge white motorcycle helmet in a room with white walls and light wooden floors

De Repente/shutterstock.com

盲導犬はいったいどのようにして誕生するのでしょうか。

1頭の盲導犬がデビューするまでを簡単にご紹介します。

盲導犬はまず生まれる段階である程度運命づけられた存在です。

盲導犬になるには、人懐っこく、性格の穏やかな犬が求められます。

そのため、盲導犬に向いている性格の親犬をあらかじめ確保しておき、その親犬から生まれた子犬を盲導犬の候補として育てます。

この子犬の繁殖は、すべてボランティアで行われます。

繁殖のボランティアのところで生まれた子犬は、生後2か月を迎えるころに、一般家庭に引き取られそこで成犬になるまで育てられます。

この子犬を引き取り育てる家庭はパピーファミリーと呼ばれるボランティアで、将来盲導犬になる犬に、人と生きる喜びや、人と生きるマナーを教える役割を担います。

この段階では、盲導犬としての特殊な訓練はまだありません。

パピーファミリーのなかで、1歳になるまで愛情いっぱい幸せに過ごします。

1歳になった犬は、盲導犬訓練センターへ入所し、3週間にわたる適性試験を受けます。

人になつきやすいか、怖がりなところがないか、どんな状況でも落ち着いていられるかなど、盲導犬への向き不向きをジャッジして、そのなかの約4割の犬が盲導候補生として次の訓練へ進みます。

盲導犬になるための本格的な訓練では、一定の速さで歩く動作や、指示どおりに止まったり待ったりすることを訓練します。

そのあとは、使用者となる目の不自由な人と共に共同の実地訓練を重ねて、厳しい試験をパスしたらようやく盲導犬としてデビューできます。

このとき盲導犬はすでに2歳ぐらいになっています。

盲導犬が活躍できるのは、最長で10歳になるまでの8年間と決められています。

引退後は、引退犬を引きうけるボランティアの過程で余生を過ごします。

盲導犬に向いている犬種

盲導犬は目の不自由な人を安全に移動させなければならないため、人込みでもしっかりとリードできる大型犬が向いています。そして犬の性質にも向き不向きがあります。

盲導犬に向いている犬の性質は、以下の3つです。

  • 性格がおだやかで攻撃性がない
  • 周囲の状況に適応しやすい
  • 人懐っこい

海外ではじめて盲導犬ができたころは、ほとんどがジャーマンシェパードでしたが、街中で怖がる人もいるので、現在では見た目が穏やかで愛くるしいゴールデンレトリーバーや、ラブラドールレトリーバー、そしてゴールデンレトリーバーとラブラドールレトリーバーの混血種が盲導犬として訓練されています。

現在940頭ほどの盲導犬が活動していますが、目が不自由で盲導犬を必要としている人は7800人ほどで、まだまだ盲導犬は足りていません。

耳の不自由な人に音を知らせる「聴導犬」

 Young man sleeping with a dog

asia.marangio/shutterstock.com

耳の不自由な人に、音を知らせる役割を担うのが聴導犬です。

盲導犬に比べて聴導犬は、活動している頭数が少ないことや、日本で導入された時期が盲導犬より遅かったこともあり、まだまだ一般にはよく知られていない存在です。

最近は、映画や啓もう活動などを通して、聴導犬の存在を知るようになったひとも増えてきました。

聴導犬は、耳の不自由な人と生活を共にして、電話の着信音や人の訪問を知らせたり、あるいは火事や災害などの非常事態が起きていることを知らせたり、赤ん坊の泣き声を教えることができます。

音源の種類によって、使用者の人に伝える合図を使い分けて知らせます。

必要に応じて、音を知らせるだけでなく、耳の不自由な人を音源まで誘導することもあります。

聴導犬になるにはどんな訓練を受けるの?

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Benevolente82/shutterstock.com

聴導犬になるためには、厳しい適性検査と訓練を潜り抜けなければなりません。

聴導犬を育成している日本盲導犬協会の規定では、約15回以上のテストを受けて合格した犬だけが聴導犬として認定されます。

先ほどの盲導犬が専用の繁殖ボランティアから集められていたのとは違い、聴導犬は一般の犬の中から適性の合うものが選ばれて聴導犬として訓練を始めます。

日本聴導犬協会では、その多くは生後2か月から3歳までの保護権から選ばれます。

特に音に対して敏感で、関心を持つ犬が候補になります。

その後、2~10か月間、ボランティアの一般家庭で生活し、人に慣れる練習をします。

さらにしつけ教室にも通って、人と暮らす基本的なマナーを身に着けます。

耳の不自由な人が以前から犬を飼っていた場合には、そのペットに対して適性検査を行ってみて、適性がありそうなら聴導犬としての訓練をうけるケースもあります。

その次の段階として聴導犬協会の訓練施設にて適性検査と候補生訓練テストを何度も受けます。

そして実際に聴導犬を使用するユーザーとの実地訓練や相性の確認、レストランでの食事の訓練、公共交通機関での乗り物訓練、デパートなどの商業施設での社会性訓練などを経て、認定試験を受けることになります。

この試験では、聴導犬になる犬だけでなく、聴導犬を利用するユーザーも試験を受けなくてはなりません。

みごと認定試験をクリアして、ユーザーの元へ行った時点で聴導犬として正式にデビューします。

全てのテストをクリアするまでには、実際に使用するユーザーの家に泊まり込んで、地道な訓練を続ける必要があり、かなりの時間と労力を要します。

聴導犬は、だいたい2歳から10歳までの8年間勤めた後、引退犬を引き取るボランティアの家庭や、もともと子犬時代を過ごしていたボランティアの家庭などに入って、一般の家庭犬として余生を過ごします。

聴導犬に向いている犬種

聴導犬に関しては、特に犬種が定められているわけではありません。

犬種よりの犬一頭一頭の性格や性質をもとに選別されます。

音に敏感で興味を持つことや、人懐っこいこと、状況の変化に適応しやすく、物おじしない性格などの適性基準に適合した犬が聴導犬に向いています。

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1 名無しさん
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犬はほんとに優れた動物だと思う。障害を持った人間の手足となり、目となり、耳となれる動物は他にいない。牧場でも牧羊犬などとして、しっかりと仕事をこなすことができる。犬は人間にとって一番のパートナーだと思う。たくさんの犬が悲しい想いをしている現代だから、安易な気持ちで犬を飼うのはやめて欲しい。