【獣医師監修】猫にぶどうはNG!その理由と誤って食べてしまった時の対処法を解説!【2023年版】

【獣医師監修】猫にぶどうはNG!その理由と誤って食べてしまった時の対処法を解説!【2023年版】

update

この記事の監修者(185件監修)

頼定 大和

獣医師

頼定 大和

日本獣医生命科学大学卒。大学卒業後、沖縄の病院にて臨床経験を積み、関東、北陸で動物病院の院長として病院経営を行う。 現在は企業病院およびペット関連事業のコンサルティングに携わる。 また、猫の感染症や遺伝病の分野において大学と共同研究に取り組んでいる。講師歴:広島アニマルケア専門学校、日本獣医生命科学大学 動物病院経営学etc. https://okinawa-ahg.com/

初夏から秋にかけて旬を迎える「ぶどう」。種類も多くまた食べやすいことから子どもにも大人にも人気なフルーツの一つですが、猫にとっては中毒症状を起こす危険なフルーツでもあります。猫がぶどうを食べるとどんな中毒症状があらわれるのか、また誤って食べてしまった時の対処方法についてこの記事で詳しく紹介します。

update

猫にとってのぶどうの致死量はどれくらい?

みずみずしいぶどうとマスカット

Belokoni Dmitri/shutterstock.com

正確な研究結果が猫に対しては出ていないため、信頼できるぶどうの致死量は正確には分かりません。さらに個体差があるので、「これくらいなら大丈夫」「これを超えると危ない」といった基準は存在しません。

それでも、一般的に体重1kgに対して生のブドウであれば30gが致死量であると言われています。また、生のぶどうを10gも摂取すれば中毒症状が現れると言われています。

レーズンの場合の致死量は?

レーズンもぶどうと同じく、猫に対する正確な研究結果は出ていませんが、致死量は体重1kgに対して約10~30gと言われています。

致死量に関係なく与えてはいけない

致死量の目安に関係なく、少量であってもぶどうやレーズン、その他マスカットなどぶどうの仲間のフルーツは、猫に与えてはいけません。個体差があるので、一般的に言われる致死量まで達しなくても重篤な症状に至るケースもあります。

ぶどうを誤って口にしてしまうシチュエーション

テーブルの上に置かれたぶどうと横になっている猫

Andrii Repetii/shutterstock.com

ここまででぶどうの危険性を認識できたと思います。猫のことを本当に考える飼い主なら、決してリスクを冒してぶどうを与えることはないでしょう。

しかし猫がうっかりぶどうを口にしてしまうことはあるかもしれません。

そんな状況を避けるためにも、愛猫がぶどうを誤って食べてしまいかねないシチュエーションについて取り上げます。家庭環境を見直す上でも参考にしてください。

誤って口にしてしまうシチュエーション①与えた食べ物にぶどうが入っていた

普段から飼い主が食べているものを猫に分け与えているような家庭の場合、与えたものにぶどうが入っていることに気づかずに食べさせてしまう危険性があります。

生のぶどうそのものをうっかり与えてしまうことは考えにくいですが、例えば、レーズンパンやレーズンクッキー、レーズンアイスなど、猫にとっても魅力的にうつる甘いものにレーズンが使われている場合は特に注意が必要です。

もともと猫はキャットフードと水から栄養をとっていれば健康維持に問題はありません。ですからこの機会に、自分たちが食べているものを与える習慣を見直して、可能であれば今後人間の食べ物は一切与えないようにするのも良いでしょう。その方が愛猫の体にとっても良い決定になる可能性は高いです。

誤って口にしてしまうシチュエーション②床に落ちていたものを拾って食べた

生のぶどうが床に落ちていても、猫はあまり興味を示さないかもしれませんが、より小さいレーズンには反応するかもしれません。例えばレーズンをお菓子作りに使った際に床に落ちて気付かずにそのままにしてしまい、それを猫が口にしてしまう危険性があります。

あるいは色々なドライフルーツが入った食べ物を間食として食べていて、いつの間にか床にレーズンが落ちていた、なんてシチュエーションも連想できます。

とにかく普段から、何か食べ物を床に落としたら、愛猫が興味を示す前にすぐに拾う習慣をつけておきましょう。

誤って口にしてしまうシチュエーション③保管方法が悪く、つまみ食いされてしまう

フルーツなどを食卓やキッチンにおいて保管しているご家庭も多いと思います。また、パンなどが入った袋を、猫の手の届くところに置いているケースも想像できます。

そういうケースでは、お腹がすいている愛猫が飼い主が見ていないことをいいことに、ぶどうやレーズンが使われている食品に近づいて、袋を破ってかじってしまう危険性があります。

基本的に、猫を飼っているご家庭であれば、食品を猫が触って食べられるようなところに保管しないようにするのがよいでしょう。

猫がぶどうやレーズンをうっかり口にしそうなシチュエーションについて考えてきました。今猫を飼っている環境で改善できる点があればすぐに改善しましょう。そうすることで、危険な食材を愛猫が食べてしまうリスクを軽減できます。

誤ってぶどうを食べてしまったら

動物病院で診察を受ける猫

135pixels/shutterstock.com

どんなに気をつけていても、ぶどうやレーズンを誤って食べてしまうこともあるでしょう。では万が一愛猫がぶどうやレーズンを口にしてしまったらどんな対処ができるのでしょうか。次にこの点を考えていきましょう。その後病院で行う対処・治療についても取り上げます。

無理やり吐きださせるのは危険

ネット上には、猫に与えてはいけない危険な食材を誤って口にしてしまった場合の対処方法が載っています。その中には飼い主が自分でその食材を吐き出させる方法を紹介しているものもあります。

しかし吐き出させるためにネットに載っている方法を自己判断で試すのは危険です。

例えば、吐き出させようとして口の中に手を入れると、猫の気管支を傷つけてしまう可能性があります。または、口に入れた指を噛まれて、飼い主が怪我してしまう危険性もあります。

食塩水を飲ませて吐き出させるという方法もネット上に載せられていますが、塩分濃度の高い食塩水を猫に飲ませてしまうと、他の病気や体調不良を引き起こしてしまう可能性もあります。ですからむやみにそのような方法を試さないようにしましょう。

自己判断で放置するのは危険

食べた量が少量で特に症状が現れていない、または軽い症状しか出ていないという場合、安心して放置してしまう飼い主がいるかもしれません。

しかしぶどうやレーズンをどのくらい食べると致死量になるのかはまだ定かではありませんし、ほんの少しの量でも中毒症状を引き起こす猫もいます。ですから安易に「これぐらいの量なら大丈夫かな」と判断してしまうのは危険です。

すぐに正確な対処をしていれば命が助かったのに、長時間観察していたために対処が遅れて手遅れになってしまったということがないよう、自己判断で経過を観察するのはやめましょう。

すぐに動物病院に連れていく

正しい対処方法は、ぶどうやレーズンなどを食べてしまったことが分かったなら、すぐに動物病院に行って、獣医さんに診察してもらうことです。

基本的に食べてから1時間以内であれば、悪い成分が体に吸収されていない可能性が非常に高いので、催吐を行うだけの治療で済むかもしれません。

獣医さんには、いつ頃(何時間前)、何を、どのくらいの量食べたのか、できるだけ詳しく説明してください。

動物病院での処置

動物病院では以下のような処置が行われると考えられます。

○催吐処置(吐かせる処置) ○活性炭、下剤の投与 ○入院して点滴

それぞれの猫によって現れる症状が異なり重症度も異なるので、状態を確認した上で獣医師が対処・治療方法を決めてくれます。

いずれにしてもプロが処置を行うので素人判断と比べて安心感が全く違います。

まとめ

猫にとってぶどうは中毒症状を引き起こし、重症の場合は急性腎不全を引き起こすとても危険なフルーツです。腎不全になると、死に至るケースもあります。

またレーズンやぶどうが原材料になっているもの(ワインやぶどうジュースなど)、レーズンパン、レーズンクッキーなどの加工食品を食べた場合でも中毒症状が現れる危険性があります。

猫とぶどうに関しての十分な臨床研究結果はまだ出ていません。致死量やぶどうの成分の何が問題なのかを示す資料も不十分です。しかし過去の事故や、猫といろいろな共通点を持つ犬に対しても危険な食材であるという事実を総合的に考えると、ぶどうやその派生食品が猫にとって危険であるのは一目瞭然です。

少量であれば中毒症状が出ない可能性もありますが、わざわざ危険な食材を与える必要もありません。ですから猫にぶどうは与えないのが最善の決定と言えるでしょう。

同時に、家庭内で誤って愛猫がぶどうを口にしてしまうような状況を作らないようにも留意しましょう。

飼い主として、愛猫にとって安全な食環境と住環境を整えてあげることはとても大切です。ぶどうの危険性についてしっかりと理解し、危機感を持って、飼い主としての責任を果たしましょう。

ご意見、ご感想ありましたらコチラ! この記事のコメントへ (0件)
桜 フォトコンテスト 全国のドッグラン一覧
編集部PICKUP
関連する記事

mofmo掲示板