【獣医師監修】猫がメロンを食べても大丈夫?猫にメロンを与えるメリット・デメリットは?【2023年版】

【獣医師監修】猫がメロンを食べても大丈夫?猫にメロンを与えるメリット・デメリットは?【2023年版】

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頼定 大和

獣医師

頼定 大和

日本獣医生命科学大学卒。大学卒業後、沖縄の病院にて臨床経験を積み、関東、北陸で動物病院の院長として病院経営を行う。 現在は企業病院およびペット関連事業のコンサルティングに携わる。 また、猫の感染症や遺伝病の分野において大学と共同研究に取り組んでいる。講師歴:広島アニマルケア専門学校、日本獣医生命科学大学 動物病院経営学etc. https://okinawa-ahg.com/

甘くて口いっぱいに広がるジューシーな果汁がなんとも言えないほど美味しいメロンですが、猫に食べさせても大丈夫でしょうか?与えても何の害もないのでしょうか。ここでは、猫にメロンを与えるメリットとデメリットについて取り上げたいと思います。また、猫にとっての“適量”はどれくらいなのかについてもまとめました。

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メロンを猫に食べさせることのメリット

夏は水分補給が大事だにゃ~

Rasulov/shutterstock.com

メロンには、体が必要とするたくさんの栄養素が含まれていることが分かりました。こうしたたくさんの栄養素について取り上げてみると、猫がメロンを食べることにもさまざまなメリットがあると言えるでしょう。

特にメロンの87%以上は水分でできているということですから、汗をたくさんかき水分やカリウムを失いやすい暑い夏には特に、体が必要とする水分や栄養素を効率よく取り入れやすいフルーツであるということができます。

近年の夏は暑い時ですと40℃を超えるという日が続くことも多くなりましたよね。暑い日が続くと食欲は無くなりますし、気を付けてはいても水分や栄養素が体内から失われて、熱中症にかかりやすくなってしまいます。

それは猫も同じで、夏の暑い日は食欲が失われてしまい、元気が無くなったり、水を飲まなくなったりしてしまうこともあります。

そんな時に、スポーツドリンクと同じ成分がバランスよく含まれているメロンの果汁を摂取することで、猫が水分や体が必要とする栄養素を効率よく補給し、熱中症を予防できるというメリットがあります。

また他のメリットとして、メロンには夏の食材と比較しても豊富な「カリウム」と呼ばれる成分がたくさん含まれています。このカリウムを摂取することで、腎臓の働きがサポートされて、水分代謝が容易に促されるようになるのです。

おしっこと一緒に老廃物や毒素を排出する成分が含まれているので、膀胱炎や腎炎を予防してくれる効果を期待することができます。

猫は膀胱炎になりやすいですよね。特にオス猫は膀胱炎にかかりやすいと言われています。メロンに多く含まれるカリウムの働きや効能によって、腎臓の働きが良くなることを期待できるかもしれません。

このように、メロンを摂取することにはさまざまなメリットがあるわけですが、一つ気になるのは「糖分を摂り過ぎてしまうことにはならないか」ということです。

フルーツにはたくさんの糖分が含まれていますから、どんなに体に良いものでもたくさん摂取しすぎてしまうと、肥満や糖尿病になるなど、悪影響を与えかねません。

しかし、メロンは他のフルーツと比較して「糖分の量が少ない」というメリットがあります。ですから、他のフルーツほど糖分を気にする必要はないといえます。

メロンを猫に食べさせるデメリットについて

食べ物アレルギーにはご注意を

Evan Lorne/shutterstock.com

猫にメロンを食べさせても健康に害を与えてしまうことはありません。むしろさまざまなメリットがあるということもお分かりいただけたと思います。

では、まったくデメリットはないフルーツなのでしょうか。もちろん、そんなことはありません。

どんなに体に良い栄養素を持った食べ物であったとしてもデメリットもあります。では、猫にメロンを食べさせようとする時に覚えておくと良い、デメリットについていくつか取り上げてみましょう。

■食べさせ過ぎると胃腸に負担がかかる

メロンのほとんどは水分でできています。水分をあまりに摂り過ぎてしまうと胃腸はダメージを負い、「下痢」や「嘔吐」といった症状を引き起こしてしまいます。

「うちの猫はメロンが大好物だから♪」といって、一度にたくさんの量を与えてしまわないように気を付けましょう。

メロンは体を冷やす食べ物ですから、食べ過ぎてしまうとお腹が冷えてしまいます。あげる時にはほんのちょっとの量から様子を見るようにしてあげてください。

また、暑い夏だと冷蔵庫でキンキンに冷やしたメロンを食べさせたくなりますが、しばらく常温に戻してからあげたほうが、胃腸に優しく負担がかからないので良いでしょう。

■ウリ科のアレルギー反応が出てしまう可能性もある

ウリ科の植物にアレルギー反応を持っている猫もいるかもしれません。どんな食べ物にアレルギー反応を示すかは猫によって違いますから、特にメロンを初めて食べさせる時にはほんの少しだけ与えて、その後なんの変化もないか様子を見るようにして下さい。

もしメロンを口にして、猫ちゃんが下痢や嘔吐したり、皮膚のかゆみ反応が出たり、目の充血や元気がないなどの症状が見られたりするなら、アレルギー反応の可能性が高いです。すぐに獣医師に見てもらって適切な処置を施してもらうようにしてください。

メロンを猫が食べられなくてもなんら問題はありませんし、栄養のことで困るといったこともありません。メロンでアレルギー反応が少しでも見られたなら、今後は絶対に食べさせないようにしましょう。

基本的に猫は、キャットフードだけでじゅうぶん必要な栄養素は補えます。無理に人間が食べるものを与える必要はありません。

■腎臓に負担がかかってしまう可能性がある

メロンはスイカの3倍もの豊富なカリウムが含まれています。このカリウムは、腎臓や心臓に疾患がある猫にとってはNGな成分になります。

通常だと、摂取したカリウムのほとんどはおしっこや汗などによって体外に排出される仕組みになっていますが、腎臓病を患っている猫の場合だとカリウムを排出しにくいため、余分なカリウムが体内に溜まってしまうようになります。

それにより「高カリウム血症」を引き起こしてしまう危険があるというわけです。高カリウム血症になってしまうと、不整脈や頻脈になり、最悪の場合心停止してしまう危険もあります。

これは心臓が弱い猫にも同じことが言えます。カリウムを摂取して血中濃度が異常に上がり過ぎてしまうことで、やはり不整脈や頻脈を引き起こしてしまうことがあります。

他にも、高齢の猫にも与えないほうが良いでしょう。高齢の猫は腎機能が低下している場合が多いですから、メロンに多く含まれるカリウムを分解して排出しきれずに、高カリウム血症になりやすいからです。

メロンを猫に与える時には、猫の体調や持病、年齢などをよく考慮するようにしてください。

食べさせても良いメロンの量と与え方

種を皮を取って小さくカットしたメロン

Teri Virbickis/shutterstock.com

メロンは他のフルーツに比べて糖分が少ないとはいえ、摂り過ぎはやはりいけません。肥満や糖尿病などの健康被害が生じてしまうリスクもありますから、「量は少しだけ」を意識するようにしましょう。

では、猫にとっての“適量”とはどれくらいでしょうか。

目安として、猫の体重4キログラムに対して大さじ一杯程度が適量です。つまり、ほんの一口分か二口分くらいの量ということになります。

人から見て少なすぎるかなと感じる量であっても、猫の体の大きさや体重で見ると「十分な量」です。

ではどんな与え方が望ましいでしょうか。カリカリのドライフード程度の大きさにカットしてあげると、食べやすいサイズになります。

ミキサーにかけて果汁にして飲ませる方法も良いですし、ウェットフードに混ぜて与えることもできます。

メロンをあげる時には種や皮は取り除き、食べさせない方が良いでしょう。種や皮は消化しにくいので、消化不良を起こしたり、胃腸炎になったり、ひどい場合だと腸閉塞を引き起こす可能性もあります。

もちろん、ほんの一粒や二粒種を口にしてしまったからといって危険だというわけではありません。種を食べてしまったとしても、消化されないでウンチと一緒に出てくるだけなので大丈夫です。

まとめ

猫の中にはメロンを好んで口にする子もいます。メロンにはいろんな栄養素やたくさんの水分が含まれていますから、猫にとっても体に良いフルーツと言えます。

それでも与え過ぎは体を壊してしまう原因にもなりかねませんから、あげる時には「ほんの少し」の量にするようにしましょう。

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