【獣医師監修】猫にイチゴを食べさせても大丈夫?与え方の注意点や効能を解説【最新版】

【獣医師監修】猫にイチゴを食べさせても大丈夫?与え方の注意点や効能を解説【最新版】

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頼定 大和

獣医師

頼定 大和

日本獣医生命科学大学卒。大学卒業後、沖縄の病院にて臨床経験を積み、関東、北陸で動物病院の院長として病院経営を行う。 現在は企業病院およびペット関連事業のコンサルティングに携わる。 また、猫の感染症や遺伝病の分野において大学と共同研究に取り組んでいる。講師歴:広島アニマルケア専門学校、日本獣医生命科学大学 動物病院経営学etc. https://okinawa-ahg.com/

ネコちゃんに、オヤツの代わりにイチゴを与えているという飼い主さんも多いかもしれません。栄養価が高いと言われるイチゴですが、ネコちゃんに食べさせても問題ないのでしょうか。今回は、ネコちゃんにイチゴを与えてもいいのか、またあげる際の注意点などをまとめてみました。

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ネコちゃんにイチゴをあげる時の注意点

イチゴとミルクに興味を持つ猫

Paulay/shutterstock.com

イチゴがネコちゃんにとって悪いものではないと分かりました。しかし、与える際には気をつけなければいけないことがあります。

■「切ってからあげる」 イチゴをそのまま一個丸ごとあげてしまうと、喉に詰まらせてしまったりする危険がありますので、出来るだけ小さくカットしてあげましょう。できたら、イチゴをすりつぶしてみたり、ミキサーがあればジュースのようにドロドロにして飲めるようにしてあげたりすると、消化の助けにもなるのでオススメです。

■「牛乳をかけない」 イチゴに牛乳をかけてすりつぶしてあげるという飼い主さんがたまにおられます。ネコちゃんは牛乳に含まれている乳糖を分解できない体質の子が多いので、人間用の牛乳を飲んでしまうと胃腸が不調になってしまい、下痢や嘔吐の原因になることがあります。

そのため、どうしてもイチゴだけではものたりないという子には、ヨーグルトをかけてあげる方がいいでしょう。ヨーグルトは乳糖が分解されていますので、乳糖不耐症のネコちゃんでも嘔吐や下痢を引き起こすことは稀です。しかし、個体差がありますので、ヨーグルトをあげる時には少しづつあげながら様子を見てください。

■「たくさんの量をあげない」 イチゴにはネコちゃんにとって栄養素も高い成分が多く含まれていますし、ヘルシーな食べ物です。しかし、キシリトールという成分を大量に取ってしまうと有害な成分になってしまうことがあります。

ネコちゃんがキシリトールを摂取するとインシュリンが大量に放出されて、低血糖になったり、肝機能の低下が引き起こされたりされることが分かっています。文献には、3キロのネコちゃんに対して0.3グラムでも危険とされているようです。

イチゴにはキシリトールが100グラム中350ミリグラム含まれています。イチゴは小粒で7グラム、中粒15グラム、大粒で45グラムとされていますので、3キロのネコちゃんの場合には小粒のイチゴを10個ほど食べると危険だとされています。1粒だけ与えて危険な状態になるということではありませんが、大量にあげてしまうと危険な場合があるという事を覚えておきましょう。

■「毎日あげない」 たくさんの量をあげないという事と似ていますが、イチゴを毎日あげないようにも注意していただきたいです。一度に与える量が少なくても、毎日のようにイチゴを与えてしまうと糖質や食物繊維が蓄積されていき、肥満や糖尿病の原因になりかねません。最悪の場合には、下痢や嘔吐などの症状も見られてしまう時がありますので、毎日あげるのは危険です。

そのため、ご褒美やビタミンを補充する為に時々イチゴを与える程度にしておく必要があります。

■「常温であげる」 猫舌という言葉があるので、ネコちゃんは熱い食べ物が苦手なイメージがありますが、冷たい食べ物もネコちゃんにとっては体に良くないようです。冷蔵庫などでキンキンに冷えているような冷たいイチゴをあげてしまったり、凍らせたイチゴを与えてしまったりすると、消化器に刺激を与えてしまい、悪い影響が出てしまうこともあります。イチゴを与える時には常温の状態であげるようにしましょう。

■「生のままあげる」 イチゴに含まれているビタミンCはヘタを取った状態で洗ってしまうと流れてしまうので、イチゴのヘタをつけたまま水洗いして、その後ヘタを取ってから与えましょう。

ヘタに毒はないですが、農薬が付いていたりすることがありますので、基本的にはヘタを取ってからあげたほうが良いと言えます。

■「アレルギーに注意する」 イチゴにアレルギーを持っている子も稀にいますので、初めて与える時には少量を食べさせてからスタートしてください。与えた後しばらく様子を見る時間がある時に与えるようにしましょう。

アレルギー症状としては、下痢や嘔吐、皮膚のかゆみ、元気がなくなる、目が充血するなどがあげられます。イチゴを与えて数時間後にこのような症状が現れたらアレルギーの可能性がありますので、早めに動物病院に連れて行ってあげてください。その際には、いつ、どの程度イチゴを食べたのかきちんと説明出来るようにしておきましょう。

■「イチゴジャムは手作りで」 イチゴを生のまま与えることが一番いいのですが、飼い主の手作りイチゴジャムの方が美味しく食べてくれるという場合もあります。市販のイチゴジャムには砂糖が沢山入っているのであげないようにしてください。手作りの場合には、無糖で作ってくださいね。

■「イチゴを与えないほうがいいネコちゃんもいる」 どんな時でもイチゴをあげていいわけではありません。ネコちゃんの健康状態を考えて与えるようにしましょう。

例えば、糖尿病になっていて薬を服用している場合や、高齢になっている時などは健康状態を悪化させてしまう場合がある為、イチゴを与えない方がいいようです。特に、イチゴの栄養に含まれているカリウムを大量に摂取してしまうと高カリウム血症となる場合があり、最悪死に至る子もいるので注意が必要です。

このように、ネコちゃんにイチゴを与える際には様々な注意点があることが分かりました。同じように育ってきたネコちゃんでも、個体差がありますし、その日の体調によっても変わってきますから、その日の様子をみながらイチゴをあげることができるかどうか見極めてあげてくださいね。

イチゴ以外にもネコちゃんに与えていい果物はあるのでしょうか?また、与えてはいけない果物についても次に説明していきたいと思います。

ネコちゃんに与えていい果物とダメな果物

どのフルーツにしようか迷う猫

Dmitriy Yakovlev/shutterstock.com

飼い主さんの中にはネコちゃん用のオヤツを与えてるという方も多いでしょう。最近のネコちゃん用のオヤツはよく考えられていて、ネコちゃんが飽きないように、また健康維持できるように考えられていますね。そんなオヤツですが、たまには果物に変えてあげるなら、ネコちゃんも喜ぶかもしれません。

与えていい果物から見ていきましょう。

■「リンゴ」 リンゴは腸内環境を整えてくれる果物ですので、お腹の調子が悪い時や便秘気味の時に食べさせてあげるといいでしょう。

ただし、リンゴに含まれている食物繊維は肉食動物だったネコちゃんにとっては消化しにくい成分ですので、あまり多くの量を与えすぎないように気を付けます。

■「モモ」 水分が多い果物なので、水分補給目的で与えることができます。しかし、モモの種は毒を含んでいるので、注意が必要です。また、糖度もかなり高いので、あげるときは少量にしましょう。

■「バナナ」 バナナはエネルギーの源となります。短時間で吸収できるため、特に食欲のないネコちゃんにはもってこいの食品でしょう。カロリーはバナナ一本でおよそ86キロカロリーと言われています。食物繊維も豊富と言われているバナナですので、お腹の調子が悪く、便秘がちの子にあげるなら腸内環境を整えるのに役立ちます。ただし、あげすぎると下痢の原因となってしまいますので、適切な量を与えるよう心がけましょう。

豊富に含まれているビタミンも、ネコちゃんの疲労回復、粘膜や肌の健康を保ち、筋肉の活動を正常に保つ効果が期待できます!

しかし、バナナには炭水化物も約23グラム含まれています。ネコちゃんはもともと肉食動物ですから、炭水化物を体内で消化吸収することが困難です。キャットフードにはグルテンフリーでない場合、炭水化物が約30パーセントほど含まれています。

その為、キャットフードを食べて、さらにバナナまで食べてしまうと、ネコちゃんにとって本来不要である炭水化物量をかなりの程度摂取してしまうことになります。それで、少量を与えるように心がける必要があるでしょう。

■「ナシ」 ナシもモモと同様に水分補給に最適です。ただし、水分が多すぎるので、食べすぎると体を冷やしすぎてしまうという危険があります。ナシを与える際にも少量を心がけましょう。

■「メロン」 メロンも水分が沢山含まれていて、ネコちゃんが食べてもいい果物です。しかし、カリウムが多く含まれている為に摂りすぎてしまうと腎不全を引き起こす可能性があります。

■「クランベリー」 クランベリーに含まれている成分が、ネコちゃんの尿路の健康維持につながるということで、話題を呼んでいます。サプリメントが発売されているくらい、効果を期待できるようです。しかし、あくまで予防で与えることで効果が出るものであって、例えば尿石症になってしまっている場合、その石を溶かす効果はないようです。

他にも、キウイ、スイカ、ザクロ、ベリーなども食べられる果物としてあげられています。しかし、こうしたものは個体差がありますので、ネコちゃんの様子を見ながら飼い主さん自身があげるかあげないかを判断してくださいね。

つぎに、ネコちゃんに与えると危険な果物を紹介します。

■「マンゴー」 私たちも食べると痒くなる時があるように、ネコちゃんも食べたり触ったりすると痒くなったり、アレルギー反応を起こしたりする子がいます。漆に似たかぶれの成分がありますので、注意が必要です。

■「ミカン」 ミカンの果肉は与えても問題はないとされていますが、柑橘系の匂いが苦手なネコちゃんもいます。酷い場合には、匂いを嗅いだだけで吐き気を催すネコちゃんもいるようです。

また、ミカンの皮に含まれているリモネンと言われる成分は、ネコちゃんへの悪影響を及ぼすとされています。例えば、運動失調、手足の震え、皮膚のかぶれ、嘔吐などの症状を引き起こしてしまうようです。

■「ブドウ」 ブドウはネコちゃんにとって中毒症状を引き起こす原因となっているようです。理由は解明されていないようですが、急性腎不全を引き起こす可能性が高く、最悪の場合には死に至ると報告されています。幸い命を取り留めたとしても、慢性腎不全となり、一生その病気と付き合っていく必要が生じてしまいます。

■「アンズ」 アンズに含まれている、アミグダリンという成分がネコちゃんにとって良くないようです。また、アンズ自体が小さいので喉に詰まらせてしまうう危険がありますので注意しましょう。

ネコちゃんに与えないほうがいい果物は、時の経過と共に変わっていくこともあります。去年まではあげてもいい果物だったのに、今年からが危険だという研究結果が示されるかもしれません。飼い主さんは、そのような情報によく精通していくと共に、ネコちゃんには個体差がありますので、ネコちゃんの健康状態や体の大きさを考えながらあげてくださいね。

まとめ

今回はイチゴがネコちゃんあげてもいい果物なのかを取り上げました。イチゴ自体はネコちゃんにとって危険ではないですが、大量にあげすぎると体調不良の原因になってしまうことが分かりました。飼い主さんは、自分のネコちゃんにどのくらい与えるのか、よく見極めてあげてくださいね。

また、イチゴ以外の果物をあげてもいいのかも知ることができましたので、参考にしながらネコちゃんとのステキな生活を送ってください!

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