アルファシンドロームとは何?犬の問題行動に関する近年の見解とは

アルファシンドロームとは何?犬の問題行動に関する近年の見解とは

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犬のしつけをする時に「アルファシンドローム」という言葉を聞いたことはありませんか?まるで病名のような表現ですが、犬の問題行動とも関係しているので無視することはできなそうです。どのような行動がアルファシンドロームだというのでしょうか。アルファシンドロームに関係した近年の見解についても見ていきましょう。

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アルファシンドロームとは

ほかの犬に向かって走り出す犬

Eric Isselee/shutterstock.com

犬のしつけをする時に「アルファシンドローム」という言葉を聞いたことはありませんか?まるで病名のような表現ですが、犬の問題行動とも関係しているので無視することはできなそうです。愛犬がどのような行動をするとアルファシンドロームだというのでしょうか?

今回はアルファシンドロームについて調べてみましょう。アルファシンドロームの犬はどのような症状を見せるのでしょうか。近年の見解についても解説します。

アルファシンドロームって何?

アルファシンドロームと聞くと何かの病気だと思ってしまいますが、これは病気のことではありません。

アルファシンドロームのことを日本語では「権勢症候群」と言いますが、このテーマについて扱われた情報が警察犬協会のホームページに掲載されています。この情報によると、権勢症候群とは一つの症状、つまり問題行動の発生だということです。

犬にはもともとリーダーになりたがる権勢本能と、リーダーに従おうとする服従本能があるとされています。飼い主が犬の言うことを何でも聞いているうちに、権勢本能が発達して自分が家族の中でリーダーだと考えるようになるというのです。ちなみにリーダーのことをアルファ(α)といい、それがこの症状名のアルファシンドロームとなっています。

犬の祖先であるオオカミが群れの中でリーダーを決めて行動していることから、その子孫である犬も権勢本能や服従本能があると考えられています。犬は家族の中で順位付けをするなどと言われますよね?自分より順位が上の人には従いますが、自分より順位が下だと認識すると言うことを聞かないなどと言われることがあります。

愛犬が家族の中でリーダーになってしまわないように、主従関係をしっかりと作るようなしつけの仕方が推奨されてきたのもアルファシンドロームの犬を作らないためです。

警察犬協会のホームページでも家庭犬のしつけ方や散歩の仕方など、アルファシンドロームにならないようにどうすればいいかを解説しています。愛犬のためを思って責任感を持って毎日毎日散歩に連れて行くうちに、権勢本能を発達させてしまうと指摘しています。

散歩の楽しい時間を記憶した犬は、その時間が来ると飼い主に吠えて催促するようになるわけです。飼い主が言うことを聞いて散歩に連れて行くまで吠えるとなると、これは問題行動だということができます。

ドッグトレーナーの中にもアルファシンドロームについて言及する人がいて、そうならないためにあらゆる手段を講じてトレーニングする場合があります。このあらゆる手段の中には体罰にも近い、犬にとって恐怖心を育ててしまうようなものもあるようです。そしてその影響を受けて犬に対して厳しく接する飼い主もいるのが現状です。

アルファシンドロームの犬に見られるとされる問題行動

どのような行動をとるとアルファシンドロームだと診断されるのでしょうか?

前述の散歩についてですが、散歩の時間に吠えてしつこく催促するようになると問題行動だということができます。飼い主が散歩に連れて行くまで吠え続けられると近所迷惑にもなるので、こうなるとできるだけ早く解決すべき問題と言えます。解決策の一つとして、迷惑にならないうちに散歩に連れ出してしまうこともできます。

散歩中に、飼い主の前を歩いて自分の好きな方向に向かおうとするのも、アルファシンドロームの犬に見られる行動だとされています。他の犬や人がやってくると威嚇したり吠えたりすること、リードを咥えること、散歩の途中で動かなくなって言うことを聞かないことなどもアルファシンドロームと結び付けられています。

飼い主や家族との接し方に関しては、マウンティングしようとすること、やたらと飛びつこうとすること、遊んでいる時に噛みついてくること、呼んでも無視することなどを挙げることができます。小型犬ならまだしも、大型犬にこれらのことをやられると困ってしまいますね。

気に入らないことがあると威嚇したり吠えたりして攻撃的になる犬もいます。例えば留守番が嫌いでいら立って物を壊すこと、食事中に触られると威嚇して唸る、またはおもちゃを取られそうになると威嚇して唸ること、散歩や食事の催促がだんだんと攻撃的な吠え方になることなどを挙げることができます。

他にも、家の中で好き勝手にオシッコをしてマーキングすること、ソファやベッドからどかそうとすると怒ることなどもアルファシンドロームと関係した問題行動だと考えられています。犬が自分勝手に行動するようになると、飼い主やその家族だけでなく、第三者をケガさせてしまう恐れがあります。

これらの問題行動を起こす理由のひとつに、飼い主の犬に対する反応を挙げることができます。犬が吠えたり唸ったりした時にすぐに要求に従うと、どうすれば飼い主を従わせることができるかを覚えてしまうというのです。吠えればご飯がもらえる、吠えれば散歩に連れて行ってもらえる、唸れば自分に物を譲ってくれるといった具合です。

さらに、抱っこする時に犬が肩より高い位置になると犬のほうがリーダーだと思ってしまうとされています。ほかにも犬と一緒に寝る習慣があると、アルファシンドロームになりやすいと言われています。

威嚇

Viorel Sima/shutterstock.com

うちの犬、アルファシンドロームなの?

アルファシンドロームの犬に見られる問題行動のリストを見ると、うちの犬もアルファシンドロームなのではないかと思ってしまうかもしれませんね。

我が家の犬も、散歩に連れて行こうとすると大興奮してどんどんと先を行こうとします。他の犬を見つけるとワンワンと吠えだしたり、リードを咥えたりすることもあります。最終的にはリードを外して自由に走り回らせることになるのです。

オシッコに関しても、基本的には中庭や外に出た時に済ませるのですが、時々家の中でしてしまうときがあります。もう成犬になっているので、オシッコに失敗したと言って済ませられる時期ではありません。ベッドの上でも何回かオシッコされたことがあります。さすがに好き勝手にオシッコされると困ってしまいます。

子どもが生まれる前は一緒に寝ることもしていたので、問題行動をするたびにこの子は自分を犬だと思っていないのではないかと感じることがあります。名前を呼んでやって来るかというと、その時の気分のようです。皆さんの愛犬も上記のリストと照らし合わせて思い当たる点があるかもしれません。

アルファシンドロームに対する近年の見解

アルファシンドロームなどという専門的な表現が付けられていますが、実は否定的な見解が近年の主流になっています。

というのも、アメリカの獣医動物行動学会やドッグトレーナー協会によってアルファシンドロームを否定する発表がすでになされているというのです。つまりアルファシンドロームに基づいた犬のしつけ方は間違いだというわけです。

アルファシンドロームは犬の祖先であるオオカミの行動がもとになっています。しかしオオカミの観察や研究が進められるうちに、オオカミの群れというのは家族単位になっていることがわかりました。

家族の中では親が自然にリーダーになりますが、リーダーの座を取り合うような争いは生じるはずがありません。群れの中の上下関係は親子の自然な関係であったのです。

さらに、オオカミが祖先だとはいえ、家庭犬は長い年月を人間と一緒に暮らしてきているので、群れでの生活や群れの中での上下関係という意識は薄れてきていると言うことができます。つまり、犬が権勢本能や服従本能を働かせて行動しているというのは間違っているというのが近年の見解なんです。

アルファシンドロームという言葉を使って厳しいトレーニングを課すことに関して、否定的な見方をする人も多くいます。犬の問題行動をアルファシンドロームだと言って厳しくトレーニングすることはナンセンスで、問題行動の根本的な解決策にはなっていないと訴える人が増えているのです。

確かに警察犬協会のホームページに掲載されている情報を確かめてみると、「掲載は1999年(社)日本動物愛護協会の発行誌『動物たち』からの承認を得て掲載したものです」とありました。アルファシンドロームを否定する学会の発表は2000年代のことなので、古い情報にもとづいたアドバイスだということができるでしょう。

犬がリーダーになりたがって、またはリーダーだと思って問題行動を起こしているという見方が否定されることになりましたが、だからといって問題行動そのものを放っておくことはできません。原因を確かめながら対策をとる必要はあり、家庭犬のしつけはしっかりとしなければいけないことに変わりはないと言えます。

公益社団法人 日本警察犬協会ホームページ
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