【獣医師監修】猫にピーマンを食べさせてもいいの?与えるメリットと注意点を解説【2023年版】

【獣医師監修】猫にピーマンを食べさせてもいいの?与えるメリットと注意点を解説【2023年版】

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頼定 大和

獣医師

頼定 大和

日本獣医生命科学大学卒。大学卒業後、沖縄の病院にて臨床経験を積み、関東、北陸で動物病院の院長として病院経営を行う。 現在は企業病院およびペット関連事業のコンサルティングに携わる。 また、猫の感染症や遺伝病の分野において大学と共同研究に取り組んでいる。講師歴:広島アニマルケア専門学校、日本獣医生命科学大学 動物病院経営学etc. https://okinawa-ahg.com/

ピーマン独特の苦みが好きだと言う人もいれば、青臭さが苦手だという人もいます。私たち人間でも好き嫌いがはっきり分かれるピーマンですが、猫に食べさせても大丈夫なのでしょうか?猫にとってメリットとなるピーマンの栄養成分についてご紹介します。また猫にピーマンを与える際の注意点についてもまとめてみました。

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ピーマンと猫との相性ってどうなの?

新鮮なピーマン

bergamont/shutterstock.com

ピーマンの好き嫌いは私たち人間でも意見が分かれますね。独特の苦さがあるという方もいれば、丸ごと食べるほど好き!という方もいるようです。今回はそんなピーマンをネコちゃんに与えてもいいのか考えていきたいと思います。また与える際の注意点などをまとめてみました。

まず最初にピーマンの成分から調べてみましょう。

ピーマンに含まれる栄養価と効能

ピーマンは植物の分類としては「ナス科トウガラシ属」に分類されています。正確にはトウガラシの栽培品種として扱われていて、辛味成分であるカプサイシンを含まない甘味種を改良して出来たものがピーマンとなっているようです。かつては、辛くないトウガラシということで甘唐辛子と呼ばれていたそうです。

そんなピーマンには以下のような栄養素が含まれています。

・ビタミン類 ピーマンのビタミンCは、レモンの2倍と言われているほど豊富に含まれています。なんと100グラムあたり76ミリグラムも含まれています。

ビタミンCは正常な神経伝達を保持するためのサポートをしたり、ストレス耐性を高めるのにも有効な成分です。このため、ビタミンCはストレスと闘うビタミンとしても知られています。他にもエネルギーを作り出す「カルニチン」という成分の合成に関わる栄養素ですから、疲労回復、夏バテなどの軽減にも役立ちます。また、ビタミンCはよく知られているように風邪予防や免疫機能保持にも役立つ成分です。

なおピーマンにはビタミンC以外の他のビタミン類も含まれています。例えばβカロテンやビタミンEやビタミンAといった成分などです。

・ポリフェノールやカリウム 加えてピーマンには「エリオシトリン」、「ケルセチン」などのポリフェノールも含まれていますが、これらの成分はビタミンCを安定化させ、吸収しやすくし、体内での働きをサポートしてくれるものです。そのためピーマンはビタミンCを効率よく補給できる野菜となっています。

ピーマンの苦味成分である「クエルシトリン」は高血圧予防になります。ナトリウムを排出を促すことで血圧を保ってくれるカリウムという成分もあります。カリウムはピーマン100グラムあたり190ミリグラムも含まれていますから、むくみ防止にもつながっていきます。

・カプシエイト ピーマンには唐辛子のカプサイシンは含まれてはいませんが、カプサイシンが変化した「カプシエイト」という成分を含んでいます。カプシエイトは辛味はありませんが、カプサイシンと同様の生理作用を持っていると考えられていて、体温向上、体内脂肪を燃焼させてエネルギー消費を促進する働きなどが期待できます。そのため血行不良と冷え性の軽減に、も効果が期待できるでしょう。さらには体温上昇、脂肪燃焼によりダイエットにもいい野菜として注目されています。

・クロロフィル 食物繊維に関しては100グラムあたり2.3グラムと決して含有量は多くありません。しかしピーマンには食物繊維だけでなく、「クロロフィル」という食物繊維では届かない小腸絨毛の奥に蓄積した有害物質や金属類などを取り除く働きのある成分も含まれています。そのため便通改善、腸を綺麗に保つ働き、デトックスなどに効果がある食べ物となっています。

このように、ピーマンは私たち人間にとっては健康に良いことが分かりました。ではネコちゃんにとってはどうなのでしょうか?次にその点を考えていきましょう。

ネコちゃんにピーマンを与えてもいいのか?

ピーマンで遊んでいる猫

Patrik Kraus/shutterstock.com

結論から言ってしまえば、ネコちゃんにピーマンを与えても大丈夫です。ただし十分注意しながら与える必要があります。調理方法や摂取量に加えて、リスクもきちんと理解しておく必要があるでしょう。

ピーマンに含まれるリスク

ピーマンを与える場合には以下のようなリスクに注意する必要があります。

・消化不良 一つ目にネコちゃんはもともとワンちゃんのように雑食ではありません。もともとは肉食動物ですので、野菜全般に関して言えることなのですが、野菜を消化できるような体の構造になっていないということです。野菜をあげてしまうと消化不良になり、体に負担となってしまうという場合があります。

・中毒 二つ目の理由としてはピーマンはナス科の野菜ですが、このナス科の野菜というのは少量なら問題はないのですが、大量に摂取してしまうと体調不良を引き起こすこともある中毒症状になります。

人間の子どもでもこの成分の摂取上限は決して高くありません。中毒をおこす危険があるため大量に食べさせることはできません。子どもよりずっと体の小さなネコちゃんであればなおのことそのように言えるでしょう。

なお中毒起こす危険があるのは「ソラニン」という成分です。お聞きになったことがあるかもしれませんが、ソラニンは「ステロイドアルカロイド」というものの一種で、ジャガイモの皮に多く含まれている成分です。少量なら問題はありませんが、摂取上限を超えて食べてしまうことによって、食欲不振、心拍障害、頭痛や腹痛、嘔吐や下痢などの異常が出てくることもあります。

ピーマンを摂取するメリット

しかし、ピーマンには調理方法などを十分に考慮すれば栄養面で有益な成分も含まれています。具体的には以下のようなメリットがあげられます。

ビタミンAはネコちゃんが自分で作り出すことが出来ないため、欠乏してしまうと目の疾患の原因になることがあります。この点ピーマンにはビタミンCやビタミンAといった栄養素が豊富に含まれています。ですからピーマンをあげることでネコちゃんの目にとって良い効果がもたらされる可能性もあります。

さらにビタミンCは抗酸化作用や抗がん作用、血行を良くすること、抗ストレス、免疫力の向上に役立ちます。別の点として、ピーマンに含まれているビタミンは皮膚の疾患にも役立つとされています。

リスクだけでなくメリットも持ち合わせるピーマンですが、ネコちゃんにあげる上での注意点を次にみていきましょう。

ネコちゃんにピーマンをあげるときの注意点について

ピーマンは、リスクと栄養価の両方がある野菜だと分かりましたが、もしあげることにしたなら以下のようなポイントに留意してあげるようにしましょう。

・「ピーマンをそのままあげない」 ピーマンをあげる際には、そのまま生であげるようなことはせず、種、茎、皮、芯を必ず取り除いてからあげましょう。皮や種が時に有毒となることがありますし、喉に引っかかってしまう場合があるからです。また、大きさも出来るだけ小さく刻むか、ペーストにして与えることが必要となります。

・「必ず加熱して与える」 必ず茹でて加熱してから与えてください。加熱することで柔らかくして食べやすくなる効果もありますし、有毒成分のソラニンを水に流出させて減少させることができるからです。茹でることで解毒効果が期待できます。なおピーマンを茹でた茹で汁はしっかり捨ててください。

ちなみに蒸したりしてもソラニンは減らないようなので注意しましょう。

・「自家製ピーマンにはさらに注意する」 自家製の野菜は、八百屋さんで買うピーマンに比べて小さめなのでソラニンの密度が濃いことが多いようです。そのため猫ちゃんにとってはよりリスキーになるため、毎日あげないようにし、あげる量も少なくしましょう。

・「アレルギーに注意する」 どの食品でもそうですが、ピーマンにアレルギー反応を示す子も稀にいますので、初めて与える時には少量を食べさせてからスタートしてみてください。与えた後しばらく様子を見るようにしましょう。

アレルギー症状としては、下痢や嘔吐、皮膚のかゆみ、元気がなくなる、目が充血するといった点があげられます。ピーマンを与えて数時間後にこのような症状が現れたらアレルギーの可能性がありますので、早めに動物病院に連れて行ってあげてください。その際には、いつ、どの程度ピーマンを食べたのかきちんと説明出来るようにしておきましょう。

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