犬がエビやカニを食べても大丈夫?与え方のポイントを解説していきます!

犬がエビやカニを食べても大丈夫?与え方のポイントを解説していきます!

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日本食には欠かせない甲殻類の代表が「カニとエビ」です。カニやエビなどの海の幸を犬も味わえるのでしょうか?人間でも甲殻類アレルギーなどで、すべての人が食べられるわけではありません。犬にとってカニやエビはどうなのか、幾つか情報を集めてみました。

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犬はカニやエビを食べられるのか

エビを見つめる犬

PongMoji/shutterstock.com

日本食には欠かせない甲殻類の代表が「カニとエビ」です。

カニやエビなどの海の幸を犬も味わえるのでしょうか?人間でも甲殻類アレルギーなど、すべての人が食べられるわけではありません。犬にとってカニやエビはどうなのか、幾つか情報を集めてみました。

食べられるが「要加熱」

犬がカニやエビを食べても大丈夫です。カニやエビに毒性はなく、犬が食べても問題ありません。

しかし食べさせる方法が大切です。それは「加熱して与える」ということです。なぜ加熱したほうが良いのでしょうか?生食でも美味しいエビやカニですが、なぜ生だと危険なのでしょうか?

エビやカニを加熱して与えた方が良い理由

ボイルされたエビ

Jennifer White Maxwell/shutterstock.com

1.消化不良のリスクがあるため

生食でカニやエビを食べると消化不良を起こす場合があります。個体差があるため一概には言えず、恐らく大抵の犬はきちんと消化できるものと思われますが、稀に生食が原因で嘔吐や下痢をしてしまう犬がいます。

カニやエビを与える際は、その後の経過や便の状態なども観察してあげましょう。調理済みでも、火が十分通っているか、調理してからどれほどの時間が経過しているかなども関係します。

2.ビタミンB1欠乏症のリスクがあるため

恐らく生で与えてはいけない最大の理由がこれです。カニやエビに含まれるチアミナーゼという成分が、別名チアミンとも呼ばれるビタミンB1の吸収を妨げてしまうのが理由です。

このチアミナーゼはイカやタコにも含まれており、海鮮物を犬に与える際はその量に注意が必要です。チアミナーゼは生の状態のカニやエビに含まれており、熱を加えると機能を失うという特徴があります。カニやエビでも調理すると問題ないというのはそのためです。

ビタミンB1は非常に重要な栄養素です。主に消化酵素を助け、糖質や脂肪酸の代謝・生成に使用される栄養素だからです。ビタミンB1が不足すると、最悪の場合死に至る危険性もあります。

ビタミンB1は、体内でチアミン2リン酸という補酵素に変えられることで酵素の働きをサポートし、消化を手伝う体制を整えます。これにより、脂質や炭水化物の消化が十分に行えるようになり、加えてアミノ酸の代謝も行うことで体の恒常性を保ちます。

様々な臓器や脳のエネルギーとなるブドウ糖も、ビタミンB1のおかげで代謝できます。それほど重要なビタミンB1ですが、体内で合成することはできません。そのため、犬も人間も外部から摂取する必要があり、体内での吸収が阻害されると簡単に不足してしまいます。

成犬で100kcal当たり29μg(猫では100kcal当たり125μgが必要、より不足の危険性がある)が必要とされており、過剰摂取しても害がないと考えられています。

しかし、不足の可能性はいつもあります。なぜなら、ビタミンB1は水溶性ビタミンであり、尿と一緒に排出されやすいからです。食べ物の消化吸収でいつも消費されることに加え、水に溶けて流れやすいのが難点です。

通常のドッグフードには、これを考慮してビタミンB1が十分配合されています。しかし、おやつや手作りフードでカニやエビ、タコやイカを与えてしまうと、ビタミンB1はどんどん分解されていきます。

市販の一定以上の品質のフードだけを食べていると問題ないビタミン摂取が、カニやエビで損なわれてしまうのは危険です。ビタミンB1欠乏症は人間の場合も脚気や国民病として知られていました。大正時代には死亡者数が結核と並ぶほど多く、今でも偏食が原因で起こり得る病気です。

ビタミンB1が不足すると、神経や脳にダメージが及びます。神経痛や神経炎、意識障害や脳症、筋肉痛や心臓の肥大など、身体の正常な機能が奪われていきます。主に神経への影響が顕著で、そのまま不足した状態が続くと心臓が機能しなくなり、最悪の場合死に至ります。

チアミナーゼがなぜビタミンB1を分解するのか、なぜチアミナーゼが存在しているのか分かっていませんが、何らかの関連する作用があるものとされています。

ビタミンB1欠乏症を避けるには、ビタミンB1を摂取しながらチアミナーゼが含まれる食品を出来るだけ避けることが重要です。チアミナーゼが含まれている食品を犬に与える場合は、必ず加熱調理してから与えるようにしましょう。

猫にはより大きな影響が

エビを食べる猫

Iryna Kuznetsova/shutterstock.com

犬に比べると、猫はビタミンB1をより必要としています。前述のように、猫は必要とするビタミンB1の量が多く、かつ魚介類を与えられることが多いため、ビタミンB1欠乏症になりがちです。イカを食べると腰を抜かすと言われるのは、この猫の体質が関係しています。

チアミナーゼは魚介類の内臓に多く含まれており、魚を丸ごと食べたり頻繁に食べていたりすると、簡単にビタミンB1欠乏症になってしまいます。

ビタミンB1欠乏症の治療

点滴などでビタミンB1を補給するしかありません。通常、適切な処置を受けると24時間以内に回復します。

ビタミンB1欠乏症を発症すると、犬でも猫でも食欲不振や消化不良、けいれんや慢性疲労、神経痛による震えや運動したがらなくなるなどの様子が見られることがあります。その際は早急に動物病院を受診するべきでしょう。

カニやエビを日常的に犬に与えているという家庭は多くないと思われますが、マグロやカツオ、タイなどの内臓もチアミナーゼを多く含むため、魚介類を与える機会が多い場合は注意が必要です。

ワラビやゼンマイなど、一部の山菜や植物もチアミナーゼを含んでいます。犬に与えている普段の食材が適切なものかどうか、一度獣医師に確認してみるのも良いでしょう。

3.アレルギーのリスクがあるため

カニやエビが危険である理由として、フードアレルギーを発症させる危険性を挙げることができます。今まで何の問題もなく食べていた犬でも急にアレルギーを発症することがあるため、注意が必要です。

フードアレルギーは大きく分けて、「即時型アレルギー」と「遅延型アレルギー」の2種類があります。即時型アレルギーの場合、食べてすぐに皮膚のかゆみやじんましん、口の中に違和感を感じる、鼻水やくしゃみ、呼吸困難などの症状を発症します。

遅延型アレルギーは食べてから数日置いて発症することがあり、症状には頭痛や肌荒れ、めまい、慢性疲労などが挙げられます。アレルギーが遅延型だった場合、食べたことを忘れているためアレルギーであることに気づかないこともしばしばです。

一度アレルギーを発症すると治らないことも多く、体調不良の原因としてアレルギーを疑ってみる必要があるかもしれません。

アレルギーは関連することがあります。すでにアレルギーを持っている犬の場合、カニやエビを食べてアレルギーを発症する可能性は高くなります。今の愛犬の体調やアレルギーを調べて、カニやエビが致命的な症状を起こさないように気を付けなければなりません。

アレルギーを発症しやすいのは、これまでに食べたカニやエビの量が多いとか、好き嫌いがあり偏食になりやすい、既に何らかのアレルギーを持っている、ストレスなどで不調をきたしているといった犬です。同じものを食べさせ続けるのではなく、隔日など間隔を空けて食べさせるなどといった対策が必要かもしれません。

特に習慣的に食べている場合、体の許容量を超えていつかアレルギーを発症する危険性が高くなります。今までの愛犬の食週間を思い出してみて、意図的に食事内容を大きく変えてやるのも一つの方法です。

ストレスは免疫力を低下させます。犬に運動やこまめな世話でストレス発散させてやり、健康な状態を保てるようにしてやりましょう。引っ越しや2頭目を迎えた時など、ストレスを抱えやすい状況にも注意が必要です。

カニとエビはアレルギーを誘発するタンパク質の構造が似ているため、どちらも食べているという場合もやはりアレルギー発症の可能性は高まるでしょう。カニでアレルギーを発症した場合、エビでもアレルギーを発症する可能性もあります。

アレルギーを持つ犬

Africa Studio/shutterstock.com

4.アナフィラキシーショックの恐ろしさ

稀ですが、カニやエビが原因で犬もアナフィラキシーショックを発症することがあります。ご存知かもしれませんが、アナフィラキシーショックとは「全身に現れる過剰なアレルギー反応」のことで、最悪の場合死に至る危険性があります。

犬の場合ではワクチン接種で起こるケースが多く報告されています。

アナフィラキシーショックは1分1秒を争う症状で、動物病院を可能な限り早く受診することが求められます。アナフィラキシーショックの場合、肥満細胞からアレルギー症状を引き起こす物質が放出され、それに呼応するかのように悪化や炎症を起こすその他の物質も放出されます。

アレルギーが発症したら出来るだけ早い処置が必要なのはそのためです。発赤や嘔吐、けいれん、呼吸困難、昏睡状態などの急性的な反応が見られた場合は特にそうです。

大抵、食べてから30分以上経過すると発症することがほとんどで、致死的な状態に至る前に「1時間以内の処置」を目指しましょう。治療が施されないと1時間程度で死亡するケースも珍しくありません。

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