【獣医師監修】猫にたけのこを食べさせてもOK?たけのこに含まれる成分と猫に与える際の注意点【2023年版】

【獣医師監修】猫にたけのこを食べさせてもOK?たけのこに含まれる成分と猫に与える際の注意点【2023年版】

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頼定 大和

獣医師

頼定 大和

日本獣医生命科学大学卒。大学卒業後、沖縄の病院にて臨床経験を積み、関東、北陸で動物病院の院長として病院経営を行う。 現在は企業病院およびペット関連事業のコンサルティングに携わる。 また、猫の感染症や遺伝病の分野において大学と共同研究に取り組んでいる。講師歴:広島アニマルケア専門学校、日本獣医生命科学大学 動物病院経営学etc. https://okinawa-ahg.com/

春の味覚の代表である「たけのこ」。旬の食材を愛猫にも食べさせたい、と思う飼い主の方もいることでしょう。でも、猫にたけのこを食べさせても大丈夫なのでしょうか?今回は、たけのこに含まれる成分や猫に与える際の注意点を解説します。

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泌尿器系の病気を持っている猫ちゃんに「たけのこ」はNG

病院で診てもらっている猫

Africa Studio/shutterstock.com

先ほどご紹介した通り、泌尿器系の病気を持っている猫ちゃんに「たけのこ」は絶対に食べさせてはいけません。

猫ちゃんが発症する泌尿器系の病気には、どんな種類があるのでしょうか。代表的な泌尿器系の病気として、尿結石や膀胱炎、慢性腎不全などをあげることができます。

尿結石とは

尿路結(石症尿結石)とは、腎臓や尿管、膀胱や尿道などに、結晶や結石が発生してしまう病気です。固形物が体内に形成されてしまうので、膀胱や尿道などを傷つけてしまったり、尿道の中で詰まってしまったりすることがあります。

猫ちゃんが抱える尿結石には、大きく分けると二つの種類があります。マグネシウムが関係して発症する「ストルバイト結石」と、カルシウムが関係して起きる「シュウ酸カルシウム結石」があります。猫ちゃんの尿結石も、メカニズムとしては人間が発症する尿結石と似ています。

おしっこの中に含まれるマグネシウムやリン、カルシウムなどのミネラル成分が増加してしまうと、結晶化しやすくなります。また、尿中のpHバランスが乱れてしまうと、同じように結晶化しやすくなり、体内に結石が発生してしまいます。

猫はあまり水分を摂取しない動物なので、もともと尿の濃度が上昇しやすい傾向があり、尿結石ができやすい動物だと考えられています。

体内に蓄積したミネラル類が関係している病気なので、キャットフードに含まれているミネラル類の含有量など、食習慣が大きく影響します。

猫ちゃんのおしっこは、基本的にはpH値が6.2から6.4程度が適切であるとされています。pH値が6.0を切るようになるとシュウ酸カリウム結晶化しやすいとされており、逆6.5以上になるとストルバイト結晶化しやすいと言われています。

ストルバイト結石は、1歳から6歳ぐらいまでの、成長段階にある猫や成猫が発症しやすい病気です。おしっこのpH値がアルカリ性に傾くことにより結晶化しやすくなります。

シュウ酸カリウム結石は、逆に尿のpH値が酸性に傾くことによって生じます。7歳以上の高齢期の猫や老齢猫に発症しやすい結石です。

尿路結石を発症する傾向に、猫の性別はあまり関係がありません。むしろ、体質などが関係していて、肥満の猫ちゃんは結石にかかりやすくなると言われています。

しかし、オスは尿道が長く、尿道が曲折している箇所があったり、尿道の先端が細くなっていたりするので、結石が発生してしまうとつまりやすく、重症化してしまう傾向があります。

猫ちゃんが結石にかかってしまうと、尿道に結石が詰まってしまい、トイレに行ってもおしっこが出ないということが多くなります。

また、強い痛みで鳴き声をあげたりします。結石によって尿道が傷ついてしまうと、血尿を引き起こす場合もあります。

尿結石を放置していると、おしっこが出ない状態が慢性化してしまいます。結果として、尿道閉塞が起きてしまう可能性があります。

さらに、長期間おしっこを出せない状態が続くと、尿毒症という命に関わる病気を引き起こしてしまう可能性もあります。

膀胱炎とは

猫ちゃんがかかりやすい、別の泌尿器系の病気は膀胱炎です。実際、動物保険において保険金請求が最も多い病気は、膀胱炎と言われています。

膀胱炎とは、簡単に言うと「膀胱が炎症をおこしている状態」です。膀胱とは、おしっこを貯めておく袋状の器官であり、腎臓からくる尿を一時的に蓄積し、尿道に排出する機能があります。

主な発症原因としては、尿道から入ってしまった細菌が膀胱まで侵入して、膀胱内に炎症を引き起こしてしまいます。

一般的に、メス猫の方が尿道が短いため、尿道から入ってきた細菌が膀胱に侵入しやすく、オス猫と比べると膀胱炎を発症してしまうリスクが高いと考えられています。

膀胱炎を発症する原因としては、細菌による感染だけでなく、原因が特定しにくい突発性膀胱炎と言う症例もあります。

突発性膀胱炎を発症する主な原因としては、肥満やストレスなどがあります。また、猫は水分をあまり摂取しないため、飲水不足によって突発性膀胱炎を引き起こすこともあるようです。

尿結石などによって、膀胱内部が傷つけられてしまうことにより炎症につながるというケースもあります。

膀胱炎を発症すると、トイレに行く回数は増えるのに、なかなかおしっこが出ないというような症状があらわれます。他にも、痛みが続くので、元気がないように見えたり、食欲不振や嘔吐などの症状があらわれる場合もあります。

加えて、排尿が正常に行われないので、尿の匂いが強くなる傾向があります。トイレ用の砂が褐色の濃い色で固まっていたり、いつもよりおしっこの匂いが強くなってしまっている場合には、膀胱炎を疑ってみる必要があります。

慢性腎不全とは

慢性腎不全とは、腎臓の働きが低下してしまい機能不全になってしまう病気のことです。基本的には、7歳以上の高齢期の猫ちゃんに多く見られる病気です。

腎臓は、おしっこを作るだけでなく、赤血球を作り出すホルモンを分泌したり、血圧の調整をつかさどるなど、体内において非常に重要な役割を果たしています。

しかし、慢性腎不全になると、こうした機能が低下していくので様々な不調があらわれます。

尿を上手に作り出せず、大量に薄いおしっこが出るようになったり、血圧をコントロールできず、高血圧になったりします。また、赤血球を作り出せないので、貧血などの症状があらわれるようになります。

しかし、腎臓は「沈黙の臓器」とも言われるように、全体の75%程度が損なわれないと検査においても腎機能の数値の悪化は確認できません。そのため、症状があらわれにくいのが慢性腎不全の厄介なところです。

「具体的な症状があらわれた時には、すでに病気が進行した状態だった」ということもあり、早期発見が非常に難しい病気と言われています。

腎臓病にみられる主な症状としては、食欲の低下や脱力感などがあげられます。また、体重が減少したり、被毛が劣化したりすることもあります。

脱水症状があらわれる場合もあり、多飲多尿になる傾向があります。加えて、腎臓病特有の独特なにおいの口臭などが生じることもあります。

慢性腎不全は徐々に進行していく病気です。最初の段階では慢性腎障害とも呼ばれ、主だった症状はあらわれません。しかし、腎臓に変化が生じていて、タンパク質が尿と一緒に排出されてしまうタンパク尿になります。

症状が少し進行すると、尿濃縮能が低下して多尿の症状があらわれます。また軽度の窒素血症が生じます。

さらに症状が進行していくと、貧血や体重減少などが生じます。この時点では、かなり腎臓の損傷は進んでおり、尿濃縮機能もさらに低下します。

そして、最終的には末期の腎不全となります。末期状態になると、重度の貧血や食欲不振などがおき、見るからに元気がないなど、生活に支障を与える大きな変化が起きるようになります。最終的には、尿毒症と言う命の危険がある病気を発症します。

「たけのこ」を食べてはいけない猫ちゃんを誤食から守るためには

「たけのこ」を食べてはいけない猫ちゃんを誤食から守るためには、どんな料理に「たけのこ」が使用されているのかを飼い主がしっかりと把握しておく必要があります。

「たけのこ」は、旬の時期になると広く出回るので、意外な料理の中に「たけのこ」が使用されているということも少なくありません。

それで、特にスーパーなどで買ってきたお惣菜を猫ちゃんに与える場合には、商品のパッケージに記載されている原材料を必ず確認するようにしましょう。

また、猫ちゃんの手の届くところに、たけのこを含んだ料理を放置しないように注意することが必要です。

極論を言うと、不必要に人間の料理を猫ちゃんに食べさせない方が良いとされています。普段から人間の食事を与えていると、誤って危険な食材を含んだ料理を猫ちゃんに食べさせてしまうリスクが高まります。

また、人間の料理に対する猫ちゃんの関心を高めてしまうので盗み食いなどの危険性も高まります。

まとめ

いかがでしたか。「たけのこ」には食物繊維がたっぷり含まれており、便秘の改善だけでなく、がんの予防にも効果を発揮する優秀な食材です。

代謝を良くして肥満を予防したり、ストレスを軽減するという効果も期待することができます。

このように、理想的な栄養素をたっぷり含んでいる「たけのこ」は、少量であれば猫ちゃんに与えても問題ないようです。

しかし、「たけのこ」にはリンやマグネシウムが多く含まれており、消化器官に影響を与える食材なので、泌尿器系の病気を抱えている猫ちゃんには絶対に食べさせないようにしましょう。

また、健康な猫ちゃんでも体質の変化や飼い主が気付かないうちに病気を発症するという可能性があるので、定期的に猫ちゃんの体調の変化をチェックしつつ、安全に食べさせてあげるようにしましょう。

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