猫が後ずさりできないって本当?猫が後ずさりすることがある状況とは
「猫は後ずさりできない」と聞いたことがあるかもしれません。確かに猫が後ずさりをしている場面を見たことが無い人は多いでしょう。しかし、実際のところはどうなのでしょうか?今回は猫が後ずさりできないのは本当なのかどうかを調べてみました。
猫は後ずさりできないって本当?
Viorel Sima/shutterstock.com
「犬は後ずさりできるが、猫は後ずさり出来ない」と聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?同じような意味で、「猫科の動物は後ずさりできない。逃げる場合にはいったん前進して方向転換する」と聞いたことがあるかもしれません。
猫の身体はとても良く出来ています。柔軟かつしなやかに四肢を動かすことができるのに、後ずさりができないことに疑問を抱いている人は多いでしょう。
「猫が後ずさりできない」というのは本当なのでしょうか?
そもそも後ずさりって?
後ずさりとは単に後ろに下がることではありません。身体の向きは変えず、身体を正面に向けたまま後ろに下がる行為をさします。
通常、後ろに下がる時には、身体の向きを回転させて方向転換するものですが、後ずさりはそうではなく、特別な場合にそのように行動することが多いです。
猫が正面を向いたまま、後ろに下がっている場面を見たことがあるでしょうか?「猫は後ずさりしない」という言葉があるとおり、猫の後ずさりを見たことのない人は多いかもしれません。
猫が近くに住んでいて、猫を毎日のように見ている人であっても猫が後ずさりしている場面に遭遇した事のない人は多いはずです。でも本当のところはどうなのでしょうか?
本当は後ずさりできる
本当のところを言うと、猫も後ずさりできます。猫は後ずさり出来ないと言われているのですが、実際には後ずさり出来ます。
猫の身体は後ずさり出来るようになっていますし、実際に猫を飼っている人であれば、後ずさりしている場面に遭遇することも出来ます。
猫の後ずさりは見ていてとっても興味深いものです。前方をしっかりと見つめつつも、足だけをちょっとずつ動かして何とか下がろうとします。身を低くしながらバックすることも多く、何かを怖がっているような、慎重になっているような独特の雰囲気を醸し出しています。
滅多にない、猫の後ずさり
実際には後ずさりすることがあるのに、「猫は後ずさりしない」と言われているのはどうしてでしょうか?そのような情報が広まった経緯は分かりませんが、その頻度が非常に少ないことも理由の1つとして挙げられるでしょう。
猫の後ずさりは滅多にみることが出来ないものです。猫を飼っている人でさえ見たことのない人は多いはずです。それほど稀な仕草なのです。
なかなかない仕草ですから、見かけた時には、猫の気持ちが気になってしまいますね。猫が後ずさりするのはどんな時なのでしょうか?
猫が後ずさりする時の状況
elwynn/shutterstock.com
猫が後ずさりする時の状況を集めてみました。猫がその時どんなことを考えているかも想像できます。後ずさりしている時の仕草や表情、状況から、どんな気持ちなのかを察することが出来るかもしれませんね。
猫の後ずさりには、猫の身体の異変が影響している場合もあります。明らかに変な仕方で後ずさりしたり、何度かそのような仕草が続くなら注意が必要かもしれません。
行き止まり
猫は色々な場所に冒険に出かけるものです。好奇心旺盛なので、狭い場所でもどんどん進んでいく傾向があります。でも時々行き止まりに面してしまうことがあります。そういう時は後ずさりすることがあります。
遠くからみるだけでも行き止まりであることが分かるはずですが、行き止まりの壁まで近づいていったりします。壁に当たってから「やっぱりこれ以上進めないや」とでも言いそうな顔をして、おずおずと引き下がっていくのです。
広い場所であれば、方向転換して戻っていくことも多いのですが、狭い場所などでは方向転換する余裕がないので、器用に後ずさりすることも多いです。
場合によっては狭くて長い溝を突き進んでいくこともあります。方向転換できないのにどんどんと進んでしまって、行き止まりに当たったしまうのです。最初のうちはなんとか後ずさりしながら戻ろうとするのですが、しばらくすると、あきらめたのか飼い主さんの助けを待つなんてこともあります。
実際に、猫を見かけないと思ったら、溝の奥にいたなんてこともあります。ニャーニャーと鳴いていて何かと思えば、溝の奥でうずくまっているのです。「これ以上後ずさりするのも大変だから助けて」と、ちょっぴり情けない声を出しているのです。実際に狭い溝の奥から猫を救出するのは大変なので、できれば後ずさりを続けて戻ってきてほしいものですよね。
「猫は後ずさりできない」と言われるほどですから、決して得意ではないのでしょう。結局飼い主さんが助けなければいけなくなります。
足場が悪い
猫は身軽で足場の悪い場所でも簡単にわたってしまいます。時には高所での綱渡りをするようなこともあるでしょう。猫は高い場所を歩きなれています。かと言って、高すぎる場所だとジャンプして降りることも出来ません。
足場が狭いような場所でもスイスイと進んでいくのですが、途中でこれ以上進めないほど足場が悪いこともあります。
そんな時は、猫も「しまった」と思うのでしょう。先に進むことも出来ませんし、高所から飛び降りることも出来ません。狭いので方向転換しようものなら落ちてしまうと感じるのでしょう。腰を引いたようにしながらゆっくりと後ずさりしはじめます。
猫の後ずさりは上手には見えませんが、高所での後ずさりは本人も細心の注意を払っているからでしょう。失敗して落ちることもなく、ゆっくりと後ずさりしていきます。少し開けたところまで戻った後は、今までの慎重さを捨てて大胆に飛び降りたり方向転換したりするものです。
高い所が得意で、足場の悪さもものともしない猫ですが、ときには、そのようなドジな場面を見せてくれるものです。ちょっと情けない後ずさりも見られるので、思わず笑ってしまいそうになります。
もがいている
好奇心旺盛な猫は狭い場所に頭を突っ込んでしまったり、身体ごとはまって抜けなくなることがあります。
猫には狩猟本能が備わっています。獲物を見つけたなら、それを追いかける習性があります。獲物も猫から逃げるために狭い場所に逃げ込もうとします。ネズミや小さな虫などは狭い場所に逃げますよね。猫は猫で獲物を捕まえようとして狭い場所でも追いかけていくものです。
まさしく猫とネズミの面白い関係性を見ることが出来るでしょう。狭い場所に逃げ込んだネズミを猫が一生懸命捕まえようとします。最初は手だけを入れて探しているのですが、耐えきれなくなって狭い場所に頭を突っ込んでしまうのです。
獲物が逃げている姿が見えているうちは興奮しているので、なんとか捕えようと熱中しています。しかし、ネズミが完全に逃げてしまったことが分かると、猫も途端に熱が冷めてきます。「さて、もどろうかな」と身体を戻そうとしてもなかなかうまくいきません。狭い場所にむりやり身体をねじ込んだせいで引っかかってしまったのです。
狭い場所に挟まってしまった猫ができるのは、ただもがくことだけです。なんとか身体を引っこ抜こうとして後ずさりするような仕草を繰り返します。方向転換できないので、後ろに下がるようにして身体を引っこ抜こうとします。
まるでコメディーの一場面のようですが、猫にとっては真剣です。もし、そんな場面に遭遇したなら、是非とも記念写真を撮った後に助けてあげてくださいね。
怖いものがある
猫の後ずさりの割合として多いのが、この怖いものを発見した時です。相手は生き物であることが多いかもしれません。同じ猫で格上だったり、自分よりも明らかに身体の大きい犬などに相対したときに、後ずさりすることがあります。
この後ずさりにはしっかりとした意味があります。
後ずさりするのは、相手から目を離さないで、その場から離れようとする行為になります。自分に危害を加える可能性のある相手から目を離すのは非常に危険です。ちょっとした隙を見せてしまうなら、その隙をつかれて、相手に襲われてしまう可能性があるからです。
格上の相手から逃げるためには、相手を威嚇しつつも、やられてしまわないように、ちょっとずつ後ろに下がるのが最善なのです。とても緊張する場面です。後ずさりをしばらく続けて、ある程度の安全が確保できたなら、すぐに方向転換して逃げ去るでしょう。
人間でも怖いものに遭遇した時には、同様の仕草を行なうことがあるでしょう。例えば、山の中でクマやイノシシにであったならどうしますか?
いきなり背を向けて走り出すのは非常に勇気がいりますし、危険だと感じるでしょう。まずは、相手の動向から目を離さないようにしつつも、何とか遠ざかろうとするはずです。自然と後ずさりしているのではないでしょうか?
猫も「人間にとってのクマやイノシシ」に出会うことがあるのです。このときの後ずさりは真剣なもので、命を守るために大切な行為でもあります。
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