コーギーの断尾は今も必要なの?尻尾が切られてしまう5つの理由を解説

コーギーの断尾は今も必要なの?尻尾が切られてしまう5つの理由を解説

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胴長短足、ピンと立った三角耳、短い尻尾というチャーミングな容姿をしたコーギーは日本でも人気の犬種です。しかし、特徴の一つでもある短い尻尾は、人間によって作られていることが多いのです。コーギーの尻尾が切られてしまう5つの理由をご紹介します。

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コーギーの尻尾を切る5つの理由

コーギー

Gorodisskij/shutterstock.com

コーギーの尻尾が切られてきた背景には、原産国であるイギリスの歴史や、コーギーが飼育されてきた状況と大きな関係があるようです。では、コーギーの尻尾が切る5つの理由を解説します。

1.牧畜犬だったため

コーギーの原産地はイギリスウェールズで、牧畜犬として活躍していました。牧畜犬とは、牧場で放牧している家畜、主に羊や牛の群れを見張ったり、誘導したり、捕食動物や人間による盗難から守ったりするために飼育される犬のことです。

コーギーは牛や羊のかかとを噛んで追っていたので、「ヒーラー」や「ヒールドック」という愛称が付いていたほど優秀な牧畜犬だったといわれています。

しかし、体が大きい牛や羊の群れの中に入り込んでかかとに噛み付くのは、怪我をするリスクも高く、コーギーにとって危険な仕事でした。そこで、少しでも危険を減らすために長い尻尾を切ることにしたようです。

2.税金対策のため

イギリスでは昔、尻尾のついた犬に税金が課せられていました。そのため、コーギーだけでなく他の犬種も節税目的で尻尾が切られていたようです。この課税は1796年に廃止されましたが、一度国を挙げて取り組んだ制度だけに今でも「断尾」の名残があるとされています。

そもそも、なぜ犬の尻尾に課税するというおかしな制度を作ったのでしょうか?それは、当時イギリス紳士の間で趣味もしくはスポーツとして人気があった「狩り」の邪魔をされないためだったようです。

犬が自分たちの獲物を襲ったり、逆に犬を獲物と勘違いして撃ってしまったりという事故が起きていました。そうした事故を防ぐために、税金を課して犬の頭数を減らそうと考えたようです。「尻尾を切ると早く走れなくなるので獲物を追わなくなる」という説も、断尾の後押しをしたとされています。

3.狂犬病の予防のため

コーギー

Natalia Fedosova/shutterstock.com

ヨーロッパでは昔、「尻尾を切ると狂犬病にかからない」と信じられていました。これには根拠があるわけではなく、はるか昔からの言い伝えだったようです。

しかし、狂犬病は人間社会にも影響を及ぼす恐ろしい病だったため、犬を病気から守ってあげたいという優しい気持ちから、断尾をしていた飼い主がいたとされています。

4.見た目を良くするため

犬には「スタンダード」と呼ばれる理想的な体型が、犬種ごとに決められています。体高や体重、頭部のサイズ、目や口の形、被毛の長さや毛色に加え、尻尾の長さなども細かく決められており、その基準に当てはまっていることが正統な個体とみなされる条件になります。

コーギー(ウェルシュ・コーギー・ペンブローク)の尻尾に関しては、「断尾または5.1cm(2インチ)まで」がスタンダードとされています。このスタンダードにかなう血統書付きのコーギーにするため、ブリーダーさんが生まれてすぐに断尾し販売するようになったようです。

そのため、コーギー好きの方の中にも尻尾がない方を好んだり、本来は尻尾が長いということすら知らない方もいます。

5.尻尾の長さで種類の違いを見分けやすくするため

2匹のコーギー

cherry williams/shutterstock.com

コーギーは、「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」と「ウェルシュ・コーギー・カーディガン」の2種類に分けられます。この2種類を見分ける印とされていたのが尻尾です。

長い間、尻尾がないのが「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」、尻尾が長いのが「ウェルシュ・コーギー・カーディガン」とされてきました。

確かに「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」には、生まれつき尻尾がない「ナチュラルボブ」と呼ばれる個体が生まれることがありますが、大多数は長い尻尾を持って生まれてきます。本来ならば、尻尾の長さでこの2種類を見分けることはナンセンスです。

しかし、実際には「見分けやすくするという理由だけのためにペンブロークの尻尾を切る」ということが、今でも残念ながら行われています。

日本では「ウェルシュ・コーギー・ペンブローク」の方が、圧倒的に人気があり飼育頭数も多いようです。「コーギーといえば短い尻尾」という印象が強いのもそのためかもしれません。

一方、本国イギリスでは「ウェルシュ・コーギー・カーディガン」の方が、人気があるようです。現在、イギリスにおいて断尾は動物愛護の観点から禁止されています。イギリス以外にも、ドイツやデンマークなど、ペット先進国のヨーロッパで断尾を禁止している国が増えてきています。

まとめ

コーギーの尻尾を切る5つの理由を見てきましたが、いかがでしたか。

今飼育されているコーギーの大多数は、牧畜犬でも狩猟に行くわけでもありません。また、断尾することで病気を防ぐことはありません。むしろ病気や痛みの原因になる可能性があります。

そうなると、尻尾を切ることはコーギーのためではなく、「見た目が可愛いい」「ペンブロークは短い尻尾の方が良い」という、私たち人間の勝手な理由であることが明らかになります。断尾を禁止している国が増えている現代において、本当にコーギーの尻尾を切る必要があるのか考えさせられますね。

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1 名無しさん
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勉強になりました。