猫にも白血病がある?!猫白血病ウイルスに感染した時の症状や検査にかかる費用を解説
すでに猫を飼っている人、またこれから猫を飼い始めようとしている人なら注意したい感染症の一つに「猫白血病ウイルス感染症」があります。それで今回は、感染ルートや感染した時の症状について、また感染しているかどうか検査するのにどのくらい費用がかかるのか、感染を防ぐために出来る事を詳しく解説したいと思います。
猫にも白血病がある
Smit/shutterstock.com
「白血病」と聞くと人間がかかる病気と思う方もいるかもしれませんが、実は猫にも白血病があります。でも、人間の白血病と猫の白血病には大きな違いがあります。
人間の白血病の場合、骨髄でつくられる血液細胞ががん化し、それが増殖し骨髄を占拠します。その結果、正常な血液細胞がどんどんと減少して免疫の低下、貧血などの症状がみられるようになります。
実は、日本では男性で10万人あたり11.4人、女性で10万人あたり7.9人が白血病になっているそうです。白血病の中にも、骨髄性白血病とリンパ性白血病があり、また急性と慢性があります。急性白血病は治療などによって克服することができますので、治らない病気ではありません。
一方、猫の場合、白血病は白血病ウイルスによって感染して発症する感染病なんです。致死率が高いので、治らない病気だと思われていることもあります。現実、感染して発病してしまうと、ほとんどの場合に3,4年で死亡してしまうほど残酷なウイルスです。猫同士感染するもので、他の動物や人間に感染することはありませんが、愛猫がこのウイルスに感染していないかどうか検査することは非常に大切です。
日本にいる猫の場合、白血病ウイルスに感染している猫は約3~5%ほどいるといわれています。少ないように聞こえるかもしれませんが、病気を持っている猫の場合、そのうち約1/4ほどの猫が白血病ウイルスをもっているとも言われていて、猫の健康を脅かすウイルスであることには間違いありません。そして、猫同士の接触によって感染する可能性もありますから、感染を広めないように気を付けてあげる必要もあるでしょう。
今回は猫白血病とはどんな病気なのか、また検査費用はどのくらいになるのか、どのように予防することができるのかを解説したいと思います。
猫白血病の原因
猫白血病は猫白血病ウイルス(FeLV)によって感染して発症する病気です。どこから感染するかというと、すでに感染している猫の母乳、唾液、涙、血液、便や尿といったものに含まれるウイルスによって感染します。つまり母親が感染していて、子猫に授乳すると感染してしまいますし、猫同士のケンカで流血があったり、グルーミングなどによっても感染することがあります。食器を共有することでも感染が起こるようです。
しかし一番多いのはすでに感染している母親からの感染であり、胎盤感染している場合は流産や死産、また生まれてこれたとしても早いうちに亡くなることが多いといわれています。唾液などからの感染の場合は1回や2回、唾液がついた程度では感染しないといわれているので、それほど感染力が強いわけではありません。
急性期と持続感染
感染してもウイルスが増えることなく治ることもあります。ウイルスに感染した時期を急性期といいますが、このときに検査をして治療して治ることがあります。しかし、ウイルスが増えて常に感染している状態のことを持続感染といい、発病した猫は、ほとんどの場合でその後3,4年後に死んでしまいます。
猫の白血病は持続感染が認められたなら、完治することはありません。一生涯、白血病ウイルスが体に残ることになります。持続感染する猫の割合は、感染した猫の約1/3だといわれています。しかし、その他の感染した猫は何も症状がでなかったり、あるいはウイルスが突然に消えることもあるようです。
また持続感染になる確率というのは、年齢によっても違います。生まれたての猫の場合ほぼ90~100%が持続感染となります。歯が生え始める生後1か月後くらいでは約半分、50%の猫が持続感染になります。そして1歳以上になりますと、10~15%程度にまで減少します。
症状について
猫白血病ウイルスは、白血病を引き起こすこともありますが、じつはそれだけでなく、免疫力の低下により病気や傷が治りにくいとか、貧血や発熱、口内炎といった症状を引き起こします。免疫が低下することによって、リンパ肉腫や腎臓疾患、血液疾患、流産などの病気にもなることがあります。
ウイルスに感染してから2~6週目にリンパ節が腫れて、発熱が見られます。このときの症状が軽い場合には持続感染になりにくいようです。無症状のこともあります。しかし、症状が重く見られる場合には持続感染になりやすいようです。
早期発見が大事!
Natata/shutterstock.com
先ほど、持続感染になる確率は生まれたての猫でほぼ100%に近く、生後1か月ほどでは半分になり、生後1年後になると10~15%程度になると説明しました。つまり生後1年以上たっている猫ならば、適切な治療を行うことによって、90%近い確率で治すことができる、というわけなのです。
しかし、これは感染初期に適切な治療を行った場合の確率です。一般に、感染後2か月程度までに、出ている症状に合わせた適切な治療を行うことで、ウイルスの増殖を抑え、また免疫を高めることによってウイルスが消える場合も少なくありません。
ですから、感染を早く発見し、早期治療をすることが非常に大切になります。白血病ウイルスに感染しているかどうかの検査というのは、とても簡単です。血液検査によってわかります。それで、もし感染の疑いがある場合にはすぐに検査をするようにしましょう。
検査にかかる費用
生後1年を過ぎている猫の場合、感染を早期に発見し、適切な治療をすることによってウイルスを消すこともできます。ですから感染しているかどうかの検査はとても大事です。でも、気になるのはかかる費用ですよね。
安心してください。猫白血病の検査にかかる費用は、だいたい5000円くらいです。それも検査キットを使用して10分くらいで終わるんです。またこの検査では猫白血病だけでなく猫エイズの検査が同時にできます。
すごく簡単ですし、驚くような値段が必要なわけでもありません。愛猫のため、また他の猫に感染させないようにするためにも飼い主さんとしては積極的に受けましょう。
ただこれはウイルス検出のための検査費用が5000円程度で、一般的な血液検査も一緒にすることも多くその場合は5000~8000円程度になることもあるようです。また、生化学検査が必要な場合には1万円ほどになることもあります。
いつ検査するといいのか?
白血病ウイルスに感染したならば、早期治療が大事になってくることを知ると、感染している可能性があるならばできるだけ早く検査をしておきたいところです。例えば、保護猫の場合、今まで外でどんな生活を送ってきたのかを知ることはできません。それで、お家に迎えて他の猫と同居させる前にまずは検査をしておき、万が一ウイルスを保有していて、他の猫に感染させてしまわないように注意してあげましょう。
しかし他のケースとして、生後半年以内の子猫の場合では検査の結果が正確に出ないということもありますし、感染したとしても潜伏期間があるということも知っておく必要があります。
潜伏期間について
成猫が白血病ウイルスに感染した場合、検査時期が早すぎると正確な結果が出ないことがあるようです。なぜなら白血病ウイルスは、感染してから約30日~45日ほどの潜伏期間があるからです。それで、感染の30日以内の場合、症状はあるのに検査結果は「陰性」となることがあります。
例えば、猫が外に逃げてしまい、ケンカをしてきたような跡があるという場合、もしかしたら白血病ウイルスを持っている猫と接触し、ウイルスに感染している可能性があります。飼い主さんとしては、感染の疑いがあると思うだけでとても心配ですぐに検査をして確認したいと思うはずです。しかしすぐに検査をしても感染から30日がたっていない場合では陽性反応が出ないのです。
それで、潜伏期間を過ぎてからもう一度再検査をすることになるでしょう。とはいえ、潜伏期間中で正式な検査結果が出ない間も、必要ならば予防として抗ウイルス薬を投与してもらうこともできます。とにもかくにも感染が心配なときは、まず獣医さんに相談するのが一番です。
また「陽性」反応が出るとしても、その後1か月を過ぎてから「陰性」となる場合もあるようです。本当に治癒したという場合もありますが、本当はウイルスが体内にあるのに「陰性」になることがあるのです。それで、感染後4か月を過ぎてから再検査をします。もし4か月ずっと「陽性」反応が出ている場合、持続感染が認められます。
もし感染してしまったら
もし、感染していることが認められたら、どうしたらいいのでしょうか?生後1年以上たっている成猫の場合、感染して2か月ごろまでに体の免疫をあげるように助けることができれば、8割以上の確率で自然に直すことができます。例えば、インターフェロンなどでウイルスを抑えて、免疫をアップさせたりします。
また、できるだけストレスがかからない生活にしてあげることや、常に健康状態に異変はないかチェックしてあげることができます。もし変化がみられるようであればすぐに病院で適切な治療をしてもらえるようにしましょう。
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