
【獣医師監修】猫が人間の足の間に寝るのは何故?理由や心理状態を解説【2023年版】
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獣医師
日本獣医生命科学大学卒。大学卒業後、沖縄の病院にて臨床経験を積み、関東、北陸で動物病院の院長として病院経営を行う。 現在は企業病院およびペット関連事業のコンサルティングに携わる。 また、猫の感染症や遺伝病の分野において大学と共同研究に取り組んでいる。講師歴:広島アニマルケア専門学校、日本獣医生命科学大学 動物病院経営学etc. https://okinawa-ahg.com/
朝起きたら猫が足の間で寝ていた、という経験をしたことはありませんか?飼い主と一緒に寝たがる猫は珍しくありませんが、足の間で寝るのには何か理由があるのでしょうか。この記事では猫が寝る場所と心理状態について迫ってみたいと思います。

猫は飼い主と一緒に寝ることが多い

Pixel-Shot/shutterstock.com
「明け方なんだか重たい…と思って目を覚ますと、何匹かの猫たちに取り囲まれている」、そんな経験をしたことはありませんか?ある猫は足の間にすっぽりと、ある猫は胸のあたりにドテッっと、またある猫は「ここが私の寝る場所!」と当然のように飼い主さんの腕まくらでスヤスヤと寝ている、なんてことは珍しくありません。
今回は猫が「人間の足の間で寝る」心理を中心に考えてみたいと思います。また、猫のパーソナルスペースと寝る場所との関係性、またねこちゃんとの距離を縮める方法についてお伝えしたいと思います。
猫が飼い主さんの足の間で寝たがる理由は

tache/shutterstock.com
まずは猫が飼い主の足の間で寝たがる理由を解説しましょう。以下のような理由が考えられます。
1.囲われた場所が好き
猫は囲われた狭い場所が大好きです。例えばダンボール箱などを見つけるとすぐに飛び込んでいきます。通販などで届いた商品を出した後のダンボール箱は、どんなに大きくても、どんなに小さくても猫のかっこうの遊び道具になります。
洗面台やトイレのタンクの上で丸まるネコ、クツやスリッパの中に潜り込んでいるつもりのネコ、今や定番となったかご猫、猫鍋、子猫に関してはコーヒーカップにまで潜り込んでいます。洗濯をしようと思って洗濯機をのぞいてみるとすでに熟睡モードの愛猫がいる、なんてこともあります。猫は家中のありとあらゆるくぼみに身をまかせくつろいでいます。
そう、猫は囲われたところが大好きなんです。ここまで挙げてきたように、こんなところでくつろげるの?なんて狭いところでリラックスするのが猫の特徴です。飼い主さんの足の間は猫にとってちょうど良いスペースなのかもしれません。
もしかしたら、「あぐらをかいている時にはたしかに猫にとってうずくまりやすいけど、ベッドの上でまっすぐな体勢で寝ていたらあまり囲まれないんじゃない?」と思う人もいるかもしれません。でも猫にとってはそれでもいいんです。両足の腿と腿がくっつくところが谷間になっているだけで満足です。
2.暖かな温もり
「囲われた場所」以外に猫が好きな場所といえば、暖かいところです。寒い日にストーブの前を何が何でも陣取ったり、こたつの中に潜んだりと、猫は暖かい所がとにかく好きです。他にも充電機の上や電気釜の上など自由気ままに暖かいところを渡り歩いているのが猫というものです。
そう考えると飼い主さんの足の間で居眠りをしたくなるのも当然のことと言えるでしょう。足の間は猫にとって、「暖かな温もり」という条件にはぴったりあてはまる場所ですね。
3.飼い主さんに触れていたい
子猫は母親に育てられている間はずっと母親に寄り添って眠ります。睡眠時は非常に無防備になっている時ですから、子猫にとって頼りになるのは母猫です。母猫は子猫にとって常にそばにいて守ってくれる存在です。
しかしきちんと親離れすることがなく、早いうちに母親から引き離されたねこちゃんは、そんな思いを引きずりながら育ってきているため、その後母親となった飼い主さんに触れていたいという甘えん坊気質が残っているのです。そのため足の間で安心感を感じたいのかもしれません。
4.微妙な距離感
甘えん坊気質が理由なのではなく、微妙な距離感を保つ意味で足の間で寝る子もいるようです。ねこちゃんというのは寝る場所によって、飼い主さんに対する気持ちが多少なりとも表れます。
足の間で寝ると飼い主さんの体に密着するので、その場所で寝ることが飼い主さんを信頼している証拠であることには変わりありません。でも、顔の横とか肩のあたりと違ってちょっとばかり離れていますよね。これは「飼い主さんと一緒に寝たいけれど、あまり構ってほしくないなぁ〜」とか、「触られたくないな」、「静かに寝ていたいなぁ」といった気分の時です。常に足元のあたりで寝ているねこちゃんもいれば、その日その時の気分で位置を変えるねこちゃんもいます。
また、別の理由として、本当はねこちゃんは飼い主さんのそばで寝たいけど、あまりにも飼い主さんの寝相が悪くて落ち着いて寝ていられないために足元の方で寝ることもあるようです。
猫のパーソナルスペースと寝る場所との関係
猫が微妙な距離感を保つために足元に寝ることがあると説明しましたが、これには猫のパーソナルスペースが関係します。
人間が社会で上手に人付き合いをしていく上で、距離感は大切なものとなっています。「この人、やたら距離近いなぁ〜」とか、「いつも近づいてこないけど、嫌われているのかなぁ〜」と、微妙な距離感を意識しなければなりません。つまりパーソナルスペースが必要です。
パーソナルスペースとは、他者が自分に近づくことを許せる限界の範囲のことで、「心理的な縄張り」のことをいいます。縄張りですから、他者がこれより自分自身に接近してくると落ち着かず、不安に感じて防衛反応が働いている状態のことを言います。
では猫にもパーソナルスペースはあるのでしょうか? あります。猫にもパーソナルスペースというものはあり、距離が近いほど親密度は高いと言われています。こうした事柄が寝る場所にも反映されるともいわれています。
猫の寝る場所と心理

Africa Studio/shutterstock.com
猫が寝る場所によって猫の心理状態は多少なりとも違うようです。そこで、猫が寝る場所と、その時の心理状態について簡単にまとめたいと思います。
顔の近く
顔の近くで寝るというのは、飼い主さんのことを信頼し甘えている証拠です。パーソナルスペースを大切にしている猫が、睡眠時間という無防備な時間帯に飼い主さんにそれほどまでに接近してくるということは、飼い主を信頼しているからこそです。
猫は、成猫になればなるほどパーソナルスペースにこだわりを持つ傾向があるといわれていますが、いつも飼い主さんにくっついてくるのなら、子猫気分が抜けきらない甘えん坊のねこちゃんと言えます。そういう猫はもしかしたら、子猫気分を残したまま育ってきたのかもしれません。心配になるかもしれませんが、飼い猫にはいつも飼い主さんがいて自立する必要もないので、子猫気分のまま大きくなっても問題はありません。
飼い主さんの枕で一緒に寝るねこちゃんは本当に可愛いですよね。目を閉じで寝てしまうのがもったいないくらいずーっと見ていたくなりますね。
お腹の近く
お腹の近くで寝るねこちゃんは、暖かさを求めて布団の中に入ってくるのかもしれません。寒がりで甘えん坊のねこちゃんと言えるでしょう。「布団の中」という視界の悪い場所に入ることもためらわない、警戒心の少ない大らかなタイプと言えるかもしれません。
寒くない季節にはダイレクトに布団の上からお腹の上に「ドテッ」と乗っかってくるかもしれませんね。漬物石をお腹の上に置かれた感じで非常に重たいのですが、お腹の上から覗き込んでくるねこちゃんの顔は、普段あまり見られないアングルでとっても可愛いですよ。
足元
上で「足の間」についてはすでに触れましたが、ここでは「足元全般」について考えてみたいと思います。足元で寝るねこちゃんも、飼い主さんのことは信頼しています。
確かに共に枕で寝るねこちゃんと比べるとパーソナルスペースは広いかもしれませんが、決して飼い主さんが嫌いということはありません。ただ遠くで飼い主さんのことを見守っていたいだけなのかもしれません。
布団の外や離れた場所
これらの場所で寝る場合、しっかりと親離れができている大人のねこちゃんなのでしょう。もしかしたら警戒心が強いかもしれませんね。猫は基本的には単独行動を好む動物ですから、猫らしいといえばそうなのかもしれません。
しかし、いつも飼い主さんの近くで寝ているねこちゃんが離れたところで香箱座りでじっとして目をつぶっているながらも寝れていない場合は、具合が悪いのかもしれません。また、身を隠すような感じで物陰で休もうとする場合も具合が悪いのかもしれません。いつも接近して寝ているねこちゃんが急に別の場所で寝ようとする時には、確認してみてくださいい。
番外編:お尻をくっつけて寝る
寝る場所というより、寝る体勢が心理状態を反映していることもあります。ベットに入ると猫が傍にいるにもかかわらず、なぜかお尻を向けて座っている、もしくはお尻をくっつけて寝ようとしていることがあります。飼い主としては、どうせ寝るならこっち向いて寝てほしいと思ってしまうかもしれません。
これは何を意味しているのかというと、実はねこちゃんが信頼している証です。ねこちゃんにとってお尻は急所です。背中など背後から襲われれば致命傷になりかねません。そんな無防備な後ろ姿を飼い主さんに見せているわけですから、「あなたを信頼しています、安心しています」というメッセージなのです。
このようにねこちゃんのパーソナルスペースによって少しずつ場所が変わることはありますが、猫ちゃんの好む場所で寝かせてあげることが一番良いかもしれませんね。それでも飼い主さん的には、もっと距離を縮めたいと思うかもしれません。
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